翔栄ファーム・龍ヶ崎農場のKです。
今回から3回にわたって、現代の農業における課題について考えてみたいと思います。
これらの問題は決して、私たち翔栄ファームも無関係とは言えません。
将来にわたり、安心・安全な野菜を供給し続けるために、何が必要なのか?
なかなか難しい問題です。
1回目は、近年の農業資材や燃料の価格高騰について考えたいと思います。
■ 農業資材の高騰で高くなる一方の見積り
皆さんもご存じの通り、ここ数年、燃料価格が高騰しています。
また、農業に関して言えば、農業資材の価格も上昇し続けています。
世界的人口の増加による新興国での需要増加や、原油価格の値上げにより、少しづつ値上がりが続きました。
そこに、今年2月から続くウクライナ情勢により、価格上昇は留まるところを知りません。
翔栄ファームでは、現在、ハウスの新設を考えています。
ますます悪化していく異常気象を考えた場合、露地栽培を続けるのはかなり困難になっていくでしょう。
自然栽培で安定した収量を確保するには、ハウス栽培の導入が必要になる…そのような自然環境になりつつあるのです。
そこで、業者さんにハウス建設の見積りをお願いしたのですが、建設費用がどんどん上がる一方だという話を聞きました。
今貰った見積りも、すぐに値上がりする可能性があると言うのです。
その原因は、農業資材の高騰によるものです。
一般的な1本支柱のハウスの場合、支柱1本あたり30円値上がりしただけで、数千~数万の追加出費になってしまいます。
これが、規模の大きな農業用ハウスを新設するともなれば、少しの値上がりでも、数十万円規模の値上がりになります。
農業事業の収支を考えた場合、この値上がりは、なかなか厳しいものがあります。
■ 燃料価格の高騰で放置される農業用ハウス
一方、燃料の高騰も農家さんを直撃しています。
農業用ハウスでは燃料を使って温度管理を行うからです。
翔栄ファーム・龍ヶ崎農場がある茨城県では、いちご作りも盛んですが、近年、何も使用されていないハウスを見かけるようになりました。
どうやら、燃料の高騰で、いちご農家さんも収支が合わなくり、農業を継続できなくなっているようなのです。
それだけ、いちご生産などの温室栽培は、燃料に頼らざるを得ない、ということかもしれません。
また、農業の経営を安定させる上で、少人数・機械化による農業という体制は自然な流れだと思います。
翔栄ファームの周辺でもトラクターを含む重機やトラックなどを複数所有する農家さんの姿が、よく見られるようになってきました。
燃料価格の高騰は、こうした大規模な機械化農家さんにも大きな影響を与えています。
使用する台数が多ければ、その分、少し燃料価格が上がっただけでも、経営に大きなダメージを与えるでしょう。
その点、翔栄ファームは、時代に逆行している訳ではありませんが、機械化があまり進んでいません。
燃料の高騰はそれほど大きな影響が、今のところ無いのが救いかもしれません。
■ これからはアグリソーラーの時代?
自然栽培は天候に左右されやすい農業です。
今後の異常気象を考えると、自然栽培で野菜を安定供給するためには、農業用ハウスの活用を進める必要があると考えています。
ただ、そこで燃料をがんがん使えば、燃料価格の高騰に大きな影響を受けるでしょう。
そこで、翔栄ファームが考えているのが、アグリソーラーの導入です。
ビニールハウスを建設するのであれば、ハウスに合わせて太陽光発電の施設を作るという考え方。
つまり、太陽光発電の架台(柱と梁からなる構造体、この場合、太陽光パネルを支える)をハウス代わりに使おうという試みです。
ハウスの屋根はソーラーパネルに覆われてしまいますので、架台をかなり高めに設定し、隙間から光が入るようにします。
(育てる作物によっては、太陽光パネルの数を減らして、隙間から太陽光を入れる必要があるかもしれません)
温度管理など、ハウス内で使用する電力は、ソーラーパネルで発電します。
電力が余れば、売電収入も得られますので、収益的にも経営の安定化に近づくでしょう。
この形であれば、燃料の高騰という問題も解消されます。
実際、龍ヶ崎農場では、畑の一部でアグリソーラーを実験的に導入する方向で動いています。
もちろん、アグリソーラーの場合、通常の農業ハウスを建設するよりも、初期投資はかなり高額になります。
ただ、燃料の高騰という問題は先行きが見えませんし、自然環境もますます悪化していくでしょう。
そう考えると、初期投資が高額となっても、これからの持続可能な農業には、アグリソーラーを使った農業ハウスは、必要な施設になる可能性を秘めていると思います。
■ 最後に
翔栄ファームの母体である株式会社翔栄クリエイトは、太陽光発電の開発などクリーンエネルギー事業をメイン事業としています。
アグリソーラーは、これまで培ったクリーンエネルギー事業のノウハウと、翔栄ファームの農業のノウハウを生かした、新しい試みです。
龍ヶ崎農場でのアグリソーラーを使った農業用ハウスの建設は、これからスタートしますが、このブログでも、継続して情報発信をしていきたいと思います。
※現在の農業における課題(2)は10/28(金)に公開予定です。