農業を営む上でとても重要なのが、種や苗の入手。
良い種の確保なくして、
良い作物の栽培はできません。
そしてここにからんでくる法律が、種苗法なのです。
現在、改正の動きが進んでいるこの法律について、
おさらいしてみたいと思います。
■新品種を作った人を守るための決まりです
現行の種苗法は、1998年に公布された
割と新しい法律です。
元々は農産種苗法というものが昭和からあり、
それを改正していく過程でこの名前になりました。
また、主要農作物種子法(種子法)
というものも以前は存在し、
コメや大豆などの主要作物の種子の
安定生産などについて定めていましたが、
こちらは2018年に廃止されています。
種苗法には、
「この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする」
とあります。
簡単にいうと、新しい品種とそれを作った人を
守っていくことを主眼とした法律、
ということになりましょうか。
例えば、いちごの場合、
「とちおとめ」や「とよのか」の他
「あまおう」などの名前がついていたりするのは
皆さんご存知かと思います。
これが品種名なのですが、
さらに「一般品種」と「登録品種」に分類されます。
言葉の通りに、後者は権利者によって
登録されている品種のこと。
この法律ではそれらに関する権利を守ろうというわけです。
もちろん登録がされていない、一般品種の方は扱いません。
ちなみに国内で栽培・流通されている
作物のほとんどは一般品種で、
「固定種・在来種」もこちらにあたります。
この法律の背景にあるのは
「植物の新品種の保護に関する国際条約」
(UPOV条約)の存在です。
1991年に改正され、日本も締結国に
名を連ねていますので遵守する必要があります。
目的は日本の現行の種苗法とほぼ同じで
「植物の新品種の保護」。
こちらが元ネタなので同じなのは当然です。
種苗法の考え方は、特許権や
実用新案権の考え方によく似ています。
原作準拠でUPOV条約から抜き出すと、
以下のような人々の権利が保護されています。
「品種を育成し又は品種を発見し,かつ完成させた者」
――つまり「特許権者」みたいな。
必ずしも正確ではありませんが、
雰囲気としてはこんな感じでしょうか。
新規性や区別性などの条件が定められていることや、
登録出願制となっているところも似ています。
なぜ作物領域でこんな法律が必要かというと、
例えばいちごでいえば、登録品種にあたる
「あまおう」の偽物が海外で見つかったりしています。
「あまうお」なんて書いてあったりするようです。
要するにブランド品の
コピー被害みたいなことがあるわけです。
しかも農作物の場合は、種や苗さえあれば
そこからコピーできる可能性があります。
栽培方法や環境の要素があるので
同じ品質にはなかなかならないでしょうが、
遺伝的には同じものなのです。
そしてこれは一例にすぎず、
将来はもっと大きな問題になる可能性すらあるのです。
そうなってしまっては
品種を作り出した人たちのためにならないので
しっかりと保護していきましょう
ということなのです。
■改正に向けた動きと、それにまつわる議論が進んでいます
さてそんな種苗法ですが
2020年3月現在、改正されようとしています。
上記の方針を強化するもので、
登録品種の自家増殖が基本的に禁止となります。
許諾制になるのですが、これが農家の自主性を侵害したり
負担になる等として非難する向きもあるようです。
また制限が一般品種にも及ぶのではないかと
危ぶむ声もなくはないので、
気になる方は今後も動向を見守っておきましょう。
なお、「固定種・在来種」のお野菜は
どれも基本的に一般品種ですので
上記改正の影響はなく、ご心配には及びません。
(少なくともそうであると我々は信じています)
農業を営む上でとても重要なのが、種や苗の入手。良い種の確保なくして、良い作物の栽培はできません。
そしてここにからんでくる法律が、種苗法なのです。
現在、改正の動きが進んでいるこの法律について、おさらいしてみたいと思います。
■新品種を作った人を守るための決まりです
現行の種苗法は、1998年に公布された割と新しい法律です。
元々は農産種苗法というものが昭和からあり、それを改正していく過程でこの名前になりました。
また、主要農作物種子法(種子法)というものも以前は存在し、コメや大豆などの主要作物の種子の安定生産などについて定めていましたが、こちらは2018年に廃止されています。
種苗法には、
「この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする」
とあります。
簡単にいうと、新しい品種とそれを作った人を守っていくことを主眼とした法律、ということになりましょうか。
例えば、いちごの場合、「とちおとめ」や「とよのか」の他「あまおう」などの名前がついていたりするのは皆さんご存知かと思います。
これが品種名なのですが、さらに「一般品種」と「登録品種」に分類されます。
言葉の通りに、後者は権利者によって登録されている品種のこと。この法律ではそれらに関する権利を守ろうというわけです。
もちろん登録がされていない、一般品種の方は扱いません。
ちなみに国内で栽培・流通されている作物のほとんどは一般品種で、「固定種・在来種」もこちらにあたります。
この法律の背景にあるのは、「植物の新品種の保護に関する国際条約」(UPOV条約)の存在です。
1991年に改正され、日本も締結国に名を連ねていますので遵守する必要があります。
目的は日本の現行の種苗法とほぼ同じで、「植物の新品種の保護」。
こちらが元ネタなので同じなのは当然です。
種苗法の考え方は、特許権や実用新案権の考え方によく似ています。
原作準拠でUPOV条約から抜き出すと、以下のような人々の権利が保護されています。
「品種を育成し又は品種を発見し,かつ完成させた者」
――つまり「特許権者」みたいな。
必ずしも正確ではありませんが、雰囲気としてはこんな感じでしょうか。
新規性や区別性などの条件が定められていることや、登録出願制となっているところも似ています。
なぜ作物領域でこんな法律が必要かというと、例えばいちごでいえば、登録品種にあたる「あまおう」の偽物が海外で見つかったりしています。「あまうお」なんて書いてあったりするようです。
要するにブランド品のコピー被害みたいなことがあるわけです。
しかも農作物の場合は、種や苗さえあれば、そこからコピーできる可能性があります。
栽培方法や環境の要素があるので同じ品質にはなかなかならないでしょうが、遺伝的には同じものなのです。
そしてこれは一例にすぎず、将来はもっと大きな問題になる可能性すらあるのです。そうなってしまっては品種を作り出した人たちのためにならないので、しっかりと保護していきましょう、ということなのです。
■改正に向けた動きと、それにまつわる議論が進んでいます
さてそんな種苗法ですが、2020年3月現在、改正されようとしています。
上記の方針を強化するもので、登録品種の自家増殖が基本的に禁止となります。許諾制になるのですが、これが農家の自主性を侵害したり負担になる等として非難する向きもあるようです。
また制限が一般品種にも及ぶのではないかと危ぶむ声もなくはないので、気になる方は今後も動向を見守っておきましょう。
なお、「固定種・在来種」のお野菜は、どれも基本的に一般品種ですので上記改正の影響はなく、ご心配には及びません。
(少なくともそうであると我々は信じています)