翔栄ファームでは安心・安全な食を提供できるように自社農園で野菜を中心に作付けしておりましたが、これまで以上皆様に毎日召し上がっていただけるものを全てご提供できるようにと考えております。
そこで重要になってくる穀類もお届け出来るよう作り始めております。
昨年は、龍ケ崎農場で放棄されていた水田を改修し、米作りを初めました。幸い農場の近くに周りでお米を作っておらず、農薬などが流入しない田を使わせて頂くことが出来ました。
ご近所の方のお話では、その田では以前作付けが行われていた頃には美味しいお米が取れていたとのでした。田の状況は草などが繁茂していたので重機を使い、田起こしが出来る状態にし、また以前に水源として利用され放置されていた井戸も復旧させ、何とか稲を植えることが出来ました。
昨年秋には無事お米を収穫することが出来ました。今年も新たに作付けする田を増やし、稲作を行う予定です。
■ まずは麦から始める
前橋農場でも穀類を作付け出来ないか田を探しておりましたが、農薬の影響を受けにくい田を探すことが中々かないません。
田の場合、どうしても水を使う必要があるため、上流に農薬、化学肥料を使う慣行農法で作付けされている田があると、下流の田も上流で使った農薬、化学肥料が流入してしまう可能性がありますので、畑以上に周りの影響を受けない場所を探すことが難しくなります。
しかし穀物を作付けしたいという願いを実現するため、まずは麦から始めることにしました。
群馬は昔から麦の作付けが盛んで近隣の田でもお米の裏作で麦を栽培しており、6月位に麦の穂が金色に色づき、秋の田が稲穂の黄金色に染まるように、俗に言う麦秋の風景を見ることが出来ます。又、麦は畑で作ることが出来るのです。
前橋農場で始めに拓いた畑は、赤城山中腹にある三夜沢にあります。一昨年から近隣で熊が出るようになり、なかなか細かく面倒を見なければならない作物を育てることが難しい所になってしまいました。
唯、ここは初めて我々が開拓した場所でもあり、農地として作付けを続けたいと思っています。またこの畑は周囲の畑からも離れており、化学物質の影響も受けにくい場所になっています。この為、今回はこの畑で小麦を作付けすることにしました。
■小麦の品種は農林61号
昨年、小麦の品種を選定し、農林61号と言う品種を選びました。この品種は昭和19年に佐賀県農業試験場で生まれたものです。
小麦の香りが強く、グルテンの量は多くなく、中力品種として分類されており、うどんなどの麵加工に向いている品種です。
昭和30年から50年にかけては日本の小麦面積の半数以上を占めていました。但し、草丈が他の品種に比べ高くなり、倒れやすい傾向があるためコンバイン等で刈り取り難くなるせいもあり、最近では作付け面積が減少しています。
品種としては難しいかもしれないのですが、風味が豊なものをご提供できるようにと思いこれを選びました。
■ 旬の野菜を春までお届けしたい
我々は過去に岐阜農場で六条大麦を作りました。
初年度は上手く成長してくれ、無事収穫できましたが、作付け二年目は途中までは前年以上に順調に育っていてくれたのですが、その年の長雨のせいもあり穂が成熟する前に赤カビが穂に発生する、赤カビ病が蔓延してしまい、畑の麦が全て出荷できなくなってしまうという失敗も経験しました。
種を播き、芽が出てきた後に麦踏をし、春先からは株間の除草を行い、穂が出てきたときに大量に発生する害虫を除去し手塩にかけて育ててきた麦が収穫出来なくなってしまったことは非常につらいものがありました。
■ 自然栽培で麦を育てる
日本での麦の栽培は穂が出る時期が丁度、梅雨の時期と重なることが多く、カビによる被害が発生しやすい傾向があります。この為、今回はその失敗を踏まえ、種を播く際に畝と畝の間を広めにとり、風通しを良くし、乾燥気味になるようにしてみました。
この作付けが上手くいくかどうかは今年の6月に収穫するまでわかりませんが、この方法が上手くいってくれることを願っています。
慣行農法では農薬、化学肥料を使い、このような出荷できないという失敗を防ぐ為に利用されています。しかし、これらの化学物質を農地に播くことにより、その土地が本来持つ生態バランスを崩してしまっているとも言えます。
幸い日本では降雨量が多く、直ぐに雑草などが生えてくる風土なのであまり注目されていませんが、乾燥しており生態バランスが崩れやすい海外の土地では、土の栄養などが流失してしまい作物が育てられなくなく農地が増えてしまっています。
我々は本当に皆様に安心して召上がって頂ける作物を提供していけるよう、これら農薬や化学肥料を一切使いません。これは唯出来る作物の安全性を担保するだけでなく、作物を安全に育てる環境を崩さないで、永きに渡って農業を続けられるようにしたいからです。又、作物の自家採種することもその土地の環境に合った種を残すことで、安定した収穫をあげられるようにしたいとの想いから続けています。
決して楽な道ではないと思いますがこれからも自然栽培で安定した収穫を上げられるように経験を積み、努力して参ります。