先日、久しぶりに翔栄ファームの
自然栽培の先生からお話を伺う機会がありました。
今回は「後作(あとさく)」についてです。
「後作」はリレー栽培ということもあるらしく、要は
「Aという作物の収穫の後にBではなくて
Cという作物を植えると土中のバランスが整って
微生物が活性化しますよ」
みたいに、自然と共に営農していく
という具体的アクションの一つが、
「後作」だと仰っていました。
とういうわけで今回も私たちが教わったことの
エッセンスを皆様にも共有します。
ご紹介するのは4つの品目(枝豆、スイカ、ピーマン、大根)に
ふさわしい「後作」作物です。
◆コンパニオンプランツとの違い
過去記事「【農場便り】コンパニオンプランツ」で
お伝えしたように、コンパニオンプランツとは、
一緒に植えるとよい影響を与え合う植物同士のこと。
そしてその主な効果は「病気予防」、
「害虫忌避」、「生育促進」、「空間効果」です。
一方「後作」は収穫後の場所に
相性のよい作物を植えるということです。
つまりその本質はコンパニオンプランツ同様、
自然界の作用を捉えた
「自然の知恵」そのもののことです。
というわけで、せっかくならば
コンパニオンプランツと後作は
併用した方が効果的ですよ、
ということを先生は強調されていました。
◆「枝豆」の後作には「白菜」
ではいよいよ本題に入ります。
枝豆の後作にふさわしい作物はずばり白菜です。
が、皆様はその理由をご存じでしょうか?
白菜は葉が大きいですよね。また、結球します。
実は白菜に限ったことではないのですが、
このような性質を持つアブラナ科の作物は
多くの肥料(もちろん土中の自然栄養分も)を必要とします。
実はこの場合は、
白菜の前が枝豆であってほしいということなのです。
というのは、枝豆の根には
根粒菌がたくさん存在します。
窒素を固定させる名人だからです。
この根粒菌が白菜の生育に効くのです。
こんな実験があります。
枝豆の後作として白菜を定植した後、
初めは順調なものの
同じ場所で数回連続して白菜を植え続けると、
結球がどんどん小さくなっていくことが
確認されています。
理由は明快。土が痩せていくからです。
このように枝豆に代表される
(実はこれに限らず大豆でもOK)
マメ科の植物の収穫の際には、
それらを全部引き抜かず
根を少し残しておいてあげると
健康な白菜が育ちやすいとのことです。
◆「スイカ」の後作には「ほうれん草」
「後作」については
あらかたイメージができたと思いますので、
ここからは「後作にふさわしい理由」に絞ってご説明します。
ということで2例目は、
なぜ「スイカ」の後作は「ほうれん草」か?です。
スイカの根は長くて深いです。
夏にスイカを食べた時のことを思い出してください。
水分が豊富でのどが渇いた時のスイカは
とても美味しいですよね。
スイカの根が長く深い理由はここにあるのです。
90%が水分のスイカにとって、
地中から必要な水分を吸収するための
宿命というわけです。
必然的にスイカが植わっていた場所の土中は、
水も空気もよく通り、しかもやわらかくなっています。
つまり根の深いほうれん草にとっては、
最適な生育環境というわけです。
他にも直根(ちょっこん)系の野菜である
人参や大根もスイカの後作に向いています。
◆「ピーマン」の後作には「レタス」
実はこの場合には後作というよりは、
「時期をかぶせながら」、つまりは
コンパニオン的に畝間や畝横に植えるといいのです。
なぜならばピーマンが
防寒の役割を果たしてくれるからです。
“ピーマンの傘にレタスが守られている”、
といったイメージです。
ピーマンは根が浅く、夏野菜の最後の登場キャラです。
このように農業は各作物の特徴を知って
助け合う野菜を見つけ出すことが重要ですが、
同時にそれが楽しみでもあり、
自然との共生に一歩近づくことでもあります。
◆「大根」の後作には「さつまいもやじゃがいも」
4つ目は大根です。
大根は土地が痩せていても比較的育ちやすい作物です。
程度の問題はありますが、水はけ、
通気性が低い地力の圃場であっても、です。
このような場所において
大根の後作として重宝するのが、
さつまいもやじゃがいもです。
まあ、後作というよりは
むしろ大根と交互に栽培することができる作物
といった方が的確かもしれません。
農業にはこのようなちょっとした知識や
知恵がものすごく大切なのです。
(因みに大根は虫に食われていたとしても
生長点が残っていれば再生します)
以上、今回ご紹介したことは
営農に必要な知識のほんの一部です。
もちろんこれらの他にも
数多くの組み合わせが存在します。
しかし重要なことはその土地のことをよく知り、
土づくりを第一に考えていく中で、
どこに何の作物を植えたらいいかを
常に思いめぐらすことです。
自然栽培の先生は
勉強会の冒頭でこのように仰っていました。
「栽培日誌を必ずつけること。これは日記のように夜寝る前に行うのではなく、常に携帯しリアルタイムで聞いたこと、知ったこと、気が付いたことなどを記録することが大切だと。なぜならば自然栽培という自然の叡智は常に目の前にあるからです」
と。
続けてこれらの獲得した知恵は、
お客様をはじめ多くの人々に伝えることが大切である、
ということも強調なさっていました。
●「枝豆」の後作は「白菜」
●「スイカ」の後作は「ほうれん草」
●「スイカ」の後作は「ほうれん草」
●「大根」の後作は「さつまいも」「じゃがいも」
先日、久しぶりに翔栄ファームの自然栽培の先生からお話を伺う機会がありました。今回は「後作(あとさく)」についてです。
「後作」はリレー栽培ということもあるらしく、要は「Aという作物の収穫の後にBではなくてCという作物を植えると土中のバランスが整って微生物が活性化しますよ」みたいに、自然と共に営農していくという具体的アクションの一つが、「後作」だと仰っていました。
とういうわけで今回も私たちが教わったことのエッセンスを皆様にも共有します。ご紹介するのは4つの品目(枝豆、スイカ、ピーマン、大根)にふさわしい「後作」作物です。
◆コンパニオンプランツとの違い
過去記事「【農場便り】コンパニオンプランツ」でお伝えしたように、コンパニオンプランツとは、一緒に植えるとよい影響を与え合う植物同士のこと。そしてその主な効果は「病気予防」、「害虫忌避」、「生育促進」、「空間効果」です。
一方「後作」は収穫後の場所に相性のよい作物を植えるということです。つまりその本質はコンパニオンプランツ同様、自然界の作用を捉えた「自然の知恵」そのもののことです。
というわけで、せっかくならばコンパニオンプランツと後作は併用した方が効果的ですよ、ということを先生は強調されていました。
◆「枝豆」の後作には「白菜」
ではいよいよ本題に入ります。
枝豆の後作にふさわしい作物はずばり白菜です。が、皆様はその理由をご存じでしょうか? 白菜は葉が大きいですよね。また、結球します。実は白菜に限ったことではないのですが、このような性質を持つアブラナ科の作物は多くの肥料(もちろん土中の自然栄養分も)を必要とします。
実はこの場合は、白菜の前が枝豆であってほしいということなのです。
というのは、枝豆の根には根粒菌がたくさん存在します。窒素を固定させる名人だからです。この根粒菌が白菜の生育に効くのです。
こんな実験があります。枝豆の後作として白菜を定植した後、初めは順調なものの同じ場所で数回連続して白菜を植え続けると、結球がどんどん小さくなっていくことが確認されています。理由は明快。土が痩せていくからです。
このように枝豆に代表される(実はこれに限らず大豆でもOK)マメ科の植物の収穫の際には、それらを全部引き抜かず根を少し残しておいてあげると健康な白菜が育ちやすいとのことです。
◆「スイカ」の後作には「ほうれん草」
「後作」についてはあらかたイメージができたと思いますので、ここからは「後作にふさわしい理由」に絞ってご説明します。
ということで2例目は、なぜ「スイカ」の後作は「ほうれん草」か?です。
スイカの根は長くて深いです。夏にスイカを食べた時のことを思い出してください。水分が豊富でのどが渇いた時のスイカはとても美味しいですよね。スイカの根が長く深い理由はここにあるのです。90%が水分のスイカにとって、地中から必要な水分を吸収するための宿命というわけです。
必然的にスイカが植わっていた場所の土中は、水も空気もよく通り、しかもやわらかくなっています。つまり根の深いほうれん草にとっては、最適な生育環境というわけです。
他にも直根(ちょっこん)系の野菜である人参や大根もスイカの後作に向いています。
◆「ピーマン」の後作には「レタス」
実はこの場合には後作というよりは、「時期をかぶせながら」、つまりはコンパニオン的に畝間や畝横に植えるといいのです。なぜならばピーマンが防寒の役割を果たしてくれるからです。“ピーマンの傘にレタスが守られている”、といったイメージです。ピーマンは根が浅く、夏野菜の最後の登場キャラです。
このように農業は各作物の特徴を知って助け合う野菜を見つけ出すことが重要ですが、同時にそれが楽しみでもあり、自然との共生に一歩近づくことでもあります。
◆「大根」の後作には「さつまいもやじゃがいも」
4つ目は大根です。大根は土地が痩せていても比較的育ちやすい作物です。程度の問題はありますが、水はけ、通気性が低い地力の圃場であっても、です。このような場所において大根の後作として重宝するのが、さつまいもやじゃがいもです。
まあ、後作というよりはむしろ大根と交互に栽培することができる作物といった方が的確かもしれません。
農業にはこのようなちょっとした知識や知恵がものすごく大切なのです(因みに大根は虫に食われていたとしても生長点が残っていれば再生します)。
以上、今回ご紹介したことは営農に必要な知識のほんの一部です。もちろんこれらの他にも数多くの組み合わせが存在します。
しかし重要なことはその土地のことをよく知り、土づくりを第一に考えていく中で、どこに何の作物を植えたらいいかを常に思いめぐらすことです。
自然栽培の先生は勉強会の冒頭でこのように仰っていました。
「栽培日誌を必ずつけること。これは日記のように夜寝る前に行うのではなく、常に携帯しリアルタイムで聞いたこと、知ったこと、気が付いたことなどを記録することが大切だと。なぜならば自然栽培という自然の叡智は常に目の前にあるからです」
と。続けてこれらの獲得した知恵は、お客様をはじめ多くの人々に伝えることが大切である、ということも強調なさっていました。
参考:
プレジデント社刊「WIRED VOL.40(マイクロオーガニズム共生基礎ガイド2021)」