基本調味料「さ・し・す・せ・そ」の「そ」にあたる味噌、味噌のルーツは中国?韓国?それとも日本?と説はいろいろあるようですが、日本の伝統食品であり、日本人の食生活、健康を支えてくれていることは間違いありません。
「一汁一菜」と言われる主食、汁物、おかずの汁物はお味噌汁と言われ、みそ汁一杯三里の力、日本の発酵文化の象徴、「味噌の医者殺し」とも言われていたように健康食材としての味噌の力はすごいとされてきました。
今回はそのすごいとされる「味噌のパワー」についてのお話です。
■ 味噌の栄養と健康効果
味噌の原材料は大豆でこの大豆にはたんぱく質、脂質、炭水化物がバランスよく含まれています。これらは人の体づくりに役立つ栄養素です。そのため普段何気なく飲んでいるお味噌汁1杯が与えてくれる健康パワーはとても偉大です。
〇味噌の栄養成分
味噌の主な成分は、水分、炭水化物、たんぱく質、脂質、ミネラルなど、ビタミンでは、ビタミンB群やE、Kを多く含み、ミネラルでは、特にナトリウム、モリブデンが多く、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄など、繊維質も含みます。
大豆の配合の多い味噌は旨みが強く、たんぱく質、脂質、カルシウムが多く、米や麦の配合の多い味噌は甘くなり、炭水化物が多くなります。
- たんぱく質
酵素によって分解され、体内で作り出すことができない必須アミノ酸をバランスよく含みます。
筋肉を合成し、大豆たんぱくは、しなやかで丈夫な血管を作るので、脳血栓を予防します。 - ビタミンB群
エネルギーの代謝に不可欠で疲労回復にも効果的です。 - ビタミンB12
大豆には含まれていないのですが発酵の過程で大幅に増え造血作用、神経疲労防止効果があります。 - 食物繊維
腸の掃除をしてくれるので、便秘解消など整腸効果があります。 - ビタミンE
活性酸素を無害化して老化防止、血行促進などの効果があります。 - ビタミンK
カルシウムを沈着させて骨質を強くします。 - イソフラボン
大豆イソフラボンは女性ホルモンに働きかけ、骨粗鬆症の予防、更年期障害の軽減、美肌、美白効果、乳がんの抑制、前立腺がんを予防します。 - 大豆レシチン
コレステロールの低下、物忘れ防止、血液をサラサラにしてくれるので動脈硬化や高血圧を予防し新陳代謝をよくしてくれます。さらには美肌効果も。 - コリン
神経伝達の促進に欠かせない成分で健脳食といわれています。二日酔い防止や脂肪肝防止にも。
- サポニン
血管に付いた脂肪やコレステロールを洗い流してくれる効果があり、抗肥満、老化防止、動脈硬化を予防してくれます。 - メラノイジン
味噌の茶色の色素成分のことで強力な抗酸化作用があります。老化防止やがん予防、放射能除去効果に有効といわれています。赤味噌など、色の濃い味噌ほど多く含まれています。
- リノール酸
必須脂肪酸で血中コレステロールをそのまま便として排泄します。
- 遊離リノール酸
味噌の中のリノール酸が発酵の過程で分解され、多くが遊離リノール酸になります。
遊離リノール酸やコウジ酸には、メラニンの合成を抑制し、シミやソバカス予防、美白効果があります。味噌を作る麹職人の手は白いといわれていますがこの成分が有効である証拠のようです。
栄養成分がこんなにもたっぷり!恐るべき味噌パワーですね。
〇味噌の健康効果・効能は?
味噌に期待できる健康効果をまとめると、
胃がん予防、肝臓がん予防、乳がん予防、胃潰瘍の予防、コレステロール抑制、老化防止、美肌効果、消化促進、整腸作用、疲労回復、脳の活性化、基礎代謝の促進、放射性物質の排出
などと言われています。
胃がんの死亡率が低いって本当!
国立がんセンター研究所の疫学調査では、男女いずれも、味噌汁を飲む頻度が高いほど、胃ガンによる死亡率が低いことがわかっています。
これは、味噌に含まれる不飽和脂肪酸、イソフラボン、酵母、乳酸菌等が細胞のガン化を招く変異原性物質を抑制する効果があるからと言われています。毎日みそ汁を飲むことで腸が掃除され体調を整え胃病にかかりにくいという統計もあるようです。
前にも述べましたが、味噌の原料は「畑の肉」ともいわれる大豆です。発酵することで大豆に含まれるアミノ酸、ビタミン類がさらに生成され、大豆で摂取するよりも味噌として摂取したほうがその栄養効果は優れています。
味噌ほど多くの栄養成分をバランスよく含むものは他にはなく、まさに味噌は「長生きの薬」と言えます。毎日お味噌汁を飲むことを習慣として病気予防や健康づくりに役立てましょう。
■ 塩分は大丈夫なの?気になる塩分と理想のお味噌汁
「お味噌汁」というと塩分を気にされる方も多いかと思われます。
味噌汁お椀1杯の塩分は1.2gほどと言われています。1回の食事の塩分摂取量の目安が男性9g未満、女性7.5g未満なのでお味噌汁1杯は意外と少ないほうと言えます。ちなみにカップラーメンの場合は5.2gもあります。
また塩分の体内吸収を防いでくれる具材にすることで、塩分量を減少させることもできます。例えばカリウムを多く含んだ具材、ほうれん草、春菊、芋類は塩分の吸収を防ぎ、食物繊維の多い具材、わかめ、ごぼう、こんにゃくなどは塩分を体外に排出してくれます。
いろいろな具材をうまくあわせて塩分量を調整しながら味や見た目なども楽しみながらお味噌汁を飲むのもいいですね。
■ ふるさとの味の味噌
味噌は産地、原料、配合などにより色、味、香りも変わります。原料は大豆、麴の種類によっても米みそ、麦みそ、豆みその大きく3つに分かれます。
通常「みそ」と言われているものは米みそのことで米みそも白みそ、赤みそ、淡色、味も辛口、甘口など全国各地の風土に根ざす、いわゆるふるさとの味と言える味噌が数多く存在しています。
白みそは近畿地方・岡山・広島・山口・香川、赤みそは東京などと分類されています。
ちなみに豆みそは愛知・三重・岐阜など、麦みそは愛媛・山口・広島・鹿児島・長崎・大分などが有名です。微生物を使用して発酵させた食品ですのでそれぞれの地域の特徴が感じられるもののようです。
■ 手づくり味噌を作ろう!
これからご紹介するのは一般的な手づくり味噌の手順です。分量はお好みで、お味噌づくりに挑戦して「手前味噌(我が家の味噌)」自慢をしましょう!
米麴1kg
生大豆 500g
大豆煮汁(人肌:熱いと麴が死んでしまう)240cc
塩 295g
1.生大豆を一晩水に漬けてふやかしましょう。(12時間以上、倍の大きさに膨らむ)
2.大豆を水洗いしてザルにあけ、圧力鍋で柔らかく煮ます(15分から20分ほど)。
普通の鍋の場合は3,4時間あくを取りながら水を足して(ネチとつぶれる硬さまで)、沸騰したら弱火にして(生大豆を煮ると約倍の1100gになります)煮ます。
煮汁は冷まして取っておきましょう。米麴、煮汁、塩をよく混ぜます。
まんべんなく混ぜたら味噌団子を作りましょう。密閉容器に隙間なく詰め込むためです。
密閉できる容器またはチャック袋(チャック部分を先に折り曲げてから入れると密閉しやすい)団子を隙間なく入れていき空気が入らないように密閉します。カビ防止と発酵を促進させるためにもチャック袋の場合は1週間ごとに上下を変えるといいです。
発酵させる際のコツですが、密閉容器の場合はお味噌をぎりぎりの高さまで仕込むとたまりが上がるなど熟成による変化があるので、少し余地を作っておきましょう。
カビが生えないよう密封容器の表面に小さじ一杯分ぐらいの塩をふっておくといいです。カビは、空気がなければ生えませんが容器の側のふちのところは比較的カビが生えやすくなります。中心より側面の方に心もち塩を多めにし、最後にラップをかぶせます。淵のところは、少し多めにして空気が入らないようにラップを折り曲げておくといいです。
お味噌は、表面より中の方がおいしくなります。樽のような大きな容器で作ったほうが熟成するのですが、ご家庭で作る場合など出来上がりが、2,3キロぐらいならチャック袋を使ったほうが便利です。
夏季は2、3か月、冬季は3、4か月ほど、温かいほうが発酵が早いです。直射日光の当たらない冷暗所が適していますので 流し台の下、物置、玄関、床下収納などに保管します。中の方を試食して好みの味になり、発酵を止めたいタイミングで冷蔵庫に移しましょう。
カビが出てしまったらカビの部分をスプーンで取り除き念のためアルコール、リカー、もしくは塩などを表面にぬっておきましょう。食べるときはその部分は取り除けば大丈夫、味噌づくりにカビはつきものですので慌てずに対応しましょう。
塩分不足や気温が高すぎると嫌なにおいが発生したり、大豆をよくつぶさずに仕込んだり、混ぜ方が足りないと腐敗してしまったり、などなどうまく発酵できない場合もあるかもしれません。
失敗と思われても回復できる手段はあるようです。なぜなら味噌は失敗するのが難しいともいわれるほど手づくりに向いた食品と言われているんです。ご家庭で手づくりしてお好みの味のお味噌汁で腸活、健康なからだづくりをめざす発酵ライフを楽しみましょう。
■ 翔栄ファームが挑戦する味噌づくり
翔栄ファームでは6次化に挑戦しており、一昨年より自然栽培で大豆、フクユタカや、丹羽黒大豆を育てきな粉に加工することに成功しました。
昨年度は大豆の作付けをしませんでしたが今年度には大豆を育て味噌づくりに挑戦する予定です。手づくり味噌の販売や、店舗、圃場での味噌づくり体験イベントなどの開催も計画しております。
また翔栄ファームオリジナルの美味しい味噌づくりのレシピなどもご紹介したいと思います。翔栄ファームの自然栽培で育った大豆が収穫できるまで今少しお待ちください。
安全へのこだわりは膨大な手間と試行錯誤の連続ですが、今、翔栄ファームでは安心して食べられる安全な食の提供を目指し、どなたにも安心してお召し上がりいただける安全なお野菜に加え米、大豆、麦などの穀物類も手掛けていく準備をすすめています。
翔栄ファーム6次化商品:フクユタカのきな粉
翔栄ファーム6次化商品:丹羽黒大豆の黒大豆きな粉