イライラする、肌あれ、なんとなく体調が悪い、原因はストレスや女性ホルモンの変動によるもの、月経前症候群(PMS)なのかもしれません。
今回はPMSのことを知って、理解して、うまく付き合うにはどうしたらいいのかを考えたいと思います。
■ PMSって何?
月経前症候群「premenstrual syndrome」のことを PMSと呼んでいます。
月経(生理)の前に気持ちやからだに不調を感じる・・・思い当たる方は多いのではないでしょうか?
もしかしたら、それはPMSの症状かもしれません。その症状は人により違い、同じ人でも月によって違い、と症状は200種類以上だとか・・・
気持ち(精神的)の不調:
イライラする、悲しい、ボーとなる、怒りっぽくなる、憂鬱、落ち着かない、人に八つ当たりしちゃう、集中できない、など
からだ(身体的)の不調:
乳房が張る、痛い、疲れる、だるい、頭痛、腰痛、肌荒れ、むくみ、のぼせ、など
これらは代表的なPMSの症状です。
*PMSだと思っていたら実は違う病気なんてこともあるようです。あまりひどいときはきちんと病院にいくことも必要です。
PMSの症状が重くなると日常生活や仕事にも支障が出てしまいます。
集中力が続かない、ミスが増える、イライラする、人にあたるなど、「そんなつもりじゃなかったのに」と自身でコントロールができなくなります。
そんな場合は「私は・・・」とPMSでこのような症状が出てしまうことを周囲の人に伝え、理解をしてもらう環境づくりをするのも1つの解決方法かもしれません。
■ なぜ発症するの?
PMSのメカニズムは女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の変動が関わっていると考えられていますがその原因ははっきりとはわかっていません。
エストロゲン:女性らしさをつくる卵胞ホルモンで自律神経のバランスを整え、骨、皮膚、脳の働きにも関与しています。
プロゲステロン:妊娠を助ける黄体ホルモンで妊娠中の状態を安定させ、体内の水分を保持、食欲増進、基礎体温を上げます。
どちらも女性にとって大切なホルモンなのですがそれが乱れることで厄介な症状が出てしまいます。
〇PMSの症状が重くなる原因
PMSの症状が重くなる原因として考えられるのが、
急な環境の変化
ハードワークなどの緊張によるストレス
その人の性格(悪いことではないのですが・・・)
・几帳面だったり
・完璧主義だったり
・自信に厳しく負けず嫌いだったり
自律神経の乱れ
免疫力の低下
食生活のバランスが悪い
などが考えられています。
■ PMSとうまく付き合おう!
PMSとうまく付き合うには自身のライフスタイルを改善してみましょう。
不規則な生活をしない
ストレスを溜めない
バランスの摂れた食事をする
PMSの原因と思われる女性ホルモンの乱れを正すには、まずは、食生活を改善することが大事な第一歩です。
ホルモンバランスが乱れやすい食生活とは、
・食事をとらないことが多い
・好き嫌いが多い
・揚げ物やファーストフードをよく食べる
・野菜を食べない
・お菓子など間食が多い
・冷たい食べ物や飲み物が好き
食事の摂り方やバランスが悪いと体重増加やむくみなどPMSを悪化させる原因になると考えられています。
〇PMSの症状の中で特に精神症状が強い場合におすすめ
イライラしたり急に悲しくなってしまったり、情緒が不安定などの症状の改善には、ビタミンB6やカルシウム、マグネシウムを摂取しましょう。
「ビタミンB6」はたんぱく質を分解してエネルギーに変え、分解したアミノ酸で筋肉や血液などを作る働きがあります。ドーパミンやアドレナリンなどの神経伝達物質の合成にも関連します。「カルシウム」は、骨や歯だけではなく血液や細胞などにも存在し、筋肉の収縮、弛緩の調整、神経刺激の伝達を保つ働きがあります。「マグネシウム」も骨に多く存在するミネラルですが、カルシウムと協力して筋肉の働きを調整し、神経の伝達を正常に保ってくれます。
これらの栄養素がイライラを鎮め精神を安定させてくれる作用があるので改善が期待できます。
「ビタミンB6」はカツオやマグロなどの魚類、肉類、レバー、バナナなどに多く含まれ、ビタミンB2と一緒に摂取すること活性化します。卵やチーズ、うなぎ、青背魚、たらこ、きのこなどと一緒に食べると効果的と言われています。
「カルシウム」は、いわしやしらす、干しえび、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、モロヘイヤ小松菜などに多く含まれています。
カルシウムは体内に吸収されにくい栄養素のひとつでビタミンDと一緒にとると吸収率が高くなります。卵や、紅鮭、いわし、にしん、きのこなどと一緒に食べると効果的です。
「マグネシウム」はナッツ類、さばやいわしなどの魚類、玄米、そば、わかめや昆布、大豆などに多く含まれます。
神経の伝達に関与している「ビタミンE」を摂取することで精神不安定の改善が期待できます。ビタミンEはブロッコリー、かぼちゃ、モロヘイヤ、赤ピーマン、アーモンド、ピーナッツ、いくら、たらこ、うなぎ、はまちなどに多く含まれています。
〇PMSの症状の中で特に身体症状が強い場合
頭痛や腹痛、むくみなどが酷い場合は塩分を抑える食事を摂るようにしましょう。塩分をたくさん摂取してしまうと、塩分濃度を下げようとして水分を体内にため込んでしまうためむくんでしまいます。普段の食事でもしょうゆ、味噌、漬物など気づかないうちに塩分を摂りすぎていることがあります。外食が多い方は特に塩分の摂りすぎになりがちなので注意が必要です。食事はなるべく塩分控えめを意識しましょう。
塩分を控える食事を摂るためには、出汁、酢、レモンなどの酸味、カレー粉、唐辛子、こしょうなどのスパイス、青じそ、みょうがなどの香味野菜をうまく使い、塩分が控えめでも美味しく食べられる工夫をするといいでしょう。
塩分を排出すカリウムが含まれる食材を摂取することも必要です。カリウムはナトリウムとともに体内の水分バランスを保ち体内の余分な塩分を排出してくれるのでむくみ解消の効果があります。
「カリウム」が多く含まれているほうれん草や小松菜、枝豆、さつまいも、里芋、アボカド、バナナ、大豆、納豆、昆布やひじきなどの海藻類を食べるといいでしょう。
水分を体の外へと排出する働きがある「ビタミンE」を多く含むブロッコリーやアーモンドなどのナッツ類、豆類なども摂取しましょう。
尚、豆腐などの大豆製品に含まれる「イソフラボン」は、エストロゲンに似た働きをしますので摂取することによって、ホルモンバランスが整い不調の改善に効果があるとされています。豆腐や納豆、豆乳、味噌などの大豆製品を意識して取り入れるのもいいかもしれませんね。
〇血糖を急激に上昇させないようにする
白砂糖を含む甘い食べ物やジュースなどは、急激に血糖値を上昇させてしまいます。
血糖値が上昇することで一時的には気分が落ち着きます。が、血糖値の上昇が急激だった分下降も急激におこってしまいます。血糖値の急激な低下は、疲労感や情緒不安定を生じやすいため、PMSをさらに悪化させてしまうことがあります。
〇まごわやさしいのすすめ
バランスのいい食生活のためにおすすめなのが、「まごわやさしい」です。
豆類、ごま、わかめなどの海藻類、魚類、しいたけなどのきのこ類、芋類の7種類を指しています。毎日、意識して摂り入れるようにすることでバランスが摂れた食生活を送ることができます。食べる際は血糖値を一定に保つためにもよく噛みましょう。
〇ベジタブルファーストのすすめ
食事を食べる順番を変えるだけで血糖値の急激な上昇を抑えることができます。野菜やきのこ類、海藻類には糖質の吸収を緩やかにする食物繊維が豊富に含まれているので、まず野菜や海藻類などから食べます。
これがベジタブルファースト(ベジファーストとも言います)です。次に汁物や副菜などから食べ始めて、肉や魚などのメイン料理、最後にご飯やパンなどの炭水化物の順で食べると効果的と言われています。
〇酵素玄米ご飯(寝かせ玄米)のすすめ
炭水化物は白米や小麦粉などよりも食物繊維が豊富な玄米や全粒粉の方が血糖値の上昇が緩やかになります。最初は1日のうちの1食だけでもいいので白ごはんを玄米に変えてみるのもおすすめです。
3日ほど炊いた玄米ごはんを熟成させた酵素玄米は、ビタミンやアミノ酸、食物繊維などが増して、玄米ごはんよりもさらに栄養価が高くなるため高い効果が期待できます。
食事は1日3食決まった時間に食べることが大事です。血糖値の急激な上昇を防ぐことができますので可能な限り心がけてみましょう。
PMSの症状が出ると甘いお菓子が食べたいという方も多いようです。しかしながら、食事を減らしてお菓子を食べることはP M Sの症状を悪化させてしまう原因になります。「甘いものは絶対にダメ」となるとそのことがストレスになりますので3食の食事をしっかりと食べた上で適度にお菓子を楽しむようにするといいでしょう。
ただし、甘いお菓子の食べすぎはPMSの症状を悪化させてしまうと考えられていますのでおやつは栄養が摂れる素焼きのナッツやドライフルーツ、ヨーグルトなどに置き換えるといいかもしれません。
PMSを和らげるための飲み物は豆乳がおすすめです。前にも述べましたが豆乳に含まれる大豆イソフラボンが、女性ホルモンのエストロゲンと非常によく似た働きがあるのでPMSの緩和が期待されています。ホット豆乳など、体が冷えないようにするとより効果があると思われます。
食事は1日3食、主食・主菜・副菜、食堂の「○○定食」のように、規則正しく、バランスよくを継続することがポイントのようです。
ボリュームがある生野菜が食べにくければ、煮る、炒める、蒸すなど加熱すると食べやすくなります。冷蔵庫に残っている野菜をお味噌汁にいれるだけでもたっぷりとお野菜が摂れます。
毎日の食生活を変えてみる、なかなか大変かもしれませんが薬に頼らなくても大丈夫な日々を迎えられるよう、自身の症状にあった対処法を見つけてPMSとうまくつきあっていきましょう。