「脱プラスチック」、最近よく耳にしますね。スーパーでのレジ袋有料化、コンビニでのプラスチックスプーンやフォーク、ストローの廃止など、なぜ今、脱プラスチックへの取り組みが必要なのでしょうか?
今回は環境汚染だけではなく私たちの健康にも害があるとされているプラスチックとペットボトルについてのお話です。
脱プラスチック、その理由の1つは適切に処理されないプラスチックごみが海洋汚染、土壌汚染、大気汚染などの環境汚染の原因になっているからです。人工的な素材のプラスチックは人間がそれを焼却しない限りそのまま残ってしまいます。
■プラスチックが引き起こしている環境問題!
●地球温暖化
プラスチックは生産から廃棄までのすべての過程で温室効果ガスを排出します。
温室効果ガスとは二酸化炭素、メタン、フロン、一酸化二窒素などガスの総称のことで地表を温めるために太陽から放出される熱を地球に閉じ込める働きがあります。地球の温度を一定に保つ役割があり、私達生き物が生存するためには欠かせないものです。
もし、温室効果ガスがないと地球の温度はマイナス19℃になるそうなので私たちは凍え死んでしまいます。そのためなくてはならない温室効果ガスなのですが、増えすぎてしまうとそれも問題なんです。
宇宙に逃げるはずの熱が放出されないため地球全体の気温が上昇してしまいます。この現象がいわゆる地球温暖化というものです。
プラスチックを生産するにも廃棄の為に焼却するにも大量な二酸化炭素が排出されます。これは地球の平均気温が上昇している地球温暖化の原因の一つとされています。
また、プラスチックは太陽光により劣化するとメタンガスやエチレンガスを発生させてしまいます。特に多くのメタンとエチレンを排出しているのがレジ袋の原料であるポリエチレンであることも判明しました。ポリエチレンは世界で最も多く生産され廃棄されている合成ポリマーです。
プラスチックは環境や人の健康を害する化学物質を放出するばかりでなく気候変動にも関連されることが指摘されています。レジ袋は使わないでエコバッグを持ち歩こうと呼びかけられている理由がよくわかりましたね。
●海洋プラスチック問題
顔にプラスチックのストローが刺さったまま泳いでいるウミガメ、レジ袋をエサと間違え大量に呑み込み命を落としてしまったクジラなど、海の生き物たちのショッキングな画像をご覧になられた方は多いかと思います。
私たちがついうっかり落としてしまった1本のストローがいつの間にか海に流れ出て、それが生き物に刺さってしまうなんて私も生き物たちの痛々しい姿を見た時はかなりショックを受けました。
自分のごみは、どんなに小さなものでも最後まできちんと責任を持って処理しなければいけないなとつくづく考えさせられた瞬間でした。
生活に欠かすことができないプラスチックですが、その処理がきちんとされないことで海の生物たちに被害を与えてしまっています。命を落とすこともあるわけですからついうっかりなどという言い訳はできませんね。
プラスチックの多くは原料が石油です。合成樹脂とも呼ばれるものです。プラスチックは熱などにより自由に形成(加工)でき、軽量、耐久性が高く自然分解されない特徴から家庭用品、家電用品、医療用品などたくさんの製品に使用されています。
大変便利なのですが自然環境では分解されずに半永久的に残ってしまうため海洋環境にも影響を及ぼしています。適切に処理されなかったプラスチックごみが、直接海へ、あるいは河川から海へと流れ出てしまいます。
日本では1970年代後半ごろからポイ捨てなどが社会問題となりこれら散乱されたごみ問題が現在では海洋生物にまで影響を及ぼすマイクロプラスチック問題へと展開されてしまいました。
海に流れ出てしまった人工化合物のプラスチックが紫外線、波などで細かく砕かれます。次第に5ミリ未満の小さなマイクロプラスチックと呼ばれる破片になり、それを魚がエサと間違えて食べてしまうのです。
マイクロプラスチックに吸着している化学物質が魚の体内に蓄積されてしまうため、食べた生き物たちの生態系に大きな影響を与えてしまっています。
地球の表面の7割を占める海には自身の循環機能により気温や気候の安定化を支えていますが、流出し続けるプラスチックごみの量に循環能力が追い付かないのが現状です。
これらが環境を汚染し、海洋生物が食してしまうなどの悪影響が、さらにはプラスチックに含有されている有害物質が溶け出してしまい健康被害にまで影響しています。
日本でも容器のリサイクル、プラスチックごみの処理などの取り組みが行われていますが、プラスチックの使用量が増加、廃棄物も増加することにより海への影響は避けられない状況となっています。
そのためプラスチックをどこまで削減できるかという課題をクリアする対策をとらねばなりません。
2020年にはレジ袋有料化、レジ袋をもらわないなどの改革が始まっています。さらにはプラスチックの量を減らすだけでなく代替への転換、本当にプラスチックの機能が必要なものなのかどうかなどを考え直す必要があります。
~人間が海洋生物を通して食べたらどうなるのでしょうか?~
人が魚介類を通してマイクロプラスチックを食べてしまってもプラスチック自体は排泄されます。しかしながら、有害化学物質が体内に蓄積されてしまいがんの発生、免疫力低下などを引き起こしてしまいます。
プラスチック製品には添加剤が加えられているためその中には環境ホルモンと言われる人体に有害な物質が含まれており、生殖能力を低下させる作用がある可能性などが指摘されているようです。
■人体に悪影響を及ぼすプラスチックの化学物質「BPA」
~もう1つのプラスチック問題~
プラスチックの材料や添加剤として使われているBPA(ビスフェノールA)、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂などが原料の化学物質ですが、以下のような健康上の問題が指摘されています。
●環境ホルモンのかく乱
内分泌疾患、不妊症、精子の減少、乳がん、前立腺がんなどを引き起こす可能性
●代謝機能の混乱
肥満、糖尿病、心血管疾患を引き起こす可能性
それでは、「BPA」はどのように人の体に入ってしまうのでしょうか?
それは食事と言われています。食品の包装などに含まれた化学物質が温められ凍らせられ、古くなったり、油性、酸性の食材との接触により多くのBPAが漏れだしそれを食べたり飲んだりすることで体内に運ばれていきます。
母乳からもBPAが検出されており、妊娠中も産まれてからも赤ちゃんに母親からの影響が及んでしまうことがわかりました。
~BPAの摂取を避けるにはどうしたらいいのでしょうか?~
●新鮮な生鮮食品、冷凍食品を選ぶ
パッケージされたお惣菜、レトルトを避け、ばらで売られている食品を積極的に選ぶことでプラスチック包装された食品の摂取量が減少する、BPAレベルが減少することになります。
●自宅で食事をする
外食の頻度が高い人ほどBPAが検出される傾向にあるようです。
●保存するときはステンレスやガラス容器を使う
プラスチック容器から化学物質が以降する可能性があります。特に油っぽいもの、酸っぱい食品はその危険性が高くなりますのでプラスチックは避けガラス容器を選びましょう。
●電子レンジで加熱しない
温度が温まるほど食品に化学物質が移ります。プラスチック容器ではなく耐熱ガラス、陶器の入れ物などを使いましょう。
よくコンビニで「温めますか?」とお弁当を温めてくれる親切なサービスのようですがプラ容器のまま温めてしまいますので温めすぎには注意が必要のようです!
■ BPAだけではなかった!プラスチック問題に新たな有害化学物質
プラスチックが使われているのは日用品だけではありません。赤ちゃんや子供のおもちゃにも魔の手が忍び寄っています。
●リサイクルされたプラスチックを使用したおもちゃ
リサイクルする前のプラスチックに含まれていた有害な化学物質がそのまま紛れているかもしれません。
●ポリ塩化ビニル(PVC)
人形やお風呂のおもちゃなど柔らかいプラスチックのことで、フタル酸エステル類という可塑剤(かそざい)が使用されています。この一部が環境ホルモンや発がん性の可能性があると言われています。
子供の健康が脅かされ、神経系、生殖態、思春期などの発育、肥満などが懸念されています。アレルギーとの関連性も疑われており、鼻炎結膜炎、アトピー性皮膚炎などの原因とされています。
子供はおもちゃに触り形や重さを感じることで脳に複雑な神経のつながり、記憶力などが向上します。
熱い、冷たい、すべすべ、べとべと、など自然の香りがする「木のおもちゃ」、お子さんの好奇心や間隔を満たしてくれると言われています。
丈夫で壊れず割れたりしないので間違って呑み込むリスクも小さいため、なんでも口にする赤ちゃんには特に有害な化学物質の心配がないので推奨されています。
■ ペットボトルはどうなの?
ペットボトルを縦に重ねていけば地球から月までの半分以上の距離になると言われるほど消費量は多く、5833億本ともいわれています。
年間500万~1300万トンもの量がプラごみとして世界中の海に流出されてしまい、海洋生物の生態系を脅かしさらには人にも悪影響を及ぼしています。
ペットボトルのような使い捨てプラスチックの使用量を削減することで海洋生物が生息できる環境を守り、原料となる原油も削減されるので地球の資源保護にも有効な取り組みであると言えます。
ペットボトルはポリエチレンテレフタラート(PET)を原料としています。そのため化学物質のビスフェノールAは含まれておらず、ペットボトルからBPAが溶け出すという心配はありません。
しかしながら、このペットボトルにもPETを製造する際に使われるアンチモンが微量とは言え溶け出すと言われています。
このアンチモンは発がん性があるとされ、容器に入っている時間が長いほど、周囲の温度が高いほど液体に溶け出す量が増えると言われています。が、現時点では人の健康に影響を及ぼしたということは確認できていないようです。
PETを構成するのは炭素、酸素、水素だけなのでダイオキシン類の発生の原因となる塩素は含まないため有害物質を発生することもないとされており、PETボトルは食品に接する包装容器の規格に適合している安全な容器であると言えるようです。
~ボトルがボトルとしてリユースできる「ビン」~
日本のペットボトルのリサイクル率は85%と高い数字となっています。しかしながらボトルがボトルとしてリユースできる「ビン」にはかないません。CO2の排出量もビンのほうが少ないと言われています。
密閉性があるのでカビ、乾燥などから食材を守ることができ、色や臭いなどが容器に移りにくく長期保存が可能です。これらからビンはペットボトルよりエコで再利用しやすいと言えます。
持ち歩くのに重い、割れるなどのデメリットもありますが健康面でもビンのほうがいいように思われます。
また、新鮮さが保たれている、味が良くて美味しく感じる、口当たりがいい、本格的なイメージ、など視覚、触覚などの五感でも勝っていると感じる方が多いようです。
確かに瓶に入ったストレートジュースは本格的なイメージがあり、美味しそうに見えますね。
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