前回は上泉理想大根のお話を交えて種の継承と慣行農法についてをご紹介させていただきました。今回は、翔栄ファームが挑戦した干し大根や切り干し大根のお話です。天日干しなどで乾燥させたり、漬物にしたりすることで保存性が高まる野菜の貯蔵法についてご紹介します。
■ おばあちゃんの知恵袋!
今では当たり前のようですが、冷蔵庫、冷凍庫という文明の利器がなかった時代、食材を保存するために昔の人は様々な工夫をしてきたようです。
食材の寿命は工夫をすれば延ばせるし無駄がない、昔から伝えられ受け継がれてきたおばあちゃんの知恵というものですね。
例えば玉ねぎ、ストッキングに詰めて日陰につるしておくといいそうです。
湿気を嫌うので夏場以外は常温保存するのが一番の長持ちのコツとか、風通しの良い冷暗所がベストと言われています。
ジャガイモは泥付きのままかごに入れて風通しの良い冷暗所へさつまいもも同様です。ただし、里芋の場合は泥を洗って乾燥させてからのほうが長期保存が可能だとか。
葉がついている大根、かぶなどは本体の水分が奪われないようすぐに葉を切り落としたほうがいいそうです。葉つきのまま保存すると葉っぱに養分がとられてしまい本体にスが入ってしまうとか。
切り口をふさぐように新聞紙で包んで冷暗所に置きましょう。
干すだけでも美味しさがアップして野菜を長く保存できます。「野菜を天日干しする」とっても簡単な方法ですが、水分がなくなり栄養が凝縮された野菜は歯ごたえもよく甘味が増します。煮物などに使用する際には水で戻すだけ、生のままより美味しさがアップするようです。
まだまだ、たくさんの裏技がある「おばあちゃんの知恵袋」ですが、今回は野菜を干して漬け物にして貯蔵する、そんなお話です。
■ 乾燥させることで高まる保存性
食品は時間が経過すればするほど腐敗やカビなどが発生します。
昔のひとは食品の傷みをどのようにすれば少なくできるかを考え、乾燥、燻製、漬ける、煮るなどの加工をして保存をしてきました。
~干したり、漬けたり、保存野菜のおすすめ~
旬の美味しい野菜を長く楽しみたいから、余った野菜を傷ませたくないから、干したり、漬けたりその野菜の特性を活かして作り、食べきる保存食づくり、野菜の保存法は?
☆その1 干す
基本的にどんな野菜でも天日干しでの保存が可能です。
干すことで水分をとばし、微生物の繁殖を防ぐ方法です。野菜は甘味が増し、旨味も栄養素も格段にアップします。保存ができるばかりでなく火のとおりも早くなるので時短になります。
野菜を洗って水気を切って用途に合わせてカットしてから天日干しに、太陽の陽があたる10時~16時くらいまでの時間帯がお勧めです。風通しの良いところでザルに入れて干すだけ、虫や鳥の被害が心配な場合は干しかごなどに入れてつるすといいでしょう。
夜露に濡れる場合があるので夜は室内にしまったほうが安全です。2~3日で水分が飛んで軽い感じになったら完成です。
乾燥後は密封できる容器に保存すれば1ヶ月ほど保存ができます。
☆その2 漬ける
梅干しやサワークラウト(塩漬け)・ピクルス(酢漬け)・ぬか漬け(ぬか)など、塩や砂糖には食材の水分を抜き雑菌が活動しにくくする作用があります。お酢、お酒にも防腐効果があります。
ガラス容器に入ったピクルスやオイル漬けなどは見た目もきれいでその変化も楽しみですね。
他にも煮たり、
ジャムやコンポートなどは熱によって微生物を殺菌し、酵素を活動させないように、砂糖を加えると食材から水分が抜けるので長期保存ができます。
発酵させたり、
味噌・ぬか・甘酒・チーズ・ヨーグルトなど食べられる微生物により旨味は倍増、長期保存が可能になります。
どの保存方法もちょっと一手間で食材そのものの旨味が凝縮されさらに美味しくいただくことができます。
■ 絶品!すべてが手づくり翔栄ファームが挑戦した干し大根
昨年翔栄ファームでは無農薬・化学肥料不使用の自然栽培で育て収穫した固定種・在来種の上泉理想大根の干し大根作りに挑戦しました。上泉理想大根の一番のお勧めの食べ方と言われているのが干し大根です。
干した大根はしんなり、指で押すと弾力がありちょっとへこむ感じのやわらかさでした。
干し大根にした大根は大根そのものの風味がしっかりと残り、たくあん漬けなどにした場合は干し大根のパリパリ食感がくせになる、最上級の味わいと言えます。
上泉理想大根を手洗いで土を落とします。冬の寒い時期でしたのでとにかく手が冷たい!
すだれ干しして上泉町名物の空っ風で天日干しします。大根が曲がってきたらいい感じです。
農場スタッフ手づくり「上泉理想大根のたまり漬け(左)、酒粕漬け(右)」まさにたくあんにするために生まれた品種のため出来上がりは絶品でした。
漬ける前の干し大根のアレンジレシピ!
細かく切って大根チャーハンに、輪切りにして大根ステーキに、油炒めやそのままスライスして醤油に七味唐辛子でなどおすすめです。時間がたつと皮が硬くなってしまいますので4~5日で食べきりましょう!
こちらは切り干し大根をつくっています。
大きなスライサーを使って細かく大根をスライスします。
干し網に入れて天日干し乾燥しています。
切り干し大根の出来上がりです。翔栄ファーム自慢の6次化商品です。
間引きごぼうと切り干し大根炒め美味しそうです!
いかがですか?野菜の天日干しは意外と簡単です。干し網は、100均などで販売されている多目的ネット(2段のものもあるようです)を使えばどんな野菜でも天日干しはできます。
野菜が余っちゃってなんて言うときの裏技、おばあちゃんの知恵をお借りしてベランダに干してみてはいかがでしょうか?空気が乾燥している今がチャンスです。
野菜をダメにすることなく、さらに旨味が増して美味しく野菜が食べられるので一石二鳥ですね。