最近では街中のパン屋さんでもよく見かけますね、「天然酵母のパン」、健康的なイメージはさるとこながら、深みのある自然な味わいが人気のようですが、普通のパンと何が違うのでしょうか?
今回は天然酵母とイースト、どちらも酵母なのですが何が違うんだろうと疑問に思ったのでその違いと臭素酸カリウムという添加物、天然酵母パンの良いところなどについても調べてみました。

■天然酵母とは?
目には見えませんが酵母は土や水、空気中など様々な場所に生息しています。ビール酵母、清酒酵母、味噌、醤油、ヨーグルト、納豆など発酵食品にも酵母が活躍しています。
ぶどう、苺、桃、梨、パイナップル、バナナなどの果物や玄米、麹、小麦などの穀物などのまわりに付着している酵母菌を採取し、培養させた酵母のことを天然酵母といいます。天然酵母には乳酸菌などの菌も含まれており、パン作りの為に人工的に培養された「イースト」とは区別されています。
天然酵母は自然界のあらゆるところにありますが明確な定義はありません。パン作りに使用する天然酵母にも様々な酵母が混在しているためイーストに比べると発酵する力が弱く、パンができあがるまでに時間がかかります。が、ゆっくり発酵することで素材の旨味、味わいが引き出せるのが特徴と言われています。
色々な菌が入っている天然酵母で焼いたパンは温度があがること(30℃以上くらい)でその中の乳酸菌や酢酸菌などが活性化します。そのためパンに酸味が感じられます。天然酵母の発酵に最適な温度は27℃前後、40℃以上になると酵母菌は死んでしまうため温度管理には注意が必要です。

■イーストとの違いとは?
酵母を英語で言うとyeast(イースト:生き物(微生物))なのでどちらの酵母も同じものと考えられます。しかしながら、天然酵母は天然のもの、イーストは人工的に作られたものと分類されることが多いようです。
イースト菌は10度以上で増殖し、60℃以上になると死滅します。イーストは天然酵母とは違いパン作りに適した酵母菌のみで、他の菌は含まれておりません。イーストには発酵する力を強め安定させるための添加物、乳化剤や保存料などを人口的に加えておりその力を高めています。そのため発酵の時間は短く、発酵も安定しており、パンがむらなく膨らむので工場での大量生産、家庭でのパン作りなどに適しています。ふわふわとした食べやすい食感に仕上がるのが特徴です。

イーストはパン酵母を培養、その後水洗いし脱水した、パン屋さんで用いることが多い万能タイプの生イースト、パン酵母を低温で長時間乾燥脱水させたドライイースト、生イーストを短時間で乾燥させ乳化剤を加えたインスタントドライイーストなどに分類されています。
■臭素酸カリウムが使用されている市販の食パン!

「臭素酸カリウム」とはパン生地改良剤、または小麦粉処理剤と呼ばれている食品添加物のことです。臭素酸カリウムを添加するとパンのふくらみ方や食感が向上するとされています。食品衛生法によると臭素酸カリウムはパンのみに使用でき、使用した場合にも加工助剤に該当するため表示は不要とされていました。
この臭素酸カリウムは遺伝子を直接傷つける発がん物質であることが指摘されており現在では使用は容認できないと結論されたようです。国内のパンメーカーがパンに使用している臭素酸カリウムについては実際の健康リスクは低いとしていましたがすでに不使用添加物となり近年では代替物質としてビタミンCや酵素製剤がパン生地の品質改良に用いられるようになりました。
パンを柔らかくふわふわに美味しくするために使用されていた食品添加物、パンはふわふわの方が誰もがいいと思っていますよね、柔らかくするために用いられていたものが知らぬうちに私たちの健康を害していたなんて恐ろしいことです。
■ やっぱり!選ぶなら天然酵母のパン!

天然酵母で作られたパンには発酵を強めるための添加物が入っていないためもっちり、噛み応えのある食感になります。酵母の香り、小麦の甘味など噛めば噛むほど食材そのものの美味しさが感じられます。
健康面では消化が良い、グルテンが発酵時に分解されるのでグルテンに過敏に反応する方でも消化しやすい、また発酵時にビタミンB群、ミネラルが増加するためその栄養価の高さや発酵過程で生成された乳酸菌、酵母菌により腸内環境を整え、低GI食品なので血糖値を安定させる、天然酵母に含まれるプロバイオティクスが免疫力を高めるなどの健康効果なども評価されています。
もっちりと噛み応えのある食感は噛めば噛むほど味が出ると天然酵母ならではの歯ごたえとその美味しさが堪能できます。
じっくりと発酵する過程で様々な菌が働くため酸味や甘さ、味や香りなど酵母の種類によって違いを味わうことができるのも天然酵母パンの魅力と言えます。
使った酵母の香り、例えばぶどう、リンゴ、酒種などがほんわかと香り味に深みが出ます。翌日もしっとりと美味しく繊細な甘みを感じることができます。
ずっしりとしていて食べ応えがある、天然酵母パンですがデメリットもあります。
なによりイーストに比べ手間がかかることです。まずは発酵にどのくらい時間がかかるかわからないこと、生地の形を整えるのも初心者には難しいようです。
焼いた時にパン生地が膨らむかどうかもわからない、反対に膨らみすぎてしまうなどの発酵力が安定しないことなどもデメリットとしてあげられます。とは言え、体に良いパンを食べること、消化が良く栄養価も高い風味豊かな天然酵母のパン、添加物が入っていない、ヘルシーで色々な酵母が混在していることから様々な旨味、風味が感じられるなど魅力満載です。
天然酵母はグルテン含有量が少ない国産小麦のグルテン膜と相性が良いようです。主原料となる小麦は小麦本来の風味が感じられる国産小麦を選ぶなど、原料となる小麦にもこだわりを持つことも大事なことですね。
