知らず知らずのうちに周囲の人を不快にさせてしまう加齢臭や体臭、自分ではなかなか気が付かないものです。
そばに来られると嫌がられるほど嫌われる臭い、これらと食生活とは何か関係があるのでしょうか?今回は加齢臭・体臭と食べ物の関連性についてのお話です。
■ 女性も注意!加齢臭はおじさんだけではない!
からだには汗を出す小さな器官、2種類の汗腺があります。1つ目はほぼ全身の表皮にある汗腺で、そこから出る汗は99%が水、塩分や尿素、乳酸などがごくわずか含まれていますが、サラサラとした液体です。
もう一方の汗腺は脇の下や性器の近くにあり、脂質やタンパク質を含んだ乳白色のねっとりとした汗を出します。分泌されたばかりの汗はほぼ無臭ですが空気に触れ、酸化することでニオイが発生してしまいます。
特にわきの下や性器の近くの汗腺から分泌された汗は独特のニオイを持っています。たんぱく質や脂質が酸化されることでワキガなどの原因となる汗です。
中高年に特有の「脂臭くて、青臭いニオイ」これが加齢臭です。
皮膚には肌の潤いを保つために皮脂を分泌する皮脂腺という器官があり、加齢とともに脂肪酸と、過酸化脂質が増え、酸化することで加齢臭の原因となるニオイ物質が発生します。
このニオイ物質は「ノネナール」というもので男女問わず30代半ばを過ぎた頃から増え始めると言われており、おじさんに限らず女性も同じで皮脂の分泌量が多い頭部、首の後ろ、耳のまわり、胸もと、脇の下、背中などから発生します。
加齢臭と言えば「おじさん」のイメージが強いですが残念ながら女性にも加齢臭があります。若々しい香りを発生してくれる「ラクトン」という物質、甘くてフルーティーな桃のような香りなのですが、30代になると減少してきます。ニオイ物質のノネナールが30代後半くらいから増え始め加齢臭が発生します。
女性の加齢臭いわゆる「おばさんの臭い」です。女性ホルモンの分泌が減ることで皮脂が酸化しやすくなり女性の加齢臭のほうが男性よりも長時間続いてしまうようです。
■ 臭いガスは腸内細菌が原因?
加齢臭に限らず、おならや汗、便、わきがなどの気になる臭いは、活性酸素が原因です。 野菜が不足すると活性酸素が増えることによって体内の脂が酸化して、ノネナールという臭いを発生させる物質を増やしてしまいます。
便秘になると便が腸の中にとどまり古い便に悪玉菌が繁殖、ツンとしたアンモニア臭や卵の腐ったような臭いの硫化水素などの有害ガスが臭いの素となっています。このように腸内が悪玉菌だらけになってしまうと便も強く臭ってしまいます。
慢性の便秘を放置してしまうと血流にのりニオイ物質が全身に広がり肺に到着すると吐く息からニオイ物質が出るため口臭の原因に、汗と一緒に皮膚から出ることで体臭にと人を不快にする臭いを排出してしまうことになります。
お腹にたまった古い便が原因なので対策はただ一つ、古い便を取り除く、便秘を解消し腸内環境を整えることです。
■ 体臭の原因の食べ物
体臭の原因のひとつに挙げられるのが、欧米化が指摘されている現代の食生活です。特に肉類や乳製品、油もの、お酒などの刺激物を好む人は、体臭を発生させやすいようです。
ニオイ物質を発生させないための予防策として、汗に含まれるタンパク質や脂質を少なくすること、つまり、動物性タンパク質・脂質の摂取を減らすことをこころがけましょう。
■ 体臭改善のためには?
腸内環境を整えるためには毎日の食事の肉類、特に脂肪たっぷりの霜降りやバラ肉などを控えることです。腸内の悪玉菌の大好物でそれらをエサにどんどん増えてしまいます。赤身肉、ささみなどの低脂肪のものに置き換えましょう。
善玉菌を増やすために大腸によく働くビフィズス菌入りのヨーグルトやキムチ、納豆などの発酵食品を多く摂取するように心がけましょう。
毎日の食事に野菜などの食物繊維もたっぷりと摂取しましょう。
善玉菌を増やすものを積極的に摂取し、腸内フローラ《善玉菌、悪玉菌、日和見菌(ひよりみきん)と呼ばれている良くも悪くもない菌で形成されている腸内の細菌集団のこと》を整えバランスを保つことで臭いの素を発生しにくくなり、体臭を防ぐことができると考えられます。
日和見菌とは、腸内の状態によって有害な働きをしたり、無害であったり、有益な働きをする菌のことで、そのバランスは善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7と多様性があり、絶対数が多いことが良いとされ、理想的なバランスとされています。善玉菌が減り、悪玉菌が増えると日和見菌が悪玉菌の味方になってしまいバランスが崩れるため病気にもかかりやすくなってしまいます。腸内が弱酸性に傾くことで多数派の日和見菌が善玉菌に加担し、酸に弱い悪玉菌の増殖を防いでくれるため、腸の免疫機能の活性化が期待できます。
体臭を薄くしたいのであれば、抗酸化作用のあるビタミンCやE、ポリフェノールを摂取することが効果的です。
毎日の食事で体内が酸性に傾くと、体臭の原因物質が作られやすくなりますので、酸性を中和するアルカリ性食品を摂ることをおすすめします。
おすすめの食品の例としては、体液を中和させる効果がある梅干し・ワカメなどの海藻類・ほうれん草、にんじん、ピーマン、小松菜などの緑色野菜・大豆製品・きのこなどを積極的に摂取することが予防に有効的と言えます。
しかしながら、どんな野菜でも摂取すればいいというわけではありません。農薬や化学肥料を使わないで自然栽培で育てられたお野菜がおすすめです。便秘解消、抗酸化作用があるからとたくさんの野菜を摂取してもその野菜が農薬や化学肥料まみれのものでは逆に体に悪いものを摂取してしまうことになりかねません。
野菜を購入する際には産地やそれら野菜が育った環境など、安心・安全であることを確認したうえで選びましょう。
もちろんこれらの食材を摂り入れたからと言ってすぐに体臭がなくなるわけではありませんが、続けることで体質は改善されます。根気よく長期的に毎日の食卓に摂り入れていくことが大切ですね。