スーパーマーケットの冷蔵ケースには
多くの種類の豆腐や納豆が並んでいます。
選択基準は様々だとは思います。
ただ当コラムの読者の場合、
これらの食品の原材料である大豆が国産かどうか、
またNon GMOであるかどうかを、
真っ先にチェックするのではないでしょうか?
その上で価格的優位性、あるいは
価格に見合った品質かどうかを見比べていくと思います。
ただここで“あれっ?”と思うことがあります。
「確か大豆の輸入比率は95%だったよねえ。本当にこれらの商品の原材料は100%国産大豆なのかなあ?」
■ 輸入大豆が一層不安定に
冒頭の問いに対する答えの前に、
先ずは世界の大豆国際相場の
現状について見ておきたいと思います。
これは大豆に限ったことではありませんが、
世界の穀物市場は年々高騰の傾向にあり、
輸入大豆が調達しにくい状況が一段と進んでいます。
高騰の背景には中国の需要増に加え、
ウクライナ情勢の悪化も大きく影響しています。
更に新型コロナウイルス禍による海上輸送の混乱が続き、
コンテナ船が稼働しないことによる
輸出入そのものの停滞も物価高騰の大きな要因になっています。
日本は食料用大豆に飼料用大豆を合わせると、
先述のとおり約95%を輸入に頼っているため、
これはすでに食料安全保障の危機レベルにある
ということを私たちは認識する必要があります。
しかも最近の円安傾向がより一層の価格上昇に
つながっていることはいうまでもありません。
■ 卸業者も不安な、大豆在庫の不足
輸入品の延滞は大豆商品の流通にも
影響を及ぼす可能性があります。
卸関係者は「年末年始に届くはずの大豆が来ない。
在庫も通常の半分程度という業者もいる」と話しています。
関東の豆腐店は
「関西などから大豆をかき集めていますが、
豆腐の需要が高まる夏までに
延滞が解消できなければパニックになってしまう」
と警戒するほどです。
更に日本が輸入する非遺伝子組み換え(Non-GMO)の
世界的な需要に伴う調達競争も激化しています。
健康志向で需要が高まり、生産者に支払う
奨励金(プレミアム)は上昇傾向にあります。
しかし現状では節約志向や
スーパーの激しい販売競争下で
豆腐製品への価格転嫁が進んでいないばかりか、
今後は更に輸入原料調達は苦戦が強いられる中で、
何れ限界に達する日が近いと業界関係者は危機感を募らせています。
このような中、国産品と輸入品の価格差は縮まっています。
通常、国産は輸入品の1.8倍とされてきましたが、
その差は日に日に狭まっており、
このまま輸入品の延滞が継続すると
従来輸入品で賄っていたものを
国産品への切り替えようとするメーカーが
増えてくることが予想されています。
つまり全体量は減少しているため
大豆商品の値上げにつながることは間違いありません。
■ 国産大豆100%使用、Non-GMOの表示は本当か?
ここで冒頭の疑問の答えになりますが、
結論から申し上げるとこれは本当と考えて間違いありません。
国内では食品原料や飼料として
消費される大豆の量は莫大ではあるものの、
豆腐や納豆、味噌、醤油での使用量は
ほんの7~8%といわれています。
つまりこの量は国産品の生産量とほぼ同等です
(輸入品の中にもNon- GMOはあります)。
しかも国内の商業利用における大豆栽培では
遺伝子組換えのものは一切ないことが理由です。
では輸入の大豆はどのような領域で使われているのでしょうか?
恐らく飼料を除く食品の中で
多くの割合を占めるものは植物油、いわゆるサラダ油と、
大豆蛋白・大豆加工製品・蛋白加水分解物です
(当コラムではサラダ油が遺伝子組み換え作物で
作られていることに再三触れているため今回は割愛します)。
特に「大豆蛋白」は私たちの日常的な食生活の中で
知らず知らずの内に摂取しているものだと思いますので、
簡単に説明してみたいと思います。
大豆蛋白は大豆油、植物油を作るために絞った
大豆カスを化学的に抽出したもので、
いわば遺伝子組換え大豆の残骸です。
これらがハム、ベーコン、ハンバーグ、かまぼこ、
ちくわ等の増量素材として使用されているわけです。
例えばハンバーグを例に取ります。
畜肉含有率20%と記載されていれば
残りの80%は「大豆蛋白という増量材料」
および添加物・その他を食べていることになります。
そして20%の畜肉もほぼ間違いなく
遺伝子組換え飼料を摂取していた牛や豚などの肉であるため、
このハンバーグを食べるには相当の勇気を必要とします。
ここでピンとくる人々もいらっしゃると思いますが、
最近ブームの代替肉(大豆ミート)は一体どうなのでしょうか?
■ 比較的安全(?)な乾燥大豆ミート
正直、様々だと思います。
ただし、メーカーによって違いはあるものの、
ヴィーガンが安心して使える「乾燥大豆ミート」は、
遺伝子組み換えではない商品が多いようです。
乾燥大豆ミートは国内メーカーが手がけているものが多く、
たとえ大豆が外国産であっても「遺伝子組み換えではない」
と表記されているものをよく見かけます。
まあいずれにせよ気になる人は、
原料表記をチェックしたほうがいいのは間違いありません。
■ Non-GMO大豆の入手が困難になっている実情
繰り返しになりますが、
日本において遺伝子組み換え作物の
商業的栽培は実質ゼロです。
しかし世界では全く異なります。
日本の主要輸入国における遺伝子組換え大豆栽培の割合は、
米国、ブラジルで総生産量の9割以上、
カナダで8割以上を占めています。
この現状を踏まえて今一度、
私たちが日常的に食しているものを
点検してみる必要があるように感じます。
スーパーマーケットの冷蔵ケースには多くの種類の豆腐や納豆が並んでいます。選択基準は様々だとは思います。ただ当コラムの読者の場合、これらの食品の原材料である大豆が国産かどうか、またNon GMOであるかどうかを、真っ先にチェックするのではないでしょうか?
その上で価格的優位性、あるいは価格に見合った品質かどうかを見比べていくと思います。
ただここで“あれっ?”と思うことがあります。
「確か大豆の輸入比率は95%だったよねえ。本当にこれらの商品の原材料は100%国産大豆なのかなあ?」
■ 輸入大豆が一層不安定に
冒頭の問いに対する答えの前に、先ずは世界の大豆国際相場の現状について見ておきたいと思います。
これは大豆に限ったことではありませんが、世界の穀物市場は年々高騰の傾向にあり、輸入大豆が調達しにくい状況が一段と進んでいます。
高騰の背景には中国の需要増に加え、ウクライナ情勢の悪化も大きく影響しています。更に新型コロナウイルス禍による海上輸送の混乱が続き、コンテナ船が稼働しないことによる輸出入そのものの停滞も物価高騰の大きな要因になっています。
日本は食料用大豆に飼料用大豆を合わせると、先述のとおり約95%を輸入に頼っているため、これはすでに食料安全保障の危機レベルにあるということを私たちは認識する必要があります。しかも最近の円安傾向がより一層の価格上昇につながっていることはいうまでもありません。
■ 卸業者も不安な、大豆在庫の不足
輸入品の延滞は大豆商品の流通にも影響を及ぼす可能性があります。
卸関係者は「年末年始に届くはずの大豆が来ない。在庫も通常の半分程度という業者もいる」と話しています。関東の豆腐店は「関西などから大豆をかき集めていますが、豆腐の需要が高まる夏までに延滞が解消できなければパニックになってしまう」と警戒するほどです。
更に日本が輸入する非遺伝子組み換え(Non-GMO)の世界的な需要に伴う調達競争も激化しています。健康志向で需要が高まり、生産者に支払う奨励金(プレミアム)は上昇傾向にあります。
しかし現状では節約志向やスーパーの激しい販売競争下で豆腐製品への価格転嫁が進んでいないばかりか、今後は更に輸入原料調達は苦戦が強いられる中で、何れ限界に達する日が近いと業界関係者は危機感を募らせています。
このような中、国産品と輸入品の価格差は縮まっています。通常、国産は輸入品の1.8倍とされてきましたが、その差は日に日に狭まっており、このまま輸入品の延滞が継続すると従来輸入品で賄っていたものを国産品への切り替えようとするメーカーが増えてくることが予想されています。
つまり全体量は減少しているため、大豆商品の値上げにつながることは間違いありません。
■ 国産大豆100%使用、Non-GMOの表示は本当か?
ここで冒頭の疑問の答えになりますが、結論から申し上げるとこれは本当と考えて間違いありません。
国内では食品原料や飼料として消費される大豆の量は莫大ではあるものの、豆腐や納豆、味噌、醤油での使用量はほんの7~8%といわれています。
つまりこの量は国産品の生産量とほぼ同等です(輸入品の中にもNon- GMOはあります)。しかも国内の商業利用における大豆栽培では遺伝子組換えのものは一切ないことが理由です。
では輸入の大豆はどのような領域で使われているのでしょうか?
恐らく飼料を除く食品の中で多くの割合を占めるものは植物油、いわゆるサラダ油と、大豆蛋白・大豆加工製品・蛋白加水分解物です(当コラムではサラダ油が遺伝子組み換え作物で作られていることに再三触れているため今回は割愛します)。
特に「大豆蛋白」は私たちの日常的な食生活の中で知らず知らずの内に摂取しているものだと思いますので、簡単に説明してみたいと思います。
大豆蛋白は大豆油、植物油を作るために絞った大豆カスを化学的に抽出したもので、いわば遺伝子組換え大豆の残骸です。これらがハム、ベーコン、ハンバーグ、かまぼこ、ちくわ等の増量素材として使用されているわけです。
例えばハンバーグを例に取ります。畜肉含有率20%と記載されていれば残りの80%は「大豆蛋白という増量材料」および添加物・その他を食べていることになります。そして20%の畜肉もほぼ間違いなく遺伝子組換え飼料を摂取していた牛や豚などの肉であるため、このハンバーグを食べるには相当の勇気を必要とします。
ここでピンとくる人々もいらっしゃると思いますが、最近ブームの代替肉(大豆ミート)は一体どうなのでしょうか?
■ 比較的安全(?)な乾燥大豆ミート
正直、様々だと思います。ただし、メーカーによって違いはあるものの、ヴィーガンが安心して使える「乾燥大豆ミート」は、遺伝子組み換えではない商品が多いようです。
乾燥大豆ミートは国内メーカーが手がけているものが多く、たとえ大豆が外国産であっても「遺伝子組み換えではない」と表記されているものをよく見かけます。
まあいずれにせよ気になる人は、原料表記をチェックしたほうがいいのは間違いありません。
■ Non-GMO大豆の入手が困難になっている実情
繰り返しになりますが、日本において遺伝子組み換え作物の商業的栽培は実質ゼロです。
しかし世界では全く異なります。日本の主要輸入国における遺伝子組換え大豆栽培の割合は、米国、ブラジルで総生産量の9割以上、カナダで8割以上を占めています。
この現状を踏まえて今一度、私たちが日常的に食しているものを点検してみる必要があるように感じます。
参考:
御川 安仁 著「体が勝手に元気になる だる消しスープ」
「完成までたった10分!医師が教える「だる消しスープ」で疲れ知らずの体を作ろう」