翔栄ファームでは、
固定種・在来種のみを栽培していますが、
こうした野菜たちって、
少し変わった名前のものもありますよね。
昔から栽培されている品種だけに
歴史もあり、個性も様々です。
――というわけで少しご紹介します。
大丸聖護院大根(おおまるしょうごいんだいこん)
ここは「おおまる」と読みます。
大型でカブのようなフォルムが特徴的で
2.5kg以上にもなります。
一般的な大根は1kgを超えると
大きめサイズの扱いなので、
こちらはかなりの迫力があります。
大丸聖護院大根は京都の伝統野菜で、
聖護院地域から広がったと言われています。
江戸時代の文政期に、尾張つまり愛知県から
黒谷の金戒光明寺(本尊の通称「くろ谷さん」)に
奉納された大根を栽培するうち、
短系の丸大根になったそうです。
京都は畑の土が薄いことが多いらしく、
長さも適した形にということみたいです。
元々は宮重大根という品種で、
大きな分類としては青首大根になるのですが、
普通の大根とは全然違う形になっています。
江戸に来たものはその後、
練馬大根になったという説もあり、
長く伸びるそちらと見比べれば
固定種には地域性が出ているということが
よくわかる例ではないかとも思います。
型崩れしづらいので、
おでんなどの煮物に適しています。
冬越黒田五寸人参(ふゆごしくろだごすんにんじん)
この黒田は人名で、昭和初期に
長崎県大村市の黒田正という人が作りました。
ちなみにニンジンには西洋系と東洋系
という区別があり、これは西洋系になります。
もともと長崎には「長崎五寸」と呼ばれる
品種のニンジンがあったのですが、
その近くで「丸山五寸」という品種の
ニンジンを栽培し始めたところ、交雑。
それが出来のよいものだったので
この黒田さんが選抜固定されたそうです。
五寸とは長さのことで、
1寸が約30.303mmだから15cmくらいです。
普通といえば普通ですが、これは固定種なので、
一寸どころじゃない違いがあります。
「冬越」とは冬を越して栽培するということで、
7~8月に種を蒔いて冬から春に収穫する
というスケジュールになります。
同じ「黒田五寸」でも冬越がつかない無印もあり、
そちらは3~4月、6~8月に播種する
春蒔きも可能なタイプになっています。
そのため冬越黒田五寸人参は
寒期限定という感じでしょうか。
味はもちろんですが色味もよく、
生食やジュースにするのがおすすめです。
極早生乙女西瓜(ごくわせおとめすいか)
乙女と名の付くように、
夏休みの絵日記帳的なスイカのイメージと
比べる考えるとかなり小ぶりです。
一般的なスイカはMサイズが5~6kgなので、
2kgほどの極早生乙女西瓜は小玉扱いになります。
縞が薄くて少し縦長のため、見た目は
スタイルいいイメージがあるかもしれません。
この極早生乙女西瓜は、
赤肉大玉種に黄肉長形小玉を交配して、
赤肉の小玉として固定されました。
「わせ」とはよく使われる用語ですが、
収穫時期が普通のものより早いということです。
少し緑色っぽい「早生みかん」などの
表示を見たことがありませんか?
まさにそれと同じです。
それに「ごく」がついているため
超早めに収穫する品種ということになります。
皮が薄いので大きさの割に
食べごたえあると思います。
冷蔵庫のスペースをそれほど取らない
奥ゆかしさもアピールポイントでしょうか。
まあ小玉ならどのスイカもあてはまりますが、
仕切り棚を外さなくてもよさそうです。
固定種ならではの、選ぶ楽しさ
数種類だけでしたが、
固定種それぞれに個性があるということを
お伝え出来たのではないかと思います。
本来は名もない野菜などないのですが、
固定種には慣行農法で栽培された
一般的なF1種の野菜とは違った
選ぶときの楽しみがあるように思いませんか。
こうした固定種・在来種野菜の
キャラクターや独自性を、
皆様に知っていただきたいと思っています。
ということで、また機会がありましたら、
他の固定種・在来種野菜についても
その履歴書を公開していきます。
翔栄ファームでは、固定種・在来種のみを栽培していますが、こうした野菜たちって、少し変わった名前のものもありますよね。昔から栽培されている品種だけに歴史もあり、個性も様々です。
――というわけで少しご紹介します。
大丸聖護院大根(おおまるしょうごいんだいこん)
ここは「おおまる」と読みます。大型でカブのようなフォルムが特徴的で2.5kg以上にもなります。一般的な大根は1kgを超えると大きめサイズの扱いなので、こちらはかなりの迫力があります。
大丸聖護院大根は京都の伝統野菜で、聖護院地域から広がったと言われています。江戸時代の文政期に、尾張つまり愛知県から黒谷の金戒光明寺(本尊の通称「くろ谷さん」)に奉納された大根を栽培するうち、短系の丸大根になったそうです。京都は畑の土が薄いことが多いらしく、長さも適した形にということみたいです。元々は宮重大根という品種で、大きな分類としては青首大根になるのですが、普通の大根とは全然違う形になっています。江戸に来たものはその後、練馬大根になったという説もあり、長く伸びるそちらと見比べれば固定種には地域性が出ているということがよくわかる例ではないかとも思います。型崩れしづらいので、おでんなどの煮物に適しています。
冬越黒田五寸人参(ふゆごしくろだごすんにんじん)
この黒田は人名で、昭和初期に長崎県大村市の黒田正という人が作りました。ちなみにニンジンには西洋系と東洋系という区別があり、これは西洋系になります。もともと長崎には「長崎五寸」と呼ばれる品種のニンジンがあったのですが、その近くで「丸山五寸」という品種のニンジンを栽培し始めたところ、交雑。それが出来のよいものだったのでこの黒田さんが選抜固定されたそうです。
五寸とは長さのことで、1寸が約30.303mmだから15cmくらいです。普通といえば普通ですが、これは固定種なので、一寸どころじゃない違いがあります。
「冬越」とは冬を越して栽培するということで、7~8月に種を蒔いて冬から春に収穫するというスケジュールになります。同じ「黒田五寸」でも冬越がつかない無印もあり、そちらは3~4月、6~8月に播種する春蒔きも可能なタイプになっています。そのため冬越黒田五寸人参は寒期限定という感じでしょうか。
味はもちろんですが色味もよく、生食やジュースにするのがおすすめです。
極早生乙女西瓜(ごくわせおとめすいか)
乙女と名の付くように、夏休みの絵日記帳的なスイカのイメージと比べる考えるとかなり小ぶりです。一般的なスイカはMサイズが5~6kgなので、2kgほどの極早生乙女西瓜は小玉扱いになります。縞が薄くて少し縦長のため、見た目はスタイルいいイメージがあるかもしれません。
この極早生乙女西瓜は、赤肉大玉種に黄肉長形小玉を交配して、赤肉の小玉として固定されました。「わせ」とはよく使われる用語ですが、収穫時期が普通のものより早いということです。少し緑色っぽい「早生みかん」などの表示を見たことがありませんか? まさにそれと同じです。それに「ごく」がついているため超早めに収穫する品種ということになります。皮が薄いので大きさの割に食べごたえあると思います。冷蔵庫のスペースをそれほど取らない奥ゆかしさもアピールポイントでしょうか。まあ小玉ならどのスイカもあてはまりますが、仕切り棚を外さなくてもよさそうです。
固定種ならではの、選ぶ楽しさ
数種類だけでしたが、固定種それぞれに個性があるということをお伝え出来たのではないかと思います。
本来は名もない野菜などないのですが、固定種には慣行農法で栽培された一般的なF1種の野菜とは違った選ぶときの楽しみがあるように思いませんか。こうした固定種・在来種野菜のキャラクターや独自性を、皆様に知っていただきたいと思っています。
ということで、また機会がありましたら、他の固定種・在来種野菜についてもその履歴書を公開していきます。
参照資料
野口のタネ