皆さんこんにちは!
翔栄ファーム・美濃加茂農場(岐阜県)のMです!
今回は晩柑(ばんかん)の6次化に挑戦したお話をしたいと思います。
6次化というのは、6次産業化の略で、原材料の生産(1次産業)から加工(2次産業)、そして販売(3次産業)までの全てを自社で手掛けることです。
(1+2+3で6ということですね)
私たち翔栄ファームでは、これまでも「群馬県の前橋農場産のジャガイモを使った冷凍コロッケ」や、「茨城県の龍ヶ崎農場産のサツマイモを使った干し芋」、そして、私たち「美濃加茂農場産の大豆や黒大豆を使ったきな粉」などの6次化商品を作ってきました。
今回は、熊本県の協力農家さんの農園で収穫した柑橘類・河内晩柑(かわちばんかん)を使ったジュースを6次化商品として作りました!
■ 河内晩柑のジュース
以前のコラムでもあったように熊本県水俣市の自然豊かな果樹園で育った河内晩柑!
その晩柑を今回は、自分たちで収穫し、ジュースに加工してきました。
(前回の様子はこちら → 自然の循環で育つ河内晩柑(かわちばんかん)|熊本まで収穫に行きました!)
河内晩柑が育つ協力農家さんの果樹園は、自然の循環の一部となっているような場所にあります。
その果樹園で、晩柑たちは、山の恵みをいっぱいに受け取って実を付けていました。
河内晩柑は、見た目グレープフルーツのようですが、味わいはグレープフルーツのような苦味は少なく、さっぱりとした甘さが特徴です。
水俣の自然豊かな環境で育った晩柑はより爽やかなうま味を感じました。
また今回ジュースに使用した晩柑は追熟させたものと採れたてのフレッシュな晩柑2種類を使用しています。
採れたての晩柑の美味しさもさることながら、追熟してある晩柑は酸味がマイルドになり甘さが引き立つ味わいです。
■ 晩柑の収穫
まずは晩柑の収穫です。
コンテナに収穫した晩柑を入れて行きます。
今回の収穫で取り切るように収穫したので、枝をかき分けて蜘蛛の巣に何度も絡まりながら収穫しました。
ただ本当に大変なのは収穫してからの積み込みでした。
晩柑を入れると1箱15㎏にもなるコンテナを、果樹園から運びだします。
足場も悪く、自然の恵みを雑草も目一杯吸い込み青々と生い茂った果樹園のなかでの運搬作業は、なかなかの重労働でした。
収穫を終えると次は選別です。
ジュースにするためには大きすぎるサイズを省かなければいけないのでサイズや傷みを確認しながら調整していきます。
(調整とは、収穫した作物を選別したり、枝や根っ子など不要な部分を落としたり、洗浄したりする作業ことです)
そしていよいよジュース工場への運搬になります!
調整した晩柑が入ったコンテナをトラックに積みこみ、工場へ向かいます!
■ 日本に3台?!だけの搾汁機
今回、ジュースを絞ったのは、果樹園がある熊本のジュース工場。
そこで、ジュースを絞る機械は、なんと日本に3台しか現存していないという、古い搾汁機(さくじゅうき=ジュースを絞る機械)です。
一般的な搾汁機は、皮も実も全て絞りつくすので搾汁率(ジュースを絞れる割合のこと)は高い分、味に雑味が出ます。
しかし、この工場の搾汁機は、果肉の部分だけを絞り出します。
そのため、搾汁率は、一般的の機械の半分以下になるものの余分な雑味がなくスッキリと飲みやすいジュースになりました。
(一般的な機械の搾汁率は6割前後。この機械は良くても3割ぐらいです。もったいない気もしますが、その分、美味しいところだけ絞れるんだそうです)
■ ストレートジュースと濃縮還元の違い
果汁100%ジュースには、ストレートと濃縮還元の2種類あります。
今回、翔栄ファームで作った晩柑ジュースはストレートジュースに分類されます。
一方、市販されている果汁100%ジュースの大半は濃縮還元です。
そのほとんどは、海外の農園で安く大量生産された原材料を使って作られます。
現地の工場で絞った果汁を、そのまま輸送すると輸送コストが膨大になります。
そこで、沸騰濃縮という高温加熱で水分を蒸発させて濃縮してペースト状にします。こうしてコンパクトにしたものを日本に運び、日本の向上で、水分を加えてジュースに戻すのです。
(だから、「濃縮」「還元」ですね)
高温加熱で水分を飛ばすので、ペーストにした時には、本来の風味やミネラルなどの栄養素が抜け落ちてしまいます。
これを水で戻しても味も素っ気もありませんので、香料などので味を整えて、濃縮還元ジュースの完成になります。
(濃縮還元ジュースについて詳しく知りたい方はこちらの記事もお読みください → 濃縮還元ジュースにはご注意を!)
これに対して、ストレートジュースというのは、そのまま絞ったジュースのことを言います。
もちろん我々の販売する晩柑ジュースは、農薬・化学肥料、ワックスなどの体に害のあるものは、一切使用していない河内晩柑を、美味しい部分だけしぼったストレートジュースです。
香料なども一切加えていない、自然本来の味を安心して召し上がっていただけるジュースになります!
■ 6次化に対する思い
日本の農業は今、担い手不足や耕作放棄地の増加、価格競争と様々な問題を抱えています。
翔栄ファームは未来に残る持続可能な農業を目指して取り組んでいます。
その一つが6次化の取り組みです。
6次化を進めることで、さまざまなメリットがあります。
6次化によって起きるメリットの1つ目は所得です。
1次産業のみでは得られなかった所得が得られるので、農業者の所得の向上が見込めます。
その反面スタートコストがかかるというデメリットもありますが、安全な食の確保のためには欠かせない事柄です。
2つ目は雇用の促進です。
価値のある製品を生み出すことができたら、地域の雇用促進も図ることができます。
農業も問題である後継者不足を脱却する道筋が作れるかもしれません。
3つ目は地域の活性化です。
その地に合う域資源を事業に利用することで、地域の風土や伝統、食文化などの持続的保全が可能になります。
地域活性化は、地域の文化や資源を継承することにもつながっていくでしょう。
4つ目は食品ロス削減です。
生鮮食品は市場で販売できる作物ばかりではありません。
どうしても形の悪いもの、傷みのあるものが出てきてしまったり、需要と供給が合わずロスに繋がる作物もあります。
6次化によってそう言ったものを商品を無駄なく製品として使用できるようになります。
6次化を進める事で、未来の農業をよりいい形で残すことができるかも知れません。
このように今後の農業を支える上で重要となる取り組みなのです。
未来に安全安心な食や環境を残すために、これからも取り組んで参ります!