ゲノム編集技術の届け出制度が始まりました。
ゲノム編集技術の届け出制度が始まりました。
遺伝子組み換えに似た新技術として、
ゲノム編集が話題になっています。
医療等以外に食品にも応用されることが
考えられており、既に実用化目前です。
今回は、この技術について概観してみましょう。
先日、厚生労働省でゲノム編集技術応用食品の
取扱要領が定められ、令和元年10月1日から
同省での取り扱いが始まりました(*1)。
これによると「ゲノム編集」とは、
「特定の機能を付与することを目的として、染色体上の特定の塩基配列を認識する酵素を用いてその塩基配列上の特定の部位を改変する技術」
と規定されています。
……よくわかりませんねえ。
少なくとも、
「元あるものに特定の機能を付与する」
と書いてあります。
つまり操作するということです。
よく見る遺伝子のイラストは、
鎖みたいな形になっていて、
この鎖のそれぞれの場所に
生物の特徴が記録されているので、
命の設計図などともいわれます。
もちろん不利な特徴なんかも書いてあるわけですが、
その設計図の一部を削除することで
それらの特徴を無しにできたりもするようです。
切り取った部分は
生物がもともと持つ力により修復されるので、
完成時には欠けのない新しい設計図が出来上がります。
作物を例に取ると、
病気になりやすい遺伝子の部位を切り取って
その病気に耐性がある品種にする、
なんてことができるわけです。
これだけを見ると革新的出来事とも思えますが、
「病気に耐性」を「農薬に耐性」に置き換えてみると、
どこかで聞いたことのあるような話に
なりはしないでしょうか。
正直、実態がよく分からない分、
作物に人的操作を加えると聞くだけで
気分はすっきりしません。
因みに、「遺伝子組み換え」と「ゲノム編集」
の違いはこんな感じです。
遺伝子組換えは、
「特定の遺伝子(類縁関係にないものも含む)を組み込む技術」
であるのに対して、
ゲノム編集は、
「狙った性質の遺伝子だけを切ったり繋げたりすること」
いわゆる「編集」です。
ゲノム編集では、
他の生物の遺伝子が完成した品種に混入しないため、
この点では遺伝子組換えとは決定的に違います。
そして作り出された品種は、
自然界における変異種と同様です。
つまりゲノム編集は自然界でも起こりうる
突然変異を意図的に起こさせること
だとも言えるのです。
しかし、そうは言っても
という気持ち悪さは残ります。
なぜならば遺伝子を直接操作しているのは
事実だからです。
確かに品種を何度も選別し固定化するまでには
大きな労力と長い時間がかかることは事実であり、
その部分を効率化するという生産性の向上の点では
貢献があるとは思いますが、
皆様はどう思われるでしょうか。
ゲノム編集技術の届け出制度が始まりました。
ゲノム編集技術の届け出制度が始まりました。
遺伝子組み換えに似た新技術として、ゲノム編集が話題になっています。医療等以外に食品にも応用されることが考えられており、既に実用化目前です。
今回は、この技術について概観してみましょう。
先日、厚生労働省でゲノム編集技術応用食品の取扱要領が定められ、令和元年10月1日から同省での取り扱いが始まりました(*1)。
これによると「ゲノム編集」とは、
「特定の機能を付与することを目的として、染色体上の特定の塩基配列を認識する酵素を用いてその塩基配列上の特定の部位を改変する技術」
と規定されています。
……よくわかりませんねえ。
少なくとも、「元あるものに特定の機能を付与する」と書いてあります。つまり操作するということです。
よく見る遺伝子のイラストは、鎖みたいな形になっていて、この鎖のそれぞれの場所に生物の特徴が記録されているので、命の設計図などともいわれます。
もちろん不利な特徴なんかも書いてあるわけですが、その設計図の一部を削除することでそれらの特徴を無しにできたりもするようです。
切り取った部分は生物がもともと持つ力により修復されるので、完成時には欠けのない新しい設計図が出来上がります。
作物を例に取ると、病気になりやすい遺伝子の部位を切り取ってその病気に耐性がある品種にする、なんてことができるわけです。
これだけを見ると革新的出来事とも思えますが、「病気に耐性」を「農薬に耐性」に置き換えてみると、どこかで聞いたことのあるような話になりはしないでしょうか。
正直、実態がよく分からない分、作物に人的操作を加えると聞くだけで気分はすっきりしません。
因みに、「遺伝子組み換え」と「ゲノム編集」の違いはこんな感じです。
遺伝子組換えは、
「特定の遺伝子(類縁関係にないものも含む)を組み込む技術」
であるのに対して、
ゲノム編集は、
「狙った性質の遺伝子だけを切ったり繋げたりすること」
いわゆる「編集」です。
ゲノム編集では、他の生物の遺伝子が完成した品種に混入しないため、この点では遺伝子組換えとは決定的に違います。
そして作り出された品種は、自然界における変異種と同様です。つまりゲノム編集は自然界でも起こりうる突然変異を意図的に起こさせることだとも言えるのです。
しかし、そうは言ってもという気持ち悪さは残ります。なぜならば遺伝子を直接操作しているのは事実だからです。
確かに品種を何度も選別し固定化するまでには大きな労力と長い時間がかかることは事実であり、その部分を効率化するという生産性の向上の点では貢献があるとは思いますが、皆様はどう思われるでしょうか。
情報の取り扱いが焦点に?
実際のお話をすると、
ゲノム編集によって生み出された品種は、
従来の育種で改良された品種と
容易に区別することはできません。
実物を後から解析するなどの
科学的な手法では難しいのです。
となると、生産者や加工者から情報を得るなど、
社会的な手段のほうが確実ということになるのです。
厚生労働省では、ゲノム編集技術を応用した
食品の取り扱いを「届け出制」としました。
また消費者庁では「現段階では食品表示基準の
表示の対象外」としています(*2)。
実質的に、国内で流通する食品について、
ゲノム編集が応用されたものかそうでないかを
消費者が判断することは、
非常に困難な状況となっています。
本来、口にする食品の選択は
消費者自らの判断で行うべきではないかと思います。
しかしその判断のためには、
生産者からの適切な情報提供が必要になるのです。
今後ますます、食品のトレーサビリティが
消費者にとって重要な要素となってくるのは
間違いありません。
情報の取り扱いが焦点に?
実際のお話をすると、ゲノム編集によって生み出された品種は、従来の育種で改良された品種と容易に区別することはできません。
実物を後から解析するなどの科学的な手法では難しいのです。
となると、生産者や加工者から情報を得るなど、社会的な手段のほうが確実ということになるのです。
厚生労働省では、ゲノム編集技術を応用した食品の取り扱いを「届け出制」としました。また、消費者庁では「現段階では食品表示基準の表示の対象外」としています(*2)。
実質的に、国内で流通する食品について、ゲノム編集が応用されたものかそうでないかを消費者が判断することは、非常に困難な状況となっています。
本来、口にする食品の選択は消費者自らの判断で行うべきではないかと思います。しかしその判断のためには、生産者からの適切な情報提供が必要になるのです。今後ますます、食品のトレーサビリティが消費者にとって重要な要素となってくるのは間違いありません。
出典:
*1:厚生労働省 ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領 https://www.mhlw.go.jp/content/000549423.pdf
*2:消費者庁 ゲノム編集技術応用食品の表示に係る考え方 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/genome/pdf/genome_190919_0001.pdf
参考:農林水産技術会議 資料「ゲノム編集技術」 http://www.affrc.maff.go.jp/docs/anzenka/attach/pdf/genom_editting-5.pdf