皆さん、こんにちは。翔栄ファーム前橋圃場からお送りします。
前橋圃場では2022年も幾つかの初挑戦の栽培がありました。その一つ「ボルゲーゼトマト」についてお話してみたと思います。
ボルゲーゼトマトはイタリア南部のトマトで、草丈100センチにもなるようなブッシュ・トマトながら、果実は30〜60グラム位の小粒。日本でよく見かけるプチトマトよりも若干小粒サイズで熟すと濃厚な赤色で綺麗。
加熱調理するとトマトの濃厚な出汁が良く出て風味が良いので生食よりも調理した方が美味しいトマトと言われています。個人的には生食でも酸味が抑えられた濃厚な味わいで大好きです。
■ 初挑戦!ボルゲーゼトマトの栽培
トマトは嫌光性種子のため、強い直射日光を避け、新聞紙を被せるなどして育苗ハウスで種播きから栽培、鉢の土面が乾くごとに一日4回、5回、6回と表面を湿らせるよう水遣り、霧吹きを行い丁寧に育てた苗はとても可愛い。
その厳選48株を5月末から畑に定植しました。日本の高温多湿でも良く育つと言われていますが、化学肥料、農薬、堆肥など一切使用しないでの栽培は果たしてうまく生育できるのかどうか、48株を一畝に集約して見守りました。
■ 順調に育ってくれたと思いきや!
苗から順調に生育している様子でしたが、生育途中で少ないながらも一部の葉に縮れた様子や、枯れる症状が見られた時があり、断定できる原因が分からず心配をしました。
もしかするとウィルス菌か何かの被害で全株に蔓延してしまわないかと、下手すれば全滅とうようなことにもなりかねないと心配しましたが、被害は拡大することなく大事に至りませんでした。
薬品は使用せずに症状のひどいものを数株を引き抜いただけで、あとは被害が広がらないことを見守っていました。結果として症状が広がることなく順調に育っていきました。
■ 旬の野菜を春までお届けしたい
それと、もう一つの課題は、支柱立てでした。
慣行農法では支柱を施すことで強風などで主幹が倒れないようにしたり、風通し、日当たりを確保し、大きな実をつける上では必須となっています。
自然栽培として、このトマトとどう接するのがベストか。化学肥料を使用せず生育促進、肥大化させない分、支柱がなくても自然に育てられないか。
より自然に沿った形で、むしろ強制的に矯正を強いるのではなく。ボルゲーゼトマトの生育の特性は上ではなく横に成長するということが分かったため、支柱で囲い、上に生育させるのではなく、自然に横に広がってもらえば良いのではないかと。支柱を施さず横に伸ばす格好でお世話をしてみたいという気持ちが自然と沸いてきました。
同じメンバーの中に、反対意見があり、支柱が無いと良く育たない、収穫が行いにくい、横に這わすと実が土に接触して実がすぐに腐敗してしまうなどの理由でしたが、できるだけ自然に任せることで、人が邪魔をしない、人が余計な手間をかけないためにも、実験的に半分だけでも試みたいと説得して臨みました。
結果的には手間が減るだけでなく、支柱で誘引を試みた半分のトマトと変わらない収穫ができたのではないかと感じています。収穫が行いやすいか否かは感情的にも好みが分かれるかもしれませんが、枝が支柱に当たると、枝が湾曲したり、方向転換して生育するので、枝が混乱して返って風通し日当たりと収穫にも支障が出るような感想を抱いています。
土に実が接触する形になりましたが、きちんと熟すまでに至り、要は腐食しない内にタイミングよく収穫することが美味しい食べごろのトマトを提供できることにもつながると感じています。
想像を超える色々な条件に恵まれ、運よく栽培収穫できたかもしれませんが、更なる進化発展をすべく今後も栽培したいと思っています。
次回はボルゲーゼトマトの美味しさがより引き立つドライトマトとしてもお届けできるようになればと願っています。