岐阜圃場のT.Nです。
福岡出身の僕が、全くの土地勘の無い
翔栄ファームの岐阜県美濃加茂市圃場で
農業をはじめるきっかけとなった
ケールという野菜との出会いなど
お話ししたいと思います。
■ 衝撃を受けたバイキングのケール
ある日、ぼんやりとテレビを眺めていると、
そこに映っていたのは「美味しい、美味しい」と
野菜をむしゃむしゃ食べている大人の姿。
それを見て、「大げさだな、所詮野菜でしょ」と
少し馬鹿にした感じで見ていました。
少し時が経った頃、東京での出張仕事が終わり、
なにか美味しい物食べたいなと思っていたとき、
(飲み会続きで野菜不足だったこともありますが)
テレビで取材を受けていたケールファームが
東京で5店舗くらい飲食店を出していることを思い出し、
行ってみることにしました。
店内はおしゃれな雰囲気で割と賑わっており、
お目当ての野菜はバイキング方式で提供されていました。
とてもバイキングの野菜とは思えない色艶のケールを取り、
オリーブオイルと少量の塩で食べてみました。
衝撃でした。
めちゃくちゃ美味しかったのです。
こんなに美味しい野菜を食べたのは初めてでした。
店員さんに色々聞いていくと、
野菜はできるだけ自然に近い農法で栽培していること、
形や規格外品でも調理してしまえば
本来の野菜の味を引き出せるとおっしゃっていました。
ケールの衝撃、そこで店員さんが話してくれた話、
農業界の高齢化、色々加味して就農を決意しました。
■ 翔栄ファームへの就農。栽培希望は「ケール」と即答
いくつかの企業を調べていくなか、
無農薬へのこだわりや自家採種までする会社は
かなり数が少なく、就職活動は難航しましたが、
翔栄ファームの岐阜圃場への採用が決まりました。
当時、岐阜圃場がまだ立ち上げ段階だったこともあり、
「せっかく生産に携わっていくのだから、
自分にとって思い入れのある(持てる)野菜があれば
それを選んで作ってみていいよ」と言われました。
もちろん、私は「ケール」と即答し、
とんとん拍子で作付けまで決まりました。
ですが、問題はここから。
農業に関しては全くの初心者ですから、
何をしていいのか分かりません。
既に龍ヶ崎・前橋圃場の生産が進んでいたので、
先輩たちにアドバイスをいただいたり、
自分で勉強したりしながら、
なんとか播種して芽を出すことができました。
■ 念願のケール栽培の日々
初めて芽が出てきた時はすごく嬉しかったし、
自分の農業人生が始まったと思いました。
発芽後は、ポットに鉢上げして育成、
畑に畝をたて、マルチを張り、定植をしました。
毎日観察して、「今日はどうかなー」とか
「育っているかなー」とか子供のように
見守り、面倒を見る日々です。
ある日、観察していると、
葉が食べられている形跡を発見しました。
その葉の裏側を見ると青虫が・・・。
野菜を守るために心を鬼にして捕殺しました。
防虫ネットは張っていたのですが、
もうそんなこと言う余裕もなくなるくらい
発生してしまっていました。
防虫対策としてストチュー
(木酢液、酢、焼酎、にんにく入りの自然農薬)を
散布して様子をみることにしました。
観察しては捕殺を繰り返し、ストチューの効果で
なんとかケールを守りきることができました。
次の問題は土の中の栄養でした。
ある日を境にピタッと成長が止まり、
葉が黄色になってきてしまいました。
先輩たちと相談した結果、
畑の土に有機物が少なく、
栄養が足りてなかったため
成長が止まってしまったという結論に至りました。
緊急対策として、ケールの株元に
腐葉土と少量の米ぬかを撒いてみて経過観察しました。
一週間くらいで葉の色も良くなり、急に株に元気が戻ってきました。
この一週間はずっとドキドキしていたので一安心。
更にその年の冬はとても気温が低く、
軌道に乗せるまでが勝負と思っていたので
その後もよく成長を続けてくれているのを見て
本当に嬉しかったのを覚えています。
■ 人としても成長できる農業は「楽しい」
自分で生産したケールを初めて収穫、
食べてみたときはすごく感動しました。
とても美味しかった。
ケールは野菜の王様と言われるほど栄養価が高い野菜です。
日本では、「まずい、もう一杯」の
青汁のイメージが強いですが、
海外ではとても人気のある野菜です。
僕はこのイメージを払拭したいと思っていて、
美味しくて、なおかつ栄養もたくさん取れる
スーパーフードであるケールを布教したいです。
と言いつつも、自分で生産したケールが
初めて宅配のラインナップに採用されたときは、
自分が作った野菜が入るのは少し不安だなと思いましたが、
こんなに美味しくて、自分の思い入れがあって、
なんとかゴールまでたどり着いたケールを、
皆さんに食べて欲しいという思いもあり複雑でした(笑)
またケールを初出荷して農業人として
少し成長したかなと思いました。
野菜を作りつつも、人として成長できる農業は
「楽しいんだぞ」ということを、
若い人たちに発信したいという気持ちも生まれました。
まだまだ農業人としても、人としても未熟ですが、
こんな素人でも愛情を持って真摯に対応すれば、
野菜が応えてくれるという貴重な体験を、
ケールを通して経験することができました。
まだまだ、農業人生は長いですが、
一番大切なこと学べた気がします。
今後も心を込めて野菜作りに挑戦したいと思います。
岐阜圃場のT.Nです。
福岡出身の僕が、全くの土地勘の無い翔栄ファームの岐阜県美濃加茂市圃場で農業をはじめるきっかけとなった、「ケール」という野菜との出会いなどお話ししたいと思います。
■ 衝撃を受けたバイキングのケール
ある日、ぼんやりとテレビを眺めていると、そこに映っていたのは「美味しい、美味しい」と野菜をむしゃむしゃ食べている大人の姿。それを見て、「大げさだな、所詮野菜でしょ」と少し馬鹿にした感じで見ていました。
少し時が経った頃、東京での出張仕事が終わり、なにか美味しい物食べたいなと思っていたとき、(飲み会続きで野菜不足だったこともありますが)テレビで取材を受けていたケールファームが東京で5店舗くらい飲食店を出していることを思い出し、行ってみることにしました。
店内はおしゃれな雰囲気で割と賑わっており、お目当ての野菜はバイキング方式で提供されていました。とてもバイキングの野菜とは思えない色艶のケールを取り、オリーブオイルと少量の塩で食べてみました。
衝撃でした。めちゃくちゃ美味しかったのです。こんなに美味しい野菜を食べたのは初めてでした。
店員さんに色々聞いていくと、野菜はできるだけ自然に近い農法で栽培していること、形や規格外品でも調理してしまえば本来の野菜の味を引き出せるとおっしゃっていました。ケールの衝撃、そこで店員さんが話してくれた話、農業界の高齢化、色々加味して就農を決意しました。
■ 翔栄ファームへの就農。栽培希望は「ケール」と即答
いくつかの企業を調べていくなか、無農薬へのこだわりや自家採種までする会社はかなり数が少なく、就職活動は難航しましたが、翔栄ファームの岐阜圃場への採用が決まりました。当時、岐阜圃場がまだ立ち上げ段階だったこともあり、「せっかく生産に携わっていくのだから、自分にとって思い入れのある(持てる)野菜があればそれを選んで作ってみていいよ」と言われました。
もちろん、私は「ケール」と即答し、とんとん拍子で作付けまで決まりました。
ですが、問題はここから。農業に関しては全くの初心者ですから、何をしていいのか分かりません。既に龍ヶ崎・前橋圃場の生産が進んでいたので、先輩たちにアドバイスをいただいたり、自分で勉強したりしながら、なんとか播種して芽を出すことができました。
■ 念願のケール栽培の日々
初めて芽が出てきた時はすごく嬉しかったし、自分の農業人生が始まったと思いました。
発芽後は、ポットに鉢上げして育成、畑に畝をたて、マルチを張り、定植をしました。毎日観察して、「今日はどうかなー」とか「育っているかなー」とか子供のように見守り、面倒を見る日々です。
ある日、観察していると、葉が食べられている形跡を発見しました。その葉の裏側を見ると青虫が・・・。野菜を守るために心を鬼にして捕殺しました。防虫ネットは張っていたのですが、もうそんなこと言う余裕もなくなるくらい発生してしまっていました。
防虫対策としてストチュー(木酢液、酢、焼酎、にんにく入りの自然農薬)を散布して様子をみることにしました。観察しては捕殺を繰り返し、ストチューの効果でなんとかケールを守りきることができました。
次の問題は土の中の栄養でした。ある日を境にピタッと成長が止まり、葉が黄色になってきてしまいました。先輩たちと相談した結果、畑の土に有機物が少なく、栄養が足りてなかったため成長が止まってしまったという結論に至りました。
緊急対策として、ケールの株元に腐葉土と少量の米ぬかを撒いてみて経過観察しました。一週間くらいで葉の色も良くなり、急に株に元気が戻ってきました。この一週間はずっとドキドキしていたので一安心。更にその年の冬はとても気温が低く、軌道に乗せるまでが勝負と思っていたのでその後もよく成長を続けてくれているのを見て本当に嬉しかったのを覚えています。
■ 人としても成長できる農業は「楽しい」
自分で生産したケールを初めて収穫、食べてみたときはすごく感動しました。とても美味しかった。
ケールは野菜の王様と言われるほど栄養価が高い野菜です。日本では、「まずい、もう一杯」の青汁のイメージが強いですが、海外ではとても人気のある野菜です。僕はこのイメージを払拭したいと思っていて、美味しくて、なおかつ栄養もたくさん取れるスーパーフードであるケールを布教したいです。
と言いつつも、自分で生産したケールが初めて宅配のラインナップに採用されたときは、自分が作った野菜が入るのは少し不安だなと思いましたが、こんなに美味しくて、自分の思い入れがあって、なんとかゴールまでたどり着いたケールを、皆さんに食べて欲しいという思いもあり複雑でした(笑)
またケールを初出荷して農業人として少し成長したかなと思いました。野菜を作りつつも、人として成長できる農業は「楽しいんだぞ」ということを、若い人たちに発信したいという気持ちも生まれました。まだまだ農業人としても人としても未熟ですが、こんな素人でも愛情を持って真摯に対応すれば、野菜が応えてくれるという貴重な体験を、ケールを通して経験することができました。
まだまだ、農業人生は長いですが、一番大切なこと学べた気がします。今後も心を込めて野菜作りに挑戦したいと思います。