はじめまして。
翔栄ファーム前橋農場の中里です。
私は翔栄ファーム開始時からのメンバーで、
本当にゼロからのスタートを経験させてもらっています。
あれから3年。
日々の営農を通して、
今では少しだけ自然栽培の大切さに
気付き始めてきたように感じます。
今更ですがそれは、
「自然が先生であるということに実感が湧いてきた」
ということかもしれません。
ここで少しだけ自己紹介をさせていただきます。
私の実家は農家を営んでいることもあり、
生まれた時から農業という環境の中で育ってきました。
高校や大学も農業系の学校です。
特に大学では、本格的な農業実習として
一人一棟のハウスをあてがわれ
そこでトマトの栽培をしてきました。
私の大学ではいわゆる慣行農法でしたが、
播種から収穫までの全工程を一人で行い、
様々な栽培上の工夫を自分なりに施していく中で、
少なくともトマト栽培においては
「どうしたら美味しいトマトが作れるのか?」
幾ばくかの経験値を習得することができました。
というわけで、いきなりですがここでクイズです!
トマトの支柱を一本にするのと二本にするのとでは
どちらが美味しいトマトができると思いますか?
(支柱の本数以外はすべて同条件とします)
……はい、正解です。
そもそも支柱の本数によって仕立て方は違いますが、
美味しいトマトを作るだけにフォーカスするならば
「支柱は一本」の方がよいのです。
理由は明白です。
支柱の本数が増えればその分、
栄養が分散してしまうためです。
ただし収量という観点では
支柱二本の場合に軍配が上がります。
とまあ簡単に言えばこんな感じですが、
その他にも作業の時間や手間など、
それぞれにメリット・デメリットがあるため、
どのような栽培計画を立てるかによって
方法論の組み合わせ方が変化していくのです。
自己紹介の続きに戻ります。
私は大学卒業後、とある農業法人に就職しました。
そこでは特別栽培(地域の慣行レベルに比べて、
節減対象農薬の使用回数が50%以下、
化学肥料の窒素成分量が50%以下)を行っていましたが
実際の農業ビジネスの世界では
想像以上の農薬や化学肥料を使用することに驚き、
これが世間の当たり前ということを知った時に、
大きな不安をいただいたことを
今でもはっきりと覚えています。
その体験を契機にオーガニックや自然栽培、自然農法など
様々な栽培方法について改めて調べ始めました。
そんな時に出会ったのが
翔栄ファームのスタッフ募集でした。
その時はまだ翔栄ファームでは
群馬県前橋に農地(未開墾)は確保したものの
まだ何も栽培していませんでした。
ただこれから始めることは
「固定種・在来種の自然栽培」であるという
私に取っては強烈なメッセージでした。
私はすぐに翔栄ファームの扉を叩き、
幸運なことにもスターティングメンバーとして
参加することになったのです。
農地の開墾から始まり、
栽培の先生から教わりながら本当に少数精鋭(?)で
100種類を超える固定種・在来種を
自然な方法で栽培し続け、自家採種をしてきました。
初めは上手くいかないことばかりで
自然栽培の難しさを痛感する日々の連続でした。
それでもチャレンジし続けていく中で、
その都度自然環境が答えを教えてくれるのです。
例えば、
前橋農場は赤城山麓にあるため1年中風が強く、
土質は比較的さらさらしています。
今年は「石倉一本ネギ」の収量が
目標の2倍近くに達したのですが、
他地域の石倉一本ネギと比べると白い部分が短いのです。
ネギの白い部分は土に埋まっているため、
ネギ栽培では土寄せをすることで
畝(うね)を少し高くするのがセオリーです。
しかし前橋農場では風の影響で
土寄せした山の部分が平らになってしまい、
土に埋まった部分が短くなってしまったのです。
しかし私たちはこう思います。
「来年はこの風対策を上手くやりなさい!」
ということだろうと。
私たちは自然からのメッセージを受け取ったのです。
(具体的方法のイメージもすでにあります)
皆様もよくお聞きになるとは思いますが、
自然相手においては全く同じことは起こりません。
つまり毎日が新しいのです。
その意味においてはわずか3年間とはいえ、
良いことも悪いことも含めて
数多くの印象的な出来事が起こりました。
折角の機会ですので、その中から一つだけ
エピソードを披露したいと思います。
前橋農場の初収穫は枝豆でした。
しかも想像を超えるレベルの豊作でした。
当時はまだ販路もないため(宅配もまだありません)、
翔栄ファームの運営会社がある新宿まで
軽トラの荷台一杯の枝豆を運び、
他の事業部のメンバーにも大量に配りました。
さらに翔栄ファームの兄弟姉妹的な存在である
自然食品のお店「ビセットプラザ」の店頭において、
自然栽培の固定種枝豆を破格の値付けで詰め放題に。
ご購入下さったお客様のほぼ全員が
「本当にこの値段で間違いないですか?」と聞かれるほど
私たちにとってもこの反響は大きなサプライズでした。
さて、現在の前橋農場では
春夏野菜の播種や定植を中心に農作業を行っています。
どの工程も重要ですが、特にこの時期は
定植した苗が畑のその場所に馴染むかどうか、
いわゆる相性を見極める上で特に大切な時期です。
種も同様です。
もし一定の時間経過の後、生育が思わしくなければ、
時期が許す限りやり直しをします。
最近はかなり気温も上がってきたので、
朝晩5℃以下になるようなことは少なくなりましたが、
品種それぞれに適した栽培環境というものが存在します。
そして自然は常に変化します。
一般論ですが、農業者がよく
「農業は自然との対話である」ということは、
まさにその通りだと思っています。
今年の前橋農場では新しい作物にもチャレンジします。
「大浦太ごぼう(おおうらふとごぼう)」
「隼人瓜(はやとうり)」
「もちっとコーン」
「ノーベルほうれん草」
などです。
これらは夏・秋収穫の野菜です。
丹精込めて作ります。
ぜひともお待ちいただければと願ってやみません。
はじめまして。翔栄ファーム前橋農場の中里です。
私は翔栄ファーム開始時からのメンバーで、本当にゼロからのスタートを経験させてもらっています。
あれから3年。日々の営農を通して、今では少しだけ自然栽培の大切さに気付き始めてきたように感じます。今更ですがそれは、「自然が先生であるということに実感が湧いてきた」ということかもしれません。
ここで少しだけ自己紹介をさせていただきます。私の実家は農家を営んでいることもあり、生まれた時から農業という環境の中で育ってきました。高校や大学も農業系の学校です。特に大学では、本格的な農業実習として一人一棟のハウスをあてがわれそこでトマトの栽培をしてきました。私の大学ではいわゆる慣行農法でしたが、播種から収穫までの全工程を一人で行い、様々な栽培上の工夫を自分なりに施していく中で、少なくともトマト栽培においては「どうしたら美味しいトマトが作れるのか?」幾ばくかの経験値を習得することができました。
というわけで、いきなりですがここでクイズです!
トマトの支柱を一本にするのと二本にするのとではどちらが美味しいトマトができると思いますか? (支柱の本数以外はすべて同条件とします)
……はい、正解です。そもそも支柱の本数によって仕立て方は違いますが、美味しいトマトを作るだけにフォーカスするならば「支柱は一本」の方がよいのです。
理由は明白です。支柱の本数が増えればその分、栄養が分散してしまうためです。ただし収量という観点では支柱二本の場合に軍配が上がります。
とまあ簡単に言えばこんな感じですが、その他にも作業の時間や手間など、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どのような栽培計画を立てるかによって方法論の組み合わせ方が変化していくのです。
自己紹介の続きに戻ります。
私は大学卒業後、とある農業法人に就職しました。そこでは特別栽培(地域の慣行レベルに比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下)を行っていましたが実際の農業ビジネスの世界では想像以上の農薬や化学肥料を使用することに驚き、これが世間の当たり前ということを知った時に、大きな不安をいただいたことを今でもはっきりと覚えています。
その体験を契機にオーガニックや自然栽培、自然農法など様々な栽培方法について改めて調べ始めました。
そんな時に出会ったのが翔栄ファームのスタッフ募集でした。
その時はまだ翔栄ファームでは群馬県前橋に農地(未開墾)は確保したもののまだ何も栽培していませんでした。ただこれから始めることは「固定種・在来種の自然栽培」であるという私に取っては強烈なメッセージでした。私はすぐに翔栄ファームの扉を叩き、幸運なことにもスターティングメンバーとして参加することになったのです。
農地の開墾から始まり、栽培の先生から教わりながら本当に少数精鋭(?)で100種類を超える固定種・在来種を自然な方法で栽培し続け、自家採種をしてきました。初めは上手くいかないことばかりで自然栽培の難しさを痛感する日々の連続でした。それでもチャレンジし続けていく中で、その都度自然環境が答えを教えてくれるのです。
例えば、前橋農場は赤城山麓にあるため1年中風が強く、土質は比較的さらさらしています。今年は「石倉一本ネギ」の収量が目標の2倍近くに達したのですが、他地域の石倉一本ネギと比べると白い部分が短いのです。ネギの白い部分は土に埋まっているため、ネギ栽培では土寄せをすることで畝(うね)を少し高くするのがセオリーです。しかし前橋農場では風の影響で土寄せした山の部分が平らになってしまい、土に埋まった部分が短くなってしまったのです。
しかし私たちはこう思います。「来年はこの風対策を上手くやりなさい!」ということだろうと。私たちは自然からのメッセージを受け取ったのです(具体的方法のイメージもすでにあります)。
皆様もよくお聞きになるとは思いますが、自然相手においては全く同じことは起こりません。つまり毎日が新しいのです。その意味においてはわずか3年間とはいえ、良いことも悪いことも含めて数多くの印象的な出来事が起こりました。折角の機会ですので、その中から一つだけエピソードを披露したいと思います。
前橋農場の初収穫は枝豆でした。しかも想像を超えるレベルの豊作でした。当時はまだ販路もないため(宅配もまだありません)、翔栄ファームの運営会社がある新宿まで軽トラの荷台一杯の枝豆を運び、他の事業部のメンバーにも大量に配りました。
さらに翔栄ファームの兄弟姉妹的な存在である自然食品のお店「ビセットプラザ」の店頭において、自然栽培の固定種枝豆を破格の値付けで詰め放題に。ご購入下さったお客様のほぼ全員が「本当にこの値段で間違いないですか?」と聞かれるほど、私たちにとってもこの反響は大きなサプライズでした。
さて、現在の前橋農場では春夏野菜の播種や定植を中心に農作業を行っています。どの工程も重要ですが、特にこの時期は定植した苗が畑のその場所に馴染むかどうか、いわゆる相性を見極める上で特に大切な時期です。
種も同様です。もし一定の時間経過の後、生育が思わしくなければ、時期が許す限りやり直しをします。
最近はかなり気温も上がってきたので、朝晩5℃以下になるようなことは少なくなりましたが、品種それぞれに適した栽培環境というものが存在します。そして自然は常に変化します。一般論ですが、農業者がよく「農業は自然との対話である」ということは、まさにその通りだと思っています。
今年の前橋農場では新しい作物にもチャレンジします。
「大浦太ごぼう(おおうらふとごぼう)」「隼人瓜(はやとうり)」「もちっとコーン」「ノーベルほうれん草」
などです。これらは夏・秋収穫の野菜です。丹精込めて作ります。ぜひともお待ちいただければと願ってやみません。