ビタミン、ミネラル、食物繊維、そしてたんぱく質は「海の大豆」といわれるほど栄養が豊富な海苔は私達日本人にとっておにぎりやお寿司など食卓には欠かせない食材ですね!
栄養素がたっぷり、日本のソウルフードともいえる海苔ですが、皆さんは海苔がどのように作られているかご存知ですか?
■ 海苔の養殖
海苔は海の中に網を張って養殖します。
満潮時に海の中の養分をたくさんもらって大きく育ち、干潮時に風と太陽をたっぷり浴びて病原菌となる雑菌が取り除かれ健康な海苔に生長していき、美味しい海苔になります。
しかしながら、海苔が大きく生長するのは海の中に浸かっている時だけです。海苔の需要が高まるようになったことでその生産性を上げるために海苔の養殖のやり方もかわってしまいました。
海水に浸かっている時に生長するのならずっと海水に浸けておこうと考えました。しかし、それでは風と太陽に浴びることができないので雑菌を取り除くことができなくなります。病原菌となる菌を取り除き健康な海苔に生長させるためにはどうしたらいいのでしょうか?
■ 海苔の酸処理
そこで考えられた方法が「海苔の酸処理」という手段です。酸処理では、風や太陽の代わりに養殖している網ごと酸性の液体に浸し消毒し、また海に戻すという作業を行います。海苔の病気を予防し、雑菌を取り除くために行うこの方法は「海苔を農薬に浸す作業」と言っても過言ではありません。
現在の海苔の養殖は海苔の需要の高まりから生産性が重視されるようになりました。残念ながら市場に出回っているほとんどの海苔がこの「酸処理」を行って生産されたものと思われます。
■ 酸処理された海苔
海苔の供給量が増えたからとはいえ、この新技術によって生産された海苔は当然のことながら味も香りも悪くなり、海苔自体も硬くなってしまっています。
しかしながら、酸処理をした海苔の色は黒くつやつやに仕上がります。そのため見た目はとてもいいようです。確かにコンビニのおにぎりの海苔は真っ黒でつやつやしていて美味しそうに見えますね。
さらには新たな問題として、酸処理に使用される酸処理剤の行先です。酸処理が終わった後の処理剤を海にそのまま投棄してしまうという悪質な業者もあるようです。弱酸性の海に酸性の処理剤を流し入れてしまうことになるわけです。その結果は、当然魚介類が住めない悪い環境を作り出してしまうことになります。
酸処理剤を不法に海に投棄する行為は海苔ばかりではなく処理剤が「海の農薬」に化してしまい海を汚し、生態系にも影響を与えてしまいます。
■ 無酸処理の海苔
海中にある海苔の網には1週間で汚れが付着してしまいます。そのため赤腐れなどの病気を防ぐために酸の水槽に浸けてきれいにします。
現在ほとんどの養殖場で酸処理を行って海苔の生産を行っていますが「通年無酸処理」で海苔の養殖をしている生産者さんもいます。生産性は悪くなりますが味も香りも最高の海苔と言われています。
酸処理をしない、無酸処理は「無農薬(=農薬を使わない)」という事と同じで野菜やお米の自然栽培同様に多大な労力と手間と時間を必要とします。冷たい海に浸かりながらの作業は本当に過酷で、それでも「安全性が確かな食材」をこれからの世代に伝えていかなければと昔ながらの養殖法を守り続けてくれています。
化学薬品や特殊な薬剤を使用していない海苔は人体に化学物質を摂取してしまう恐れもなく健康被害もありません。酸処理された海苔に比べると何よりもからだにやさしくとても安心です。市販化されるまでに手間や時間がかかりますが添加物がない海苔は腸内環境もしっかりと整えてくれます。
アトピー性皮膚炎やじんましんなど体質改善も期待できます。栄養価も高く抗酸化酵素の数値も高いので免疫力もアップ、病気に強いからだづくりが可能になると期待されています。何より酸処理をしないことは環境に悪い要素がありませんので生産者も環境保護に貢献していることになります。
無酸処理である海苔を選ぶ私達消費者も自分の健康を守ることと同時に環境を守ることへの意識も高まります。日常生活で自らの意識を改革していくことで地球にやさしい環境づくりにも貢献していることになります。
口するもののその生産過程にも関心を持つこと、安ければいいわけではなくどのように作られているかを知ろうとすること、自分自身はもちろんのこと家族を守るためにはとても大事なことです。
未来の子供たちがなんの心配もなく健康で過ごしていけるよう大人の私たちがそれらを意識して追及していく事の重大さを知る必要がありますね。