前回は食品添加物の始まりについてのお話でしたが、今回は天然添加物について、天然添加物と呼ばれているものがどのくらいあるのかを調べてみました。
■天然添加物とは?

植物や動物などから得られる天然の物質のことで食品に香りなどを付ける目的で使用されます。
●100%海藻からできた寒天は羊羹などの成形などに
●バニラやレモンなどの果実の果皮から得られる香料やバラなどの花や樹木、ミントやタイムなどの葉から得られる香料は食品の香りづけなどに

天然添加物だからといって必ずしも安全というわけではありません。たとえそれが天然由来のものであっても安全性が確認されているもののみが食品の添加物として使用が認められており、そうでないものには使用制限があります。
■合成添加物と天然添加物の安全性
合成添加物は化学的に合成された物質、天然添加物は自然界に存在する物質を抽出したものです。食品衛生法では同じ成分であれば天然でも合成でも安全性は変わらないとされています。
実は人工的に作られた添加物の方が実験で安全性が確かめられているため、科学的な安全性のデータのない天然のものよりも逆に安全性を確保しやすいとも言われているようです。
■天然添加物のメリット

天然添加物には、動植物由来の香料や、トレハロースなどの甘味料などがあります。
天然添加物のメリットは
- 食品本来の味を引き出すことができる
- 食品の品質や価格を安定できる
- 栄養素を補える
- 外界のストレスから体を保護する役割がある
- 保湿・老化防止の効果がある
などが挙げられます。
■天然添加物 トレハロース
トレハロースは天然の糖質として食品添加物として現在では幅広く使用されています。甘味度が砂糖の半分以下(約40~45%)であとを引かず上品で柔らかな甘みを持つ甘味料で食品加工、化粧品、医薬品などで利用されています。
トレハロースは甘味料として使用することにより他の甘味料ともよく調和し、素材の持ち味を引き出してくれます。甘さが控えめなのでお菓子、パン、総菜、レトルト食品など多くの食材に用いられています。
自然界に存在しない甘味成分を化学的に合成して作り出された合成甘味料とは異なり、トレハロースのほとんどはじゃがいもやトウモロコシなどのデンプンから作られている天然糖質です。
また、キノコや海藻、ヒマワリの種、酵母などにも含まれており、パンには酵母が含まれているので誰もが意識せずにトレハロースを食していることにもなります。

トレハロースの用途として主に挙げられるのが、
・食品の鮮度、パリパリとした食感、パンなどでんぷんの老化を抑え柔らかさを長時間維持する
・お菓子や飲料の味を引き立ててくれる
・長期保存や冷凍保存などによる食品ダメージを緩和し味や食感などを抑制してくれる
・野菜、果物などの色の保持、パンケーキなどが褐色になるメイラード反応を起こしにくくするなど変色をふせいでくれる
・お菓子や苦い薬の糖衣として食べやすく、飲みやすくしてくれる
などがあげられます。

トレハロースの健康上の効果
トレハロースはキシリトールと同じく虫歯になりにくい、骨粗しょう症を予防する、メタボリックシンドロームを予防するなどの健康に有益な特徴を持っています。
・血糖値の急上昇を抑える作用があるので、糖尿病患者など血糖値管理が必要な人にとって、より穏やかな甘味料として利用できる
・細胞を酸化ストレスから保護するため、老化の進行を遅らせ、細胞の損傷を防ぐことが期待されている
・腸内の善玉菌の増殖を促すので腸内環境の改善、消化機能や免疫力の向上などが期待できる
・疲労回復や、ストレスが多い環境での体調維持にも役立つ
など、トレハロースは一度にたくさん摂取するとおなかが緩くなる可能性があるとされていますが通常の食品からの摂取量は少ないため体への影響はほとんどないと言われています。
更には皮膚の水分を保つ効果、毛髪のキューティクルを保持する効果などが期待されているため化粧品やヘアケア製品などにも使用されています。
トレハロースは国内外の食品安全基準をクリアした安全性の高い天然添加物として認められており、日本でも厚生労働省によって使用が許可されております。適切な量を摂取することで天然由来の甘味料としての利用が推奨されています。
可能な限り食品添加物には頼らない食品を摂取したいという気持ちが強い方も多いかと思われます。ずっと誰もが健康でいられるためにも農薬や化学肥料を使用していない野菜やお米、国産、オーガニックの原材料から作られている食材を選びたいなど、誰もが安全なものを口にすることができる、食べ物から社会を変えていくそんな未来を目指した取り組みを目指していくことが大事なのかもしれませんね!
