食品添加物はいつから、どのように使われてきたのか、今回は食品添加物の歴史についてご紹介します。
■食品添加物とは?
食品添加物の歴史をたどる前に食品添加物とはどんなものなのかを確認してみましょう。
食品衛生法(第四条第二項)には以下のように食品添加物の定義が示されています。
「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。」
食品添加物とは食品を加工する、品質保存性を保つ、色、香り、味、食感などを向上させる、栄養価を上げるなどの目的で食品に加える調味料や保存料のことです。
■食品添加物の種類と役割
どの添加物も必ず何らかの目的があって使用されています。
1.保存料、日持ち向上剤、防カビ剤など
食品の腐敗や変色を防ぎ食中毒などのリスクを低減する役割があり、品質や安全性を保ちます。
2.甘味料、酸味料、苦味料、香料、着色剤、発色剤、
食品の味や香り、色味や食感、見た目を向上させながら美味しく感じながらいただけるように、例えば、着色剤によるカラフルな色調の食材、ハムやソーセージなどには発色剤などが使用されています。

3.凝固剤、ゲル化剤、乳化剤
食品を製造または加工の為に必要となる食品添加物です。これがなければ食品そのものが製造できません。
豆腐、こんにゃくを固めるために使用している凝固剤、ゼリーやプリンなどのプルンとした弾力のある食感を足すために使用されるゲル化剤、ジャムなどのトロリとした食感には増粘剤、通常混ざり合わない水と油を混ぜ合わせ乳化させるために使用する乳化剤、アイスクリームなどの製造に使用されています。
4.ビタミン剤、ミネラル類、アミノ酸類(L-アスコルビン酸、β-カロテン、焼成カルシウムなど)
食品を製造または加工する際に栄養成分が減少する場合があるため、その栄養成分を補填、強化するために使用します。
このように添加物を使用する目的は大きく4つの理由によると分類されます。

■食品添加物の歴史を探る

まだ食品添加物と呼ばれるものがないときは食品の保存はどうしていたのでしょうか?
昔の人々は様々な工夫をして食品を保存してきました。食品を天日干しする、塩漬けにする、発酵させる、燻製にするなど食品を長持ちさせるための工夫がされてきました。
このような保存性の向上や、色、味、香りなどを高めるための食品の加工は紀元前3000年頃にはすでに行われてきたと言われています。

食品加工手段として、紀元前3000年ごろにバビロニアで発酵して加工する、弥生・古墳時代にはわさび、山椒で香りづけをする、奈良・平安時代にはクチナシやベニバナで色付けをするなど、食品の保存や食品の見た目や品質を向上させるためのこれらの方法は食品加工技術が進むとともにどんどん進化し食品添加物と呼ばれるようになりました。
1947年、食品による事故を防ぐために「食品衛生法」が施行されました。食品に添加するものを「食品添加物」として種類や量が規制されました。この時、人の健康を害することのない化学的合成品としての食品添加物として62品目が指定されました。
食品衛生法が確立する前には毒性のある添加物が食品に使用されてしまうなど食品の添加物が原因で急性中毒になるなどの被害がありました。
2003年には食品安全基本法が定められ食品安全に対して「リスク分析」の考え方が導入され、食品添加物のリスクを化学的に評価する体制が整います。
リスク分析とは、食品安全委員会によるどのくらい食べても安全か調べて決めるリスク評価、厚生労働省、農林水産省、消費者庁な都による食べても安全なようにルールを決めて監視するリスク管理、上記機関と消費者事業者など関係者で情報を共有し意見交換をするリスクコミュニケーションなどです。

■食品添加物とうまく付き合おう!
今に至るまでには様々な添加物が使用されてきましたが、中には食品衛生法が施行された後も安全性が保障できないという問題から使用禁止となった添加物もあります。
現在では厚生労働大臣が安全性とその有効性を認めたもののみが使用を許可されています。日本の食品安全委員会が試験を通じて科学的に安全性を評価し使用量も定められていまが、本当に安全が確保されているのかどうかは不安に思われる方もいるのではと思われます。食品添加物の安全性基準は学問や化学の発展により厳重な試験が行われ安全性も向上してきました。
大事なのは食品添加物とは何かを理解しその役割や必要性を知ることです。どの食品添加物が安全でどれが危険なのか、それらの基準も科学の進歩とともに変わっていくかもしれない、食品添加物と上手に付き合うことができれば食生活が豊かになるという可能性も否定できません。
私たち一人一人が食品添加物について理解したうえで食品を買う事、もしくは無添加の食品を選ぶことを意識することが自身の健康や世の中にどのような影響があるのかも考えて食品を選んでいくことが大事なのではと思います。
