遺伝子組換え食品とは? それぞれの性質を効率よく組込むことにより、生産者や消費者が求めている「新しい性質」が産まれることで食料や環境の問題にメリットがあると言われているようですが、その安全性とは? デメリットとは?
■ 「遺伝子組換え」とは?
作物などに対し、他の生物の細胞から抽出した遺伝子を組換え、新しい性質を持たせる手法のことを言います。害虫に強い性質や栄養素を上げる効果、除草剤に強い性質などを抽出した性質など遺伝子が持つ新たな特性を加えることです。
遺伝子組換え(GM)と呼ばれGM作物やGM作物を加工したもののことを遺伝子組換え(GM)食品と言います。
*GMO:Genetically Modified Organism(遺伝子組み換え作物)
GM作物は殺虫毒素がある殺虫性作物、除草剤をかけても刈れない除草剤耐性作物の2つに分かれます。
例えばジャガイモ、さまざまな種類のジャガイモの種の交配を何回も続けていくことで、害虫に強いジャガイモが誕生する。その過程で害虫に強いジャガイモができた時、その種イモを作り、栽培します。気候や冷害に強いという性質を変えながら、生活に欠かせない食材になります。
☆「ゲノム編集」との違い?
ゲノムとはDNAの文字列に表されているすべての遺伝情報のことです。高確率で目的とする品種改良(突然変異)を行える技術のことをゲノム編集と呼んでいます。DNAの狙った場所にピンポイントで変異を加えることができ、目的の性質を持つ品種を効率的に作ることができる点が目的の突然変異が起こるまで何度も繰り返し交配や選抜など外部から別の遺伝子を入れる遺伝子組換えとは違うところで大幅な時間の短縮が可能になります。
遺伝子組換えはある生物から持ってきた遺伝子を別の生物に埋め込むのに対し、ゲノム編集はその生物がもともと持っていて、どのような働きをするかが分かっている遺伝子を狙って切断などをして変えることです。
■遺伝子組み換えがもたらすメリット・デメリット
〇メリット
自然では交配しない遺伝子を組合すため不可能と思われていた品質改良が可能になります。農薬をまかなくても害虫の繁殖を抑えられることにより、農薬の散布など害虫除去に関する農薬散布の工数を減らすことが可能になり環境保全につながり、収穫量を増やすことができ食料問題の改善にもつながると期待されています。
従来の品種改良の場合、新たな性質を持つ作物を作るためには、何世代もの交配を行い、求める性質が現れるのを待たなければなりません。
遺伝子組換えを行うことにより、より早く新たな特性を持つ作物を作ることができます。
〇デメリット
生産効率を上げるために開発されましたが、安全性に不安がある、遺伝子を組み込むことは自然に逆らっているので遺伝子組換えの作物を摂ることで癌、アレルギー、不妊など健康被害が心配されています。過剰に摂取することは避けたほうがよさそうです。
遺伝子組換えを行った作物が体内に入ることで、アレルギーをひきおこす原因になるのではという指摘に対し、厚生労働省が厳しい審査を行い、アレルギーを引き起こす可能性があるような作物は市場に出まわらないと発表しているようですが。
商品化に向けて長い間研究を行ってきているので遺伝子組換え作物が人体に害を与える可能性は極めて低いとは言われていますが、今後も検証が必要という状況で、安全性についてはグレーゾーンであるという見方もあるのが現状のようです。
また、環境に与える影響に関しても、何らかの形で除草剤への耐性が強い遺伝子を組込んだ作物の花粉などが、雑草に組み込まれる可能性も考えられています。
近隣で育てられた遺伝子組換え作物の花粉が飛散し受粉することで、自分の農場では遺伝子組換えの品種を育てていないのに、遺伝子組換え作物となってしまう場合もあるかもしれません。
これらの理由から遺伝子組換え作物が「安全とは言えない」と考えられ、不安を感じる農産物を口にすることに抵抗を感じる人々がいるのも当然かと思われます。
■ 遺伝子組み換え食品の今後
日本ではGM作物の食用を目的とした栽培は禁止されていますが、多くの食べ物を輸入しているため多くのGM作物を食べている国と言われています。
食品衛生法、食品安全基本法に基づく安全性評価を受けることが義務付けられ、食べても安全であることが確認された遺伝子組換え食品に限り、日本では遺伝子組換え作物を食品として利用、販売することが許可されています。
遺伝子組換え食品表示制度というものがあり、「遺伝子組換え」であるものは表示しなければなりません。が、加工品には多くのGM作物が使われているにも関わらず表示制度が不十分のため食品表示を見ただけではよくわからないようです。
*2023年4月より
「遺伝子組換えでない」は一切混入がないことが認められている場合のみ表示をすることができます。
例えば、遺伝子組換えのエサを食べて育った家畜の肉、卵、牛乳、乳製品など畜産品などは遺伝子組換えであるという表示は免除されてしまいます。
未来の子供たちのためにも毎日使うもの、食べるものから安全性が疑われる遺伝子組換え(GM)をなくしていくこと、私達大人が今すべき重大な課題なのかもしれません。
非遺伝子組換え(NON-GM)の原料を使用し、家畜の場合は食べているエサまでも非遺伝子組換えであること、遺伝子操作をした食品を作らない、食べない、買わないことに意識を向けていかなければならないことに早く気付かねばなりません。
■ 翔栄ファームが目指しているもの
本物の食べ物は人を健康にする、翔栄ファームが目指すのは「固定種・在来種」の種で農薬・化学肥料を使わない農業です。人も地球も健康にする本物の自然を、安心安全でおいしい作物を育てる農業を行っております。
そんな中、前橋圃場ではこの秋、初の小麦粉の製粉に成功いたしました。
過去に群馬県産小麦の一大ブランドだった幻の粉とも呼ばれている「農林61号」という品種です。
麦作りは3回目となりますが、今回は耕作放棄地の開墾から始まり、製粉してくれる業者さん探し、アブラムシや雑草対策、天候不良によるカビ対策など自然農法がゆえの困難を乗り越え・・・
6月に収穫、天日干しをして麦が製粉できる状態になるまで乾燥させます。
雨が降るとハウスの中で扇風機を利用して乾燥させました。
手作業で選別し、昔ながらの「職人挽き」で挽きました。農薬・化学肥料不使用の超自然、翔栄ファームの初の小麦粉は「中力粉」です。うどん、お好み焼き、菓子類の原料に適しています。
製粉したての小麦粉をなめてみると、ほんのり甘い!その瞬間、「ついに小麦粉が完成!」、手間をかけて育てただけに農場スタッフからは喜びの声が伝わってきました。
ほんのりとした小麦粉の甘みを噛みしめながら、「何を作ろう?先ずは翔栄ファームの野菜たっぷりのお好み焼きかなあ?」なんて盛り上がっているようです。
ぜひご賞味いただければと思います。
農薬・化学肥料を使わないで麦を育てるのは困難の連続でしたが、「安心・安全の食」を提供するためには、この非常に困難な、農薬・化学肥料を使わない自然栽培の技術を、どんどん高める必要があります。
今回得た教訓を生かし、これからも翔栄ファームは麦作りに挑戦していきたいと思います。 どうか応援よろしくお願いいたします!