最近、さまざまな商品の値上げが続き、家計に大きな打撃を与えています。
特に、不安定な国際情勢と、年々酷くなる地球温暖化による農業へのダメージから、世界的に小麦などの穀物生産に大きな影響が出ています。
今年は、世界的に「干ばつ」が深刻な状況で、特にヨーロッパや中国では、壊滅的な状況になるかもしれません。
そこで改めて、この「食の安心安全について」コラムでも、穀物について取り上げたいと思います。
今回は「小麦粉」について書かせていただきます。
■ より安心・安全な小麦粉を選ぶには?
より安全・安心な小麦粉を選ぶためにはどうしたらいいのでしょうか?
それは小麦の産地と生産者がはっきりわかる入手先を選ぶことです。
日本国内の製粉産業では国内産小麦であることを強調表示し、国内産小麦100%使用の小麦粉を購入するよう消費者に推奨しています。
気を付けなければいけないことは国産と書かれた表記に騙されないようにすることです。
外国産の小麦であっても小麦粉に加工しているのが日本国内である場合「小麦粉(国内製造)」のような表記がされています。
100%国産の小麦を使用している場合には「小麦粉(小麦(国産))」「国産100%」などのような表記になります。
ちなみに「国産小麦使用」などの表記の場合は輸入小麦が配合されている可能性があります。
わかりにくい表記のものもありますので小麦粉の原材料欄をしっかりと確認して安心・安全な国産小麦を選ぶようにしましょう。
更には無農薬と書かれているものをお選びください。
その表示がない場合は除草剤などの農薬を使用している可能性が高いです。
無農薬表記がない小麦粉でも、輸入小麦に比べれば国産の小麦の農薬残留量は少ないことが確認されてはいますが、体への害がないという事ではありません。
信頼のおける自然食品店などで入手するように心がけ、農薬の有無、原産国の表示をしっかりと確認して小麦粉選びは慎重にしたいものです。
■ 輸入小麦はなぜ危険?
輸入小麦が危険だと言われている理由の1つは「ポストハーベスト」(ポスト(後)、ハ―ベスト(収穫))と呼ばれている、収穫後の農作物の品質を保持するために散布する農薬という意味がある処理が施されているからです。
日本ではポストハーベスト農薬処理は認められていませんが、日本に輸入されているほとんどの小麦には収穫後に害虫やカビなどの被害にあわないよう輸送時の品質を保持するために必要な農薬処理がされています。法律上は農薬ではなく防虫剤として食品添加物扱いになっています。
輸入小麦は収穫から製粉までの長い間貯蔵されることになります。
そのため、虫に食べられないよう、小麦粒そのものを害虫駆除、防カビ、殺菌の為に気体の薬剤を浸透させる燻蒸(くんじょう)という作業をする際に使用します。
ポストハーベストとして使用される農薬は通常より濃度が高いため農作物の中まで浸透してしまう危険性があると言われています。
更にアメリカ、カナダなど広大な土地での農業を行う大規模農業では収穫時の効率を良くするために「プレハーベスト」と言われる作業を行います。
農作物の収穫の直前にラウンドアップ(除草剤)を撒いて小麦をからしてから収穫をすることが認められているからです。
その除草剤の主成分はグリホサートという農薬で発がん性があると指摘されており、収穫直前に行われるこの作業は農薬が農作物に残留しやすくなってしまうとも言われています。
このグリホサートの発がん性に関しては意見が分かれているようですが、国産小麦に関してはこのプレハーベストは認められていません。
農林水産省によるとアメリカ、カナダ産の小麦の90%以上からグリホサート(農薬)が検出されたという報告があります。(2013~2017年の調査による)
国産小麦の多くも栽培過程において除草剤などの農薬を使用していることもありますが、小麦粒そのものに散布されることはなく雨に流されたり、分解されたりするため輸入小麦とは危険のレベルが全然違うと言われています。
更にはアメリカ産の小麦には日本では未承認の遺伝子組み換え小麦が混じっている可能性もあるとされています。
このことから輸入小麦は体に害がある危険性があることがわかっており、国産小麦がいかに安全であるかということがわかります。
■ 小麦を輸入しなければいけない理由とは?
危険であることがわかっているのに、なぜ小麦を輸入しなければならないのでしょうか?
国内産の小麦は生産量が安定しません。国内生産は北海道、九州、関東の東山の3地域が主流ですが国内小麦消費量全体のわずか14%程度しかありません。
外国産の小麦の場合は品質や供給量が安定しています。また食感、味、見た目も優れています。
複数の輸入小麦を国産小麦に配合することによって安定した小麦粉の品質と供給量を保っているのが理由です。外国産の小麦を輸入し、国産小麦と配合させることは安定した品質及び安定した生産量を確保するためにやむを得ないということです。
これゆえに輸入小麦に頼り輸入が必要となっているのが現状です。
最近よく耳にするのが小麦粉及び小麦粉関連商品の値上げのニュースです。
7月には食パンが値上がりしました。値上げが相次いでしまい家計には大きなダメージを受けています。
輸入小麦に頼らなければいけない日本にとってアメリカ、カナダの小麦の不作に加え、ウクライナ情勢などの影響から輸入小麦の政府が輸入し製粉会社に売り渡す価格が2022年4月から17.3%も引き上げられたのが原因です。
輸入小麦の価格は次回10月にも見直される予定で(年2回見直されています)恐ろしいことにさらに価格が上がると予想されています。
■ 国産小麦と外国産小麦のちがい
前述しましたが輸入小麦を国産小麦や米粉に切り替えることはそう簡単にはいきません。
日本の小麦消費量のうち国産小麦は14%と言われ、残りの86%は主にアメリカ、カナダ、オーストラリアなど海外から輸入した外国産小麦です。
国産小麦と外国産小麦の違いはあるのでしょうか?
まずはその価格です。国産小麦は外国産小麦に比べると12%ほど割高のようです。
小麦粉の成分の中で重要なのがグルテン(たんぱく質)と灰分(かいぶん)です。
グルテンとは小麦粉に水を加えこねた時にできる成分のことで食べ物を美味しくする効果がありますが、反面、消化不良や便秘、下痢やアレルギー反応など体質によっては体への悪影響の可能性も指摘されています。
小麦はグルテンの質で分類され含有量の多い順に主にパンに使用する強力粉、中華麺に使用する純強力粉、うどんに使う中力粉、お菓子に使う薄力粉となります。
灰分とは小麦の外皮、胚芽に含まれるミネラルのことです。色が濃い粉ほど灰分が多いとされています。灰分が多い粉で焼いたパンは風味が強いと言われています。
国産小麦で焼いたパンはグルテンが少ないのでボリュームが出にくいようですが灰分が多いので小麦の風味が強いです。
逆に外国産小麦で焼いたパンはグルテンが多いのでボリュームが出ますが灰分が少ないので風味があっさりしています。
国産小麦を使用したパンや麺類の商品が注目されているのは日本人の食の安心・安全への意識が高まっているからと思われます。
■ 翔栄ファームが取り組んでいるもの
翔栄ファームでは農薬・化学肥料一切不使用、遺伝子組み換えでない固定種・在来種の実(F1でない)自家採取で持続可能な自然栽培での農業を行っております。
美味しい野菜を育てるために土づくりにこだわり、微生物の力を借りて健康な野菜を育てる農業に力を入れています。
安全へのこだわりは膨大な手間と試行錯誤の連続ですが安心・安全でおいしい野菜を作って消費者の皆様へお届けできるよう日々努力をしております。
現在私たちは安心して食べられる安全な食の提供を目指し、どなたにも安心してお召し上がりいただける安全な野菜を作っています。
今後、翔栄ファームではお野菜に加え米、大豆、麦などの穀物類も手掛けていく予定です。
第1弾として今年準備期間1年をかけて稲作を始めました。田んぼ探しから水田整備など苦難の道のりを経て育苗から田植えまで何とかたどり着きました。
稲作の記事はこちら
→ 【農場便り】準備に1年。今年ついに稲作をはじめました!
秋の収穫に向けてこの暑い夏をどうにかして乗り切っていきたいと思います。
稲作のその後はまた秋にお伝えしたいと思います。