こんちには。
翔栄ファーム・龍ヶ崎農場(茨城県)のKです。
私は今まで5年間農業に携わってきました。
その間、慣行栽培、有機栽培、自然栽培と経験しています。(注1)
今回は、それぞれの農業を通して感じたことを赤裸々に綴れたらと思います。
■ 初めての農業
ことのなりゆきを簡単に説明すると、初めは兄に誘われて農業の世界に足を踏み入れました。
当時は農業に全く興味がなかったため、慣行栽培なんて言葉も知らなかったし、何より泥臭い仕事にものすごく抵抗がありました(笑)
しかし、やってみると意外と楽しさを感じ、農業に対するイメージが変わったのを覚えています。
ただ、虫や汚れ仕事にはしばらく抵抗がありました(笑)
初めて農業に従事したのは、ナスの慣行栽培をしている農園でした。
私はそこで、化学肥料・農薬について初めて知る機会となったのです。
自分では化学肥料の施肥や農薬散布の作業を直接行うことはありませんでした。
ですから、その時は、肥料をやれば途端にナスがよく収穫できる、農薬を撒けば虫がいなくなり綺麗なナスができるというイメージを持っただけです。
その農園では、大体、2a(a=アール、1aで100平方メートル)くらいの畑で、毎日ナスが何百kgという目安で収穫できました。
規格はいろいろあれど綺麗なナスばかりでした。
■ そして事件発生
次に経験したのが、私の出身地・群馬が誇るこんにゃくの慣行栽培でした。
そこでは主に、収穫から種芋の選別、草の除草剤散布、土壌消毒、植え付け、化成肥料散布、害虫対策の薬の散布と1年間を通してすべての流れを経験させてもらいました。
初めて経験することばかりでしたが、当時は単純に大好きな運動ができること、除草剤を撒いて目に見えて結果がでることに達成感を感じていました。
収穫量は毎日トン単位。
とんでもないレベルの肉体労働で休みも少なかったですが、一日の達成感をすごく感じ、改めて農業への思いが強まりました。
しかし、そんな充実した毎日の中で、無農薬への転機となるきっかけとなる事件が発生したのです。
そのこんにゃく農場では、何十ha(ha=ヘクタール、1haで一万平方メートル)という規模で作付けをしていました。
慣行栽培なので連作障害(注2)という概念はなく、土壌消毒をすることによって畑を常に使いまわしていました。
その消毒剤は、劇物で催涙性を有した揮発性の高いものでした。
ですから、土壌消毒ための農薬散布は、防塵マスクをして作業にあたります。
しかし、防塵マスクをしていても、農薬を吸ってしまう危険は常にあります。
そして、ある日、私はその農薬をまともに吸ってしまったのです。
農薬を吸い込んだとたん、身体が防御反応を示しました。
咳・涙・鼻水が止まらなくなり、呼吸も上手くできない感じに。
そして、これらの症状が落ち着くまで、かなりの時間を要したのです。
この出来事で、私は初めて、農薬の恐ろしさを実感しました。
と、同時に、こんな恐ろしいものを使う農業に疑問を感じ、違う農業の有り方を模索するようになったのです。
そんな中、農薬・化学肥料を使う慣行栽培とは、全く異なる農業を目指している翔栄ファームに出会いました。
■ 農薬を使わないの農業との出会い
入社時は農業以外の仕事を担当しましたが、入社半年後から、農業に従事することになりました。
それから、現在までの3年半に渡って、無農薬・在来種の野菜作りに携わってきました。
最初は、翔栄ファームとご縁のあった、有機栽培の農家さんのところへ研修生として技術を学びにいきました。
そこでは自家採種した固定種の種もあればF1の種もありました。
また有機栽培ということで牛糞堆肥も使用していました。
当時、まだまだ農業への知識が浅く、実際に無農薬栽培などをしたことがなかった自分にとっては、毎日とてつもない情報量でした(笑)
種の播き方、苗の管理の仕方、圃場での管理作業の全てを、身体に染み込ませるまでが大変でした。
そこでは無農薬なのに綺麗で立派なお野菜が採れ、びっくりはしたのですが、初めての経験ということもありそこまでの衝撃的な実感はありませんでした。
ただ、野菜の味は生でも美味しく(中でも特に人参の味が濃く美味しかったです)、これまで無農薬野菜を意識して食べたことがなかった自分にとって、非常に感動したのを覚えています。
その農家さんは、3ha(地方球場くらい)の面積を1人で回しており、無農薬栽培の技術と仕事効率をメインに学ばせてもらいました。
そして、それが今後の自分の野菜作りの原点となりました。
野菜作りとしては、しっかりとした虫・草への対策と堆肥・緑肥(注3)を中心とした土づくり(注4)ができれば、無農薬でも立派な野菜ができるということを実感しました。
研修期間としては半年間でしたが、スパルタ教育(笑)のおかげもあり、あっという間に過ぎました。
今考えても、短い期間ではありましたが非常に充実した日々であり、農業人生の支えとなっています。
■ 翔栄ファームの設立
この研修時代、時研修と並行して茨城県龍ヶ崎市での翔栄ファーム拠点設立も進んでいました。
研修3ヵ月後から、翔栄ファーム・龍ヶ崎農場の設立スタッフとしても従事するようになりました。
当時メンバーの中には長年農業をやったことがあるスタッフはおらず、手探りでの農作業の日々でした。
まだまだ研修中の自分にとっては、自分達で一から野菜を育てるというのはもちろん経験がありません。
研修で教わったことをどう優先順位をつけて行動したらいいのかわからず、本当に悪戦苦闘しました(笑)
やれることをがむしゃらにやる、そんな日々でした。
ですが、それが一番失敗も成功も経験でき、成長に繋がると考えます。
そんな中、最も印象的だった3つの出来事を書こうと思います。
■ ジャガイモで経験した農業の難しさ
まず、ジャガイモに大量繁殖してしまった、テントウムシダマシの幼虫の対応でした。
テントウムシダマシはテントウムシに良く似た害虫です。
ある日、ジャガイモ畑で、黄色く変色し虫食いのある葉っぱがあることに気が付きました。
よく見れば、そんな葉っぱがあちこちにあります。
葉っぱを裏返してみると、見たことのない虫が、はびこり、葉っぱを食い散らかしています。
これが、テントウムシダマシの幼虫でした。
テントウムシダマシの幼虫に葉っぱを食い散らかされたジャガイモは、成長が阻害され、まともに成長できなくなります。
実際その時は、何が起こっているのかわからず、無農薬の難しさを始めて味わった日でもありました。
ジャガイモについては、なんとなく定期的に見ていたつもりでした。
しかし、今思えば、観察が足りず、異変を早く察知できなかったことが悔やまれます。
研修先の有機農家さんの元でもジャガイモ栽培を経験していました。
しかし、そこでは、虫がついている様子もなく、虫のことが頭から外れていたのです。
それと同時に、それぞれの作物に対してどんなことをポイントとして観察するのか?ということも、全くわかっていませんでした。
結果的にジャガイモはあまり良いものになりませんでした。
作物には申し訳ないことをしましたが、今後の農業人生において、ものすごくいい勉強になりました。
なお、ジャガイモについては、この教訓を翌年に生かしました。
ゴールデンウィークに毎日、ジャガイモをよくよく観察し、虫を早期発見して、捕殺をしたのを良く覚えています。
その結果、ジャガイモの収量は、龍ヶ崎の3年間で一番多く収穫できました!
ちなみに今年はというと、作付けした畑で予想だにしないくらい地下茎スギナ(注5)が蔓延。
その結果、ジャガイモの養分がスギナに取られてしまい、収量がだいぶ落ち込んでしました。
農業って本当に難しいなと思いました(笑)
4年経っても想像がつかなかったり、わからないことばかりで、まだまだ未熟だなと思わされます。
■ 耕作放棄地の開墾作業
次に印象的だったのは開墾作業でした。
草木が繁っているところを新たに耕し田畑とすることです。
一般的な田畑の賃借では綺麗になっているところを借りると思います。
しかし、翔栄ファーム・龍ヶ崎農場では借りられる畑は全て借りるというスタンスのもと25カ所ほど借りました。
ですので、その中の半分ぐらいが、耕作放棄地となり草木が繁っている場所でした。
私はそれまで、開墾作業というものは今までに経験がなく、初めての作業に試行錯誤が続きました。
結局は、とりあえず仮払い機を機械を駆使してなんとか道を切り開く…という感じでした。
ただ、龍ヶ崎の耕作放棄地は、長年放棄されていた畑が多く、そもそも生えているのが草ではなくて、ツタや木。
ですから、草を刈るというより、薙ぎ払うが正しいです(笑)
しかし、薙ぎ払った後も、畑にまだツタの根っ子などの残渣が残ります。今度は、これをトラクターで絡めとります。
ツタをある程度絡めとったら、その都度、トラクターを止めてツタを切除する必要が。
こうして、ツタや木を薙ぎ払い、そしてトラクターで残渣を絡めとる…という作業を延々繰り返していきます。
この作業を、トータル2ヵ月間くらいかけて、ようやく1つの畑の開墾作業が終了となります。
作業自体は、ものすごく大変ですが、ツタや木に覆われていた耕作放棄地が綺麗になった時の爽快感は格別です。
しかも、基本的にしばらく使用されていなかった開墾地では野菜の生育が良くなります。
畑に化学肥料や農薬などの余計なものが入っていない分、味も野菜本来の味わいがします。
余計なものを入れないという栽培方法の翔栄ファームにとって、耕作放棄地を開墾した畑というのは、ある意味良い条件なのかもしれません。
龍ヶ崎農場での3年をかけて、借りた耕作放棄地のほとんどで開墾作業が完了し、今では畑として利用しています。
■ 種を採ることの意味
最後に種採りのことです。
翔栄ファームでは最も重要なミッションとして情報発信と種を紡ぐことを考えています。
情報発信とは、私たちの経験に基づいた、正しい情報を発信し、必要としてくださる方々と繋がっていくことが目的です。
この「農場便り」もその手段の一つです。
そして種採りは、自然本来の形の種を未来へ継承し、財産として残していくことを考えています。
現在の種のシェアの99%はF1種の種(注6)です。
これまでも、翔栄ファーム・コラムで記事にしていますが、F1種とは一代交配と呼ばれる種で、基本的に種採りはできません。
そこから、種を採って育てても同じように育つことはないのです。
F1種がシェアを占める背景には、化学の進歩により、収量や形・大きさも安定し、病気にも強く、端境期を含む広い時期に栽培が可能な種ということがあります。
これは生産量を増やし、供給量の安定化と生産者の負担軽減にもなり、画期的な開発だとは感じます。
農業の高齢化、働き手の減少が進む中においてある意味必要な進歩だったのかもしれません。
自分は同じ農業者として、またそれぞれの環境の違いがあり選択の自由がある中、F1種の種による野菜の流通は否定しません。
ただ「種が次に繋がらない種」というところに違和感を感じます。
真に安心安全なものを届けたい、農薬と化学肥料による地球環境問題という観点から、今の「固定種・在来種・自然栽培」という翔栄ファームの農業をしています。
また、そのF1種の種も、それを作るためには固定種の種がないとできません。
種は世界遺産なのです。
そして、実際に種を採ってみると、これがかなり大変でした。
種採りは、作物の種類によっては、半年以上そこの畑に残しておかなければなりません。(その間、他の作物を育てることができないため、収量が落ちます)
しかも、いざとってみたら同じ品目のものと交雑していたり、発芽率が悪かったりなど、本当に手間がかかります。
種苗会社さんの種採り技術の高さに頭が上がりません(笑)
しかし、やらないことには始まらないので、果菜類を中心に種を紡いでいます。
そんな中、衝撃的な出来事がありました。
固定種・在来種の種は種を採ることで、そこの気候や風土にあったDNAが刻み込まれると言います。
とは言ったものの、その現実を見たことがない自分にとってはそれがどういうものかという実感はありませんでした。
昨年、種採りをして、3年目になったオクラを市販ものと比較できるように、同じ日に播種をしました。
オクラは5月中旬ごろに種を蒔くのですが、それから5カ月ぐらいたった10月の時点で、明らかに大きな違いが出ました。
蒔いたのは、同じ品種のオクラでしたが、自家採種の方が、購入した種のものよりも1mほど背丈が高かったのです。
高いものは、徒長(茎や枝が必要以上に間延びしてしまうこと。虚弱になりやすい)しているわけでもなく、単に成長のスピードが速かったのです。
成長の違いはオクラだけではありません。
ジャガイモでも試したのですが、自家採種の方と市販の種芋では明らかな生育の差が現れました。
もちろん、偶然かもしれませんが、私は、種採りによって刻まれたDNAが成長の過程で良い方に働いたと考えています。
この経験に、よって今まで手間をかけて行ってきた種採りの苦労が報われた感じがしました。
と、同時に種採りの大切さを実感することもできたのです。
また、自分たちが種採りをしたもので一から野菜を育て、収穫ができると非常に感慨深いものと達成感があります。
■ 農業への想い
5年間を通して慣行栽培→有機栽培→在来種・自然栽培と経験をして、それぞれの良し悪しを見つけられました。
正直に言って、そこに絶対的な正解というのはないと感じています。
どの農業が悪い、この農業でなければならないというのは、いくら話しても議論は平行線を辿ります。
これからの農業が化学肥料を使用しないのであれば、供給量は大幅に減少し、世界的な飢餓が起きるかもしれません。
だからといって化学肥料とセットの農薬による環境汚染はないがしろにできません。
難しい問題です。
そして、今、注目されている持続可能な農業を考えますと…。
固定種栽培は種の持続という意味では可能ですが、生産者への負担という意味では持続性に欠けます。
農薬は地球環境、そして生産者と消費者への影響の観点から持続性に欠けます。
そういった風に答えなんて見つかりません。
しかし、それもまた価値観による選択の自由だと考えています。
私自身は農薬による被害を体感したことによって、農薬を使用することに抵抗があります。
ただ農薬・化学肥料を使用した野菜に害がないとは思いませんが、栄養がないとも思いません。
なのでそこは世界的な人口増加も考慮すると、必要なことなのかもと考えます。
それを否定することは、それぞれの家庭で家庭菜園をしなさいと言っているようなものだと思います。
それができれば、実はそれが一番の正解なのかもしれません。
もはや農業を世界中の学校に必須科目として学べるようにするのはどうでしょうか(笑)
学校のない、いけない地域のいる子供たちには農業先進国の国々が支援に行く。
答えがあるとしたらそれが一番の解決方法なのではと考えたりします。
世界的に考えを統一する。
近年の世界情勢を考えると難しいかもしれません。
でも農業がもっと身近にあってもいいものだとすごく感じます。
近代化が進む中で、自然は減少し、そういった環境に触れ合う時間が減っている中で、精神的な疾患が増えている現状があります。
農業を始めて気付いたのが、自然と触れあうことは精神的に落ち着けるということです。
みなさんも経験があると思いますが、森に行った時は非常に気持ちがよくて、心がリフレッシュされます。
農業をすることによってそういった精神的に不安定な方の病も癒せるのではないでしょうか。
農業を必須科目とすることにはそういった意味合いもあります。
地球に住んでいるのは私たちですから、地球を感じる時間を大切にすることで地球問題について考える機会となるのではないでしょうか。
まさにSDGsです。
農業を考える前に地球をどう考えるか。
そこがなによりも大切で今後の世界的な農業問題に対する解決の一手を見つける足掛かりと信じています。
私も地球の住人として持続可能な地球に向け、地球環境と人間問題について今後も取り組んでいきたいと考えています。
■ 注釈
注1)慣行栽培・有機栽培・自然栽培
農業における栽培法の種類。
「慣行栽培」とは、一般的に行われている栽培方法のこと。
日本では、「F1の種」を使い、「農薬」「化学肥料」を多用して農作物を生産する方法が一般的。慣行栽培といった場合、「FI・農薬・化学肥料」の3点セットの栽培法を指します。なお、日本の場合、農家さんの実に9割以上がこの慣行栽培に該当します。
「有機栽培」とは、有機肥料を用いる栽培方法を指します。
一般的に、無農薬・低農薬で育てることが多いですが、言葉の意味合いからいえば、農薬を使用していても、有機肥料を使えば有機栽培と言えます。
なお、「有機農業」となると、農林水産省によって厳密な定義がされており、「化学的に合成された肥料・農薬を使用しない」「遺伝子組み換え技術を利用しない」「環境への負荷をできるかぎり低減する」農業のこと。これを認証するために「有機JAS」制度がある。ただし、有機JASや農水省の基準では、許可された農薬の使用は認められており、かならずしも、有機=無農薬という訳ではないことは注意が必要。
「自然栽培」については、人によってその定義が微妙に異なります。
これは、それぞれの農業スタイルにかかわる問題であり、絶対にこれが正しいというものはありません。ただ、一般的なイメージで行くと「農薬や化学肥料を使用せず、土の中の微生物の働きによって作物を育てる栽培方法」といったところでしょうか?
人によっては、自然由来の動物堆肥すら使用してはいけない、という場合もあります。
また、似た言葉に「自然農法」がありますが、これも人によって定義が微妙に異なるものの、一般的な認識では「畑を耕す」「雑草を除草する」などの人の手を加えることもしない栽培方法と言えます。
いずれにせよ、化学的に合成された農薬や肥料を一切使わない栽培方法で、慣行栽培の対局にあると言えます。
より詳しくは以下の記事をご参照ください。
→ 「自然栽培」「無農薬」「有機」「オーガニック」これらの違いは何ですか?
注2)連作障害
同じ畑で同じ作物を作り続ける(これを連作と言います)と、土の中の栄養素が不足したり、有害な菌が蓄積します。
その結果、作物の生育が悪くなり、収量が減っていきます。
慣行栽培では、これを防ぐために、土壌を消毒し、化学肥料を大量に補います。
注3)堆肥・緑肥
「堆肥(たいひ)」とは、枯れ草やワラ、落ち葉、藻類などの植物や、鶏糞や牛糞などの家畜の糞を発酵させて作る肥料のこと。
「緑肥(りょくひ)」とは、植物を肥料として利用すること。また、その際に使われる植物肥料のこと。
同じ作物を作り続けると、地力が低下し、作物の生育が悪くなります。この際、収穫が終わった畑で緑肥となる植物を育てておき、成長しきったところで、畑にすき込みます。すき込んだ天然の肥料となり、地力が回復します。イネ科やマメ科の植物が多く使われます。
注4)土づくり
農業で最も大切なことは「土づくり」とされます。
植物にとって畑の中の有機物が栄養源となります。しかし、有機物そのままだと、植物はこれを吸収できません。
実は土の中に住む微生物たちが、有機物を分解し、はじめて植物は栄養を吸収することができます。
また、近年、微生物の働きは有機物の分解だけに限らず、さまざまな効果を持っていることが、徐々に明らかになってきました。
一方で、慣行栽培のように農薬・化学肥料を多用すると、微生物が死滅し、その畑は徐々に不毛の地になっていくことも明らかになってきました。
なお、一度微生物が死に絶え、砂のような不毛の畑になったものを再生させることは、並大抵のことでできません。
注5)スギナ
地上部は、杉の葉っぱのような形状だが、地下深くに根っ子を張り巡らせる厄介な雑草。
竹のように地下茎が発達するため、上部の草だけ除草しても、すぐに生えてきてしまう。
実は、これの胞子が入っている茎が、春の風物詩「ツクシ」である。
注6)自家採種とF1種
自家採種とは呼んで字の如く、自分たちで種を採ること。
大半の方は、そんなことは当たり前と思われるかもしれませんが、実は、今の日本の農家の9割以上は、自分たちで種を採りません。
本文でも触れられていますが、種を採る作業はかなり手間がかかります。長いものでは、作物の収穫後、半年も畑に残す必要があります。
農家さんとしては、収穫後、すぐに次の作物を育てた方が、利益率が上がります。そのためには、種を毎回買う方が合理的です。
また、慣行栽培で用いられる「F1種」は、均質に成長するため、商業作物として大量生産するのに適しています。しかし、ここから種を採ると、育ち方がバラバラになってしまい、同じようには育ちません。そういった背景もあり、自家採種をする農家さんはほとんどいない状況になっています。
なお、現在の「F1種」は、ほぼ世界的なグローバル企業が生産しており、日本は海外からの購入に依存しています。万が一、不作などで種が採れなかった場合、日本中の種が枯渇する可能性があります。そういう観点からも翔栄ファームでは自家採種100%を目指しています。
もちろん、「F1種」そのものの健康への影響も懸念しています。
「F1種」についてより詳しくは、以下のブログ記事をお読みください。
→ スーパーで購入するほとんどの野菜は「F1種」