2020年4月時点での日本の貿易活動は、
財務省の4月上中旬分貿易統計によると、
輸出額が前年同期比で22.4%減、
輸入額も14.6%減といずれも低下し、
3月から連続減となっています。
農作物については
「農林水産物・食品の輸出額を
2020年までに1兆円へ拡大」
という目標が掲げられていて、
2019年の統計ではもう少し
というところまできていました。
ということで、、、
前回はコメ政策についてでしたが、
今回は「コメ」について現状把握を
試みようと思います。
ただ、基本情報として
農作物の輸出入全体に占める
コメの割合は高くないことを
先にお伝えしておきます。
コメの輸入禁止から関税化へ
先ずは輸入からです。
戦時中にできた食糧管理法などにより、
当時のコメの流通は
政府が主に担ってきました。
そして戦中戦後の一時期を除き、
長く輸入は行われていなかったのです。
しかし1993年の記録的な冷夏により、
全国でコメの不作が発生しました。
「平成の米騒動」と言われていますが、
このときに日本政府は
コメの緊急輸入を決定します。
当時ロングライスを初めて食べた
という人も多いのではないでしょうか。
ちょうどこの年に多角的貿易交渉
「GATT ウルグアイ・ラウンド」
が佳境に入っていて、
それまで原則禁止としていたコメの輸入に
日本は合意することになります。
しかし当時の日本政府は
会議のポイントとなった例外なき関税化を、
コメについては拒否しました。
その特例措置の代償として
「ミニマム・アクセス」(最低限の輸入機会)
の数量を毎年上乗せしていく
という条件を受け入れることに。
結局は1999年にコメの関税化がなされて
上乗せはなくなりましたが、
ミニマム・アクセスは2000年の水準で
固定された状態となりました。
この枠内で輸入されるコメは「MA米」といわれ
現在も政府が買い入れています。
用途は主に加工や飼料用または海外援助ですが、
飼料用として卸すと
輸入額よりかなり安く売ることになるため
売買差損などが財政負担となってしまいます。
なお、この枠外の輸入については
上記の関税化によって自由化されているものの、
税率は高水準になっています。
日本米は高評価ながら周知不足?
次は輸出です。
コメの価格自体は、海外との差が
開いた状態になっています。
そうしたこともあり
日本米を輸出する際のターゲットは
ハイエンド層に限定されていて、
量はあまり多くありません。
2016年のデータですが
コメの輸出量は9,986トン
米菓の輸出量が3,567トンとなり、
金額も、コメ・コメ加工品(米菓)の合計が
約65億円あまりで、農産物輸出額全体の
およそ1.4%にとどまっている状況です。
主な輸出先は
香港・シンガポールなどのアジア地域です。
この裾野を広げるために
もう少し価格帯を下げた品種の
栽培が試みられているほか、
逆にハイエンド向けの洗練化策とし、
ブランド化・高付加価値商品の
販売促進なども進められています。
たとえば米菓の他に、
包装米飯(パックのごはんです)などが拡大、
また、現在でも輸出額が多い日本酒については
EU諸国等に対してアピールしていく予定です。
ちなみにコメの生産量自体は主食用米だけで
7,496,000トン(2016年)となっているため、
上記輸出量は、かなり少なく見えますが、
そもそも主食としての国内消費が多いため、
貿易品目として数字が大きくなりづらい
という事情はあります。
しかし今後の国内コメ需要が
大きくなっていく可能性については
統計的にみても低いと思われるため、
コメ輸出政策は今後重要視されていく
可能性があります。
蛇足ですが、
コメとお金といえば、5円玉を思い出します。
往時の日本の主な産業がデザインされていて、
大きく描かれた稲穂は
もちろん農業を表しています。
そして下の線は水で水産業を、
穴のまわりの歯車は
工業を表現しているそうです。
改めて見直してみると、
バランスの取れた豊かな国家を
表現しているように思います。
黄金の稲穂に輝く未来と、
良いご縁に恵まれますように、
といったところでしょうか。
2020年4月時点での日本の貿易活動は、財務省の4月上中旬分貿易統計によると、輸出額が前年同期比で22.4%減、輸入額も14.6%減といずれも低下し、3月から連続減となっています。
農作物については「農林水産物・食品の輸出額を2020年までに1兆円へ拡大」という目標が掲げられていて、2019年の統計ではもう少しというところまできていました。
ということで、、、前回はコメ政策についてでしたが、今回は「コメ」について現状把握を試みようと思います。ただ、基本情報として農作物の輸出入全体に占めるコメの割合は高くないことを先にお伝えしておきます。
コメの輸入禁止から関税化へ
先ずは輸入からです。
戦時中にできた食糧管理法などにより、当時のコメの流通は政府が主に担ってきました。そして戦中戦後の一時期を除き、長く輸入は行われていなかったのです。
しかし1993年の記録的な冷夏により、全国でコメの不作が発生しました。「平成の米騒動」と言われていますが、このときに日本政府はコメの緊急輸入を決定します。当時ロングライスを初めて食べたという人も多いのではないでしょうか。
ちょうどこの年に多角的貿易交渉「GATT ウルグアイ・ラウンド」が佳境に入っていて、それまで原則禁止としていたコメの輸入に日本は合意することになります。しかし当時の日本政府は会議のポイントとなった例外なき関税化を、コメについては拒否しました。その特例措置の代償として「ミニマム・アクセス」(最低限の輸入機会)の数量を毎年上乗せしていくという条件を受け入れることに。結局は1999年にコメの関税化がなされて上乗せはなくなりましたが、ミニマム・アクセスは2000年の水準で固定された状態となりました。この枠内で輸入されるコメは「MA米」といわれ現在も政府が買い入れています。用途は主に加工や飼料用または海外援助ですが、飼料用として卸すと輸入額よりかなり安く売ることになるため売買差損などが財政負担となってしまいます。なお、この枠外の輸入については上記の関税化によって自由化されているものの、税率は高水準になっています。
日本米は高評価ながら周知不足?
次は輸出です。
コメの価格自体は、海外との差が開いた状態になっています。そうしたこともあり日本米を輸出する際のターゲットはハイエンド層に限定されていて、量はあまり多くありません。2016年のデータですがコメの輸出量は9,986トン、米菓の輸出量が3,567トンとなり、金額もコメ・コメ加工品(米菓)の合計が約65億円あまりで、農産物輸出額全体のおよそ1.4%にとどまっている状況です。
主な輸出先は香港・シンガポールなどのアジア地域です。この裾野を広げるためにもう少し価格帯を下げた品種の栽培が試みられているほか、逆にハイエンド向けの洗練化策とし、ブランド化・高付加価値商品の販売促進なども進められています。たとえば米菓の他に、包装米飯(パックのごはんです)などが拡大、また、現在でも輸出額が多い日本酒についてはEU諸国等に対してアピールしていく予定です。
ちなみにコメの生産量自体は主食用米だけで、7,496,000トン(2016年)となっているため、上記輸出量はかなり少なく見えますが、そもそも主食としての国内消費が多いため、貿易品目として数字が大きくなりづらいという事情はあります。しかし今後の国内コメ需要が大きくなっていく可能性については統計的にみても低いと思われるため、コメ輸出政策は今後重要視されていく可能性があります。
蛇足ですが、コメとお金といえば、5円玉を思い出します。往時の日本の主な産業がデザインされていて、大きく描かれた稲穂はもちろん農業を表しています。そして下の線は水で水産業を、穴のまわりの歯車は工業を表現しているそうです。改めて見直してみると、バランスの取れた豊かな国家を表現しているように思います。
黄金の稲穂に輝く未来と、良いご縁に恵まれますように、といったところでしょうか。