こんにちは!翔栄ファーム 前橋圃場(ほじょう)のW(画像右端)です。
翔栄ファームでは安心・安全な食を提供できるよう、自社農園で無農薬・無化学肥料栽培にて色々な作物を作っています。野菜以外にも、お米、大豆、麦などの穀類も栽培しています。
私は安心・安全な食の提供が大事なことを、前職の保育士の時に感じました。全ての人に提供することは無理ですが、まずは身の回りの人だけでもと思い、自分で作ってみようと家庭菜園を始めました。自分で作物を作り育てていくうちに、もっと勉強が必要と感じたところで翔栄ファームと出会い、2023年4月に入社したことで本格的に農業にたずさわりました。
今回は農業にたずさわるようになって、私が感じたことをお話しさせていただきます。
■ 私が農業に携わるようになったきっかけ
そもそも私が農業に興味を持ったのは、保育士の時に映画「いただきます」を見たのがきっかけでした。
その映画の内容は、福岡県福岡市にある『高取保育園』の子育て方針を追ったドキュメンタリーでした。
高取保育園には、まるで昭和の時代にタイムトリップしたような古き良き日本の子育てがありました。
真冬でも薄着&素足でも風邪を引かない子供たちが、外を駆け回り竹馬で遊んでいました。
『食』を通じた保育を実践している高取保育園の医食同源に基づいた給食の献立は、自分たちが飲むために毎月100キロづつ仕込んでいる”みそ”を使ったみそ汁と、有機栽培の玄米と旬の野菜に、自然醸造の厳選された調味料で味付けした惣菜で構成される和食です。
おやつもおにぎりが基本で、牛乳・卵は一切使わず、砂糖はぜんざい・おはぎ・煮豆など、どうしても必要な時のみ、年に5~6回しか使わないそうです。
子供が大好きな甘いお菓子やスナック菓子は、当たり前じゃないということを教えるためでもあるそうです。
■ 高取保育園の教育方針を実践!
日本中から教育視察が絶えない驚きの「高取保育術」を見て、保育士の私はとても感銘を受けました。私は勤めていた保育園でも実践してみました。
すると、0歳児からでも離乳食として、無農薬の玄米をペーストにして給食に出したところ、転院してきたアトピーがひどい子が、30日もしたらお肌がピカピカになりました。
今まではお医者さんに行って薬を処方してもらっていたが、それはアトピーの症状を一時的に止めていただけだったと、親御さんも感動してくれました。
多動症の子には体のいたるところを『もみもみマッサージ』での触れ合いと、食事改善で走り回るのをやめるようになりました。
日頃のジュースやお菓子を食べずに『旬の野菜』から元気をもらうことの効果と大事さを体感するとともに感動しました。
こういった『安心・安全な食』を、全ての子供達にあげられるわけではないにしても、少しでも役に立ちたいと思いました。
そのためには、安心・安全な食べ物のことを知っておいた方が良い、そして作れた方が良いと思い、まずは家庭菜園から始めたのです。
■ 農業にチャレンジ
2022年3月に近所の方に畑を借りて家庭菜園を始めました。
参考にしたのは『菌ちゃん先生』こと『吉田俊道さん』のyoutube動画です。吉田俊道さんは長崎県佐世保市を拠点に農薬・化学肥料を使わない、自然の力を生かした農業を実践されています。
しかし参考にしながら初めて作った大根は、ひょろひょろの弱々しいものしかできませんでした。
失敗を検証したところ、野菜の株元に周囲の土を寄せる『土よせ』が足りなかったようでした。
さらに菌ちゃん先生の農法を研究して『ほとんど手をかけなくても良い土づくり』を始めました。
それは、刈り取った雑草を天日干しして、しっかり乾いたら10センチくらい畝に敷き、土を被せて雑草マルチにするというものでした。
雑草マルチについては以前の農場便りで詳しくご説明してますので、ご覧になってみてください。
【農場便り】今まで捨てていた雑草を、メリットだらけの資源に変える循環型農法「雑草マルチ」は作物の成長も段違い!
この状態で1年間寝かせたのち、スイカを4株植えてみました。ツルの剪定などはせず、スイカの実が出始めたところで、傷がつかないように草を敷いたぐらいで、特に手は加えませんでした。
草の分解を早めるために米糠を撒いたことで栄養がいっぱいになったのか、元気で美味しいスイカが20個ほど収穫でき、私にとって大成功でした!
もっともっと自然栽培での作物つくりを勉強したいと思った私は翔栄ファームと出会い、2023年4月に入社して前橋圃場で働き始めました。
無農薬・無化学肥料栽培での自然栽培で色々な野菜を作りました。
前橋の土地は元々栄養が豊富だったため、土づくりは緑肥を入れたぐらいでした。
■ 農業にたずさわって感じたこと
<大変だったこと>
大変だったことでいえば、自然栽培ならではの『害虫』との戦いです。農薬を使わないため、様々な害虫を駆除する作業が発生するのですが、実は私は虫が苦手でした。
5月にインゲンを栽培したときは、ツルのトンネルを潜って収穫するのですが、そこには多くの『クマンバチ』や『カナブン』がいたのです。私の最も苦手とする『羽の音がうるさい系』の虫たちです。『カメムシ』も該当するこの虫たちがいると怖さが勝ってしまい収穫作業がとても憂鬱でした。
<良かったこと>
良かったことは、私の大好きな生き物がいたことです。それは『カエル』です。私はカエルを見つけでしまったら、捕まえないと気が済まないたちなのです。パローネを収穫していると頻繁にカエルと出くわすのです。見つけてしまうと収穫が手につきません。必ず捕まえて、必ず釈放するのです。最も好きなカエルは『アマガエル』です。
農業について自分自身が感じたことと題しましたが、あまり作物と関係ないことを話してしまいましたが、本当にいろんな経験ができたと思っています。
種を植えて芽が出たらとても嬉しかったですし、剪定作業をしっかりやった後に良い野菜が育った時は苦労が報われる感動を味わいました。
インゲンのつるをしっかり取り除くことで品質がグッと上がりました。
ナスの剪定を丁寧にすることでキレイな状態の収穫が増えました。
しかしナスと同じ畑で収穫していたエンサイやモロヘイヤは、商品には向かないほど大きく成長してしまいました。野菜の種類によって栄養のバランスや育て方や収穫タイミングを調整することが今の私の課題です。
そのためには、作物の状態をいち早く気づくためには観察が必要です。しかし作物を覆い隠すほど育っている雑草を刈り取る作業が発生するので、通常の作り方の倍以上の手が掛かかることも度々あります。
私にとっての作物つくりは保育と同じでした。一番大事なのは『観察すること』です。保育士時代はたくさんの子供達それぞれに個性があり、しっかり観察して必要な対応を心がけていました。
野菜も同じで、今どういう状態で、今何が起こってるのか?この虫はなんだ?この症状はなんだ?
疑問や問題が発生したら解決策を徹底的に調べて、対応に時間をかけた分だけ作物は応えてくれました。
■ 翔栄ファームの取り組み『雑草マルチ』と『コンパニオンプランツ』
翔栄ファームでは環境問題に取り組んでおり、『脱炭素』と『海洋への流出防止』の観点から、ビニールマルチなどのプラスチックごみの削減を進めています。
その一環として、ビニールマルチから雑草マルチに切り替える取り組みを行なっています。
雑草マルチは家庭菜園での経験があるとはいえ、比べ物にならないくらいの広い畑に必要な、とんでもない量の雑草を刈り取り集めて、たくさんの作物の株元に敷き詰める作業は本当に大変でした。
その苦労の結果、35℃を超える猛暑日が続いた2023年の夏でも、雑草マルチによってブロッコリーが虫除けネットを突き上げるほど成長しています。
さらに『コンパニオンプランツ』の取り組みも行なっています。
コンパニオンプランツとは、野菜を1種類だけで育てるときと比べ、異なる種類の野菜を一緒に栽培すると、病害虫を抑えられたり、成長を促進できたりすることがあります。そうした良い影響をもたらす作物の組み合わせのことです。
ブロッコリーと一緒に育てた黒田五寸ニンジンが収穫できた時は、取り組みが成功したことに感動しました。
ミネラルバランスが良い土でできた作物には虫がつきにくいことも観察の結果分かりました。
作物は観察すればするほどいろいろなことが分かり、手をかければかけるほど、良い反応でこたえてくれることが、農業を通して私が感じたことでした。
本当に子供と一緒です。
農薬や化学肥料を使った慣行栽培とは違って、自然の力を掛け合わせての作物つくりはとても手間がかかりますが、安心・安全には変えられません。
これからもしっかり作物と向き合って、たくさんの子供達の口に入るように、たくさんの安心・安全な作物を作っていこうと思います。