皆様こんにちは!
翔栄ファーム龍ヶ崎農場「プロジェクト(自称)」担当の佃と申します。
前回6月に翔栄ファームの稲作への取組みと田植までの様子についてご紹介しました。
(→ 【農場便り】準備に1年。今年ついに稲作をはじめました!)
今回は、田んぼのその後の様子についてご報告したいと思います。
■ 6月:稲も雑草もスクスク育つ
翔栄ファームの農業は、もちろん除草剤などを一切使用しない無農薬栽培です。
放っておけば稲と一緒に雑草もどんどん成長してしまいます。
それではどうするかというと「物理的に」雑草の発生を抑えたり除去したり…という手段を取ることになります。
そこで、田植から2~3週間して稲の根っこがしっかり活着(=かっちゃく。移植した植物が根付いて成長しつづけることを「活着」と言います。)してきたら、「水田除草機」という機械を使って雑草が生えてこないように対策をしました。
この機械、エンジン付きとはいいながら、ぬかるんだ田んぼの中を歩き回るのはなかなかの重労働です。
稲の畝間を耕すイメージで土をかき混ぜて雑草が定着しないようにするのと、水が濁ることによって日光を遮り成長を抑える効果もあるようです。
そうして初期の雑草発生を抑え、稲が成長して田んぼを覆うようになってくれれば、おのずとその後の雑草の成長も抑えられる…という作戦ですが、物事はそう単純ではありませんでした。
ここの田んぼ、耕作放棄されて10年の間に、地下茎植物が群生していました。
開墾の際に、かなり除去したはずですが、取り切れなかった地下茎の断片から次々と新芽が伸びてあっという間に田んぼの一部が覆われてしまいました。
この地下茎は先程の水田除草機では歯が立たないので一本一本人手で取り除くしかありません。
これまた大変な重労働でした。
■ 7月:半夏生。そしていもち病の発生
前述の地下茎植物、地元の方から教えていただいたのですが名を「半夏生」(はんげしょう)と言います。
半夏生とは季節を表す言葉で、夏至から数えて11日目の7月2日頃から七夕頃までの5日間を言うのだそうです。
この時期に白い花を咲かせることからこの名が付いたようです。
また、葉っぱが半分おしろいを塗ったように白くなることから「半化粧」とも掛けているようです。
そんな風流な話とは裏腹に田んぼに異変が現れ始めました。
いもち病の発生です。
最初は田んぼのごく一部に、稲の葉に特有の茶色い斑点が認められた程度でした。
その時点で病変が見られる40株ほどを除去して田んぼの外に持ち出したのですが、その後1週間ほどで田んぼのほぼ全面に広がってしまいました。
いもち病対策は「発生させない」ことが基本で(そのため慣行農法では種籾~苗~田植えの段階で殺菌剤を多用します。)発生してしまってから出来ることはあまりありません。
しかし、指をくわえて見ているわけにもいかないので「ストチュー」という自然農薬を2回ほど散布しました。
(ストチューとは、穀物酢:木酢:焼酎(25°)=1:1:1を水で300倍に希釈したもので、殺菌や害虫の忌避効果が期待できます。)
その効果が表れたのかどうか、その後病変はあまり広がらず、新しく伸びてきた稲の葉は青々としていて元気だったので少しホッとしました。
■ 8月:出穂、開花、登熟期へ
そして田植から約11週目、8月8日に出穂が、更に1週間後くらいからは開花も始まりました。
お米の花ってご覧になったことが無い方も多いと思いますが、稲穂の一粒一粒に小さな白い花が咲きます。
夏のあいだ、ほんの数時間だけですが稲も花を咲かせるのです。
その短い開花時間の中で受粉すると籾が少しずつ膨らんでいきます。
そして「実るほど首を垂れる」登熟期へと向かっていきます。
■ 9月:稲刈り目前、だがしかし!?
いろいろ苦労があったものの無事登熟期を迎えられたわけですが、実はちょっと気になっていたことがありました。
それは稲の草丈が妙に高いということです。
作付けしたのはコシヒカリで、稲の中では比較的草丈が高く倒状(=とうふく。稲が風や雨で倒れること)しやすい品種と言われています。
しかも、土壌のせいなのか陽当たりの関係なのか、通常のコシヒカリに比べても妙にひょろ長く育ってしまいました。
見るからに倒れやすそうで不安を感じていたのですが、その不安は的中します。
雨が降るたび、風が吹くたびにドミノ倒しの様に倒状範囲が広がっていき、稲刈りを目前に控えた今現在(9/25)では、ほぼ全面的に倒状してしまっています。
果たして無事に収穫出来るのか?
…この続きはまた後日ご報告したいと思います。