龍ヶ崎圃場のYです。
今回は、昨年・今年での春夏野菜のできについてレポートしたいと思います!
■ 春じゃがいもの比較
【2021年春じゃがいも】
生育自体は良かったのですが、梅雨を警戒して早く収穫をし過ぎてしまったということもあり、ジャガイモ自体は小ぶりなものが多かったです。
【2022年春じゃがいも】
芽出し・種芋等は良かったのですが、畑選びを失敗。
スギナの浸食によりじゃがいもが上手く育たないという状況になってしまいました。
畑選びの難しさというのを改めて実感しました。
幸運にも、自家採種の種芋だけは生育がよく、立派に育ったことも大きな収穫でした。
■ 春人参の比較
【2021年春人参】
オレンジ色のものだけでしたが生育が良かったです。
水やりもしっかりできていたので、発芽率が良く、それにともなって出荷量も多かったです。
【2022年春人参】
秋冬で人気のあったカラフルなミックス人参を春作でも作ろうと思いチャレンジしました。
結果として、ニンジンにも春向き・秋向きの種があったため発芽率のいいもの・悪いものがハッキリ分かれました。
逆に播き時として秋の時期しか記されていない種でしっかり発芽をしたケースもあって興味深かったです。
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春向き・秋向きという種があることはわかっていたのですが、実体験は今後の参考にとてもなります。
何事もチャレンジしてみないとわからないと思いました。
■ 今年の夏野菜は収穫が遅くなる…
2021年の夏野菜は、初動から野菜の生育は良く、6月上旬~ズッキーニ、6月下旬~トマトといったように初夏から夏野菜が採れていました。
一方2022年夏野菜は、初動の生育はあまりよくなく7月上旬~ようやくズッキーニが収穫できる…という感じでした。
播種時期(種まき)・定植時期(畑に苗を植える)は、去年と今年でそんなに差はありません。
では、去年と比べて、なぜ個としては、夏野菜の収穫が約1カ月も後ろにずれてしまったのか?
その理由を考察してみました。
(1)天候
今年は梅雨の時期が早く訪れ、短期集中的に終わっています。
(昨年より梅雨入りは8日早く、梅雨明けは19日も早いです)
ちなみに去年は平年並みの梅雨期間で、晴れと雨の日のバランスも良かったと記憶しています。
早く梅雨入りし、短期集中で梅雨が終わった結果、今年は作物の定植後の生育にストップがかかってしまったと感じました。
梅雨の期間は毎年違うため、見極め、畑に定植する時期をいつにするのか、は大きなポイントだと学びました。
(2)土壌
去年の果菜類を育てた場所は、以前使用されていた方が無農薬栽培を行っていた畑でしたので、綺麗な状態でお借りすることができました。
一方、今年の畑はしばらく使用されていなかった畑を、冬~春にかけて開墾をした場所でした。
大きく育った木のような雑草の根など、さまざまな残渣が分解せず残っているような状態でした。
こういった環境では微生物の働き方も残渣を分解する方に作用してしまうと考えられます。
これが、生育の初動で躓いてしまう原因になったのでしょう。
開墾地で作付けを行う際は、いかに先を見据えて、逆算ができるかがキーを握ると実感しています。
今年の果菜類はほとんどが自家採種です。
生育は遅れましたが、自家採種のおかげか、育ちが良く、色つやが明らかにいいと感じました。
味も全体的に濃く、甘みも強く、よい出来でした。
■ 自家採種したオクラの成長(昨年の記録を振り返って)
昨年は自家採種9割、市販種1割くらいの割合でオクラを作付けしました。
播種時期は一緒でしたが、最終的には1mくらい自家採種のものが大きくなりました。
それだけ自家採種の種は地域の風土・気候・栽培方法にあったものになっていると実感。
今年もその自家採種のオクラから種採りをして種を播きました。
結果としては発芽率があまり良くなく、うまく育ちませんでした。
考えられることとして色々情報をまとめた結果、
(1)種採りのタイミングを遅らせた結果、良い種ができなかったのではないか
(2)種の保管方法が悪かったのではないか
と判断しました。
こういった経験から、今年は早めにオクラの種採り用を確保したり、種の保管方法なども再検討をしています。
種採りをしていくことは自然循環の基本であり、安心安全かつ丈夫な野菜を育てていくことにおいて必要なことです。
しかし、簡単なものではないということを実感させられました。
■ 耕作放棄地での開墾の難しさについて
翔栄ファーム・龍ヶ崎農場では、耕作放棄地を開墾して、畑を増やしています。
その畑の度合いにもよりますが、10年以上経過している畑には木やシノといったものが生えていて、開墾するにはかなりの時間と労力が必要です。
そこで、比較的時間に余裕のある冬の時期に、仮払い機やチェンソーなどを利用して、木を切り倒し、ノコギリを使用して抜根…といった作業が必要になります。
それ以外にもツタなどの地下茎植物が生えていることが多く、草刈のペースは単なる除草のペースではできないです。
また先ほど記述したように、その畑の度合いによって、作付けまでの逆算を上手くしないと作付けに影響が出てしまうといった難しさもあります。
このように大変な面もありますが、基本的に耕作放棄地では肥毒(肥料などを畑に入れすぎることで害となっている状況、慣行農法に多い)の心配が少ないため、自然栽培を始めるには適した畑であるともいえると思います。
野菜本来の味を味わうことができ、肥料や農薬に頼らない、自家採種した野菜の生命力で育った良いお野菜ができるのではないでしょうか。