夏バテで疲れた時、食欲がない時などにおすすめのそうめん、消化もよく、胃への負担も少ない食材です。糖質をエネルギーに変えるために必要なビタミンB1が豊富なので体調不良の時などの栄養補給におすすめです。
スーパーなどではたくさんの種類のそうめんが並んでいるのを見かけますが皆さんはこれらのそうめんの原材料を確認したことはありますか? 裏を見てみるとそうめんには塩や食用油などが含まれていることがわかります。
今回はからだに良いそうめんの選び方についてのお話です。
■そうめんの効果とは?
運動をした後などのエネルギー補給にも役立つそうめんには、抗酸化作用のあるセレンという体内の酸化を防止し、老化や生活習慣病予防に役立つと言われている成分が含まれています。さらにはモリブデンという鉄の吸収を促進して貧血予防の効果が期待できると言われている成分や腸内環境を整える食物繊維も豊富なので便秘解消にも役に立ちます。
このように栄養価も高くからだも整えてくれるうれしい効果が期待できるそうめんは喉ごしもよく暑い夏にはぴったりの食材ですね。
■そうめんの材料とは?
そうめんに使用されている原料は、小麦粉と水、塩、油です。それぞれの素材が持つ味わいや風味がそのままそうめんの美味しさにつながりますので原材料にもこだわりたいと思われる方も多いのではないでしょうか?

◎小麦粉
小麦粉を主原料とした麺料理のそうめんは主に乾麺として流通しています。小麦粉に水を加えて練るそうめん、そうめんの粘りやコシを左右するのがこのグルテンの働きによるものです。そうめんに欠かせないのが良質な小麦粉、歯ごたえや喉ごしの良いそうめんになるようにそうめんの生産工場などでは小麦粉にこだわり、中力粉、強力粉などを独自にブレンドしてそうめんを生産している工場もあるくらいです。
国産素材だからと言って必ずしも安全性に優れているというわけではありませんが、国産小麦にもこだわったそうめんの味は口あたりがなめらかであると注目されています。
国産小麦はタンパク質の割合が低く、グリアジンとグルテニンの量も少なくなるため、グルテンがあまり生まれないとされていますが安全面の不安が少ないという点が最大の特徴として挙げられます。
さらには、国産小麦を使用するということが持続可能な開発目標(SDGs*)に貢献することに繋がります。
*SDGsの目標12:「作る責任と買う責任」
持続可能な消費と生産を確保することを目的とした目標のことです。地域の小麦を使用し、食料自給率の向上に貢献、地域の経済を支援することで、食料の持続可能性を高めることにも繋がっていくと考えられます。
このように小麦粉にはエネルギー源としての役割や豊富な栄養素など多くの良い点がありますので、アレルギーなどがなければ、健康的な食生活を送るためにも小麦を取り入れていくのは効果的な方法といえます。

◎塩
そうめんの粘りやコシを左右しその味を決めるグルテン、そのグルテンの性質を左右するのに欠かせないのが塩です。塩分濃度が高いほどグルテンの粘り気が増えます。小麦粉に含まれるたんぱく質の分解酵素の働きを抑えてくれるのでよりそうめんの生地が熟成され弾力が増します。雑菌が繁殖しにくくなるため保存性が向上され、吸水性もあるので乾燥によるひび割れを防ぎ表面を滑らかにしてくれます。そうめんの塩分は主にコシと食感を高め熟成を助ける重要な役割があります。
また、茹でた際にそうめんに含まれている塩が溶け出し麺にお湯が入り込むことででんぷんが糊化するため、塩を多く含んでいるそうめんほど茹で時間を短縮することができます。塩分の摂りすぎが気になるところですが、そうめんを茹でることでお湯に塩が溶け出します。また茹でた後にも水洗いすることでさらに塩分が抜け出すためそうめん自体は決して塩分の多い食品ではありません。
茹であがり後もわずかに残った塩味がそうめんの風味、旨味を引き立ててくれます。使用されている塩も重要な役割を担っています。そのため、ミネラル成分がたっぷりと含まれている天然塩がからだに優しいとされているようです。そうめんにどのような塩が使用されているかも確認することが重要な点ですね。

◎油
そうめんは製造過程でそうめん生地の乾燥を防ぎ麺同士がくっつかないように、主に食用植物油を使用しています。
製造工程の一つに油返しという工程があるのですが、これは麺の表面に食用油を塗りながら細くそうめんを引き延ばしていく工程のことです。油返しはそうめんの表面の乾燥を防ぎ、そうめん同士がくっつかないように、そしてそうめんに独特の風味を与えるために行います。植物油を塗ることで乾燥、くっつきを避け、表面が空気に触れることなく熟成させる効果があります。
一緒に使用している塩とともに麺の変質を防止、長期保存ができ、茹でたときにしっかりとしたコシのある歯切れがよい食味を出すことができます。この油返しに用いる植物油は一般的には綿実油(めんじつゆ)を使用します。綿実油は酸化しにくく風味がさっぱりとしており、価格もさほど高くない(現在では国産原料の綿実油から輸入原料の綿実油へと変化)ことから用いられることが多いようです。
産地によってはごま油やオリーブ油を使用するところもあるようですが、価格が高いことからあまり一般的ではないようです。そうめんを選ぶときにはどんな油が使用されているのかも気にしてみましょう。

■からだにいいそうめんを選ぶには?
◎GI値
そうめんのGI値は約50〜60、この値は、そうめんが消化されやすく、血糖値が急上昇しやすいことを意味します。そのため、血糖値の安定を図るために、タンパク質や食物繊維を多く含む食品と一緒にそうめんを食べることをおすすめします。納豆、オクラ、めかぶ、野菜などをトッピングしましょう。
GI値が気になる方は全粒粉のそうめんがおすすめです。通常のそうめんよりも低GIで、食物繊維も多く含まれており、血糖値の上昇を抑え、満腹感を持続させやすくなりダイエットにも効果的です。
◎塩分量
そうめんを選ぶ際には塩分量も確認してみましょう。そうめんにとって塩は、コシのある麺に仕上げるためには欠かせない原材料です。
そうめんをゆでることでほとんど溶け出しますが、若干の塩分が麺に残っており、そうめんを食べる際はその残った塩分とさらにつゆの塩分も摂取してしまいます。塩分を摂り過ぎるとむくみや高血圧につながり生活習慣病の要因にもなるため、健康な生活を送るためにも塩分はできるだけ抑えるにこしたことはありません。
特に塩分制限がある方などは食塩不使用や減塩タイプのものを選びましょう。製造工程で塩を使っていない無塩そうめんや糖質オフそうめんなどは健康に気を使っている人に注目されています。 めんつゆも減塩のものを使えば、より塩分を減らせますので塩分摂取量を配慮されている方におすすめです。
◎素材にこだわったものを選ぶ
基本的には小麦粉・塩・水・油からそうめんは作られており、エネルギー源となる炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミン(主にビタミンB1)、ミネラルの栄養素以外はあまり含まれていませんが野菜や海藻などを練り込んだそうめんも市販されています。その素材に由来した栄養素が含まれているのでそれらの素材の味や香りを楽しむことができます。また卵や肉、魚などをそうめんつゆに加えるなどの一工夫でよりそうめんの栄養価を高め栄養バランスも考慮できますが食べ過ぎると糖質過多になるため注意も必要です。
そうめんを購入する際にはからだのことを考えてまずは小麦粉、塩、油はどのようなものを使用して作られたそうめんなのか、基本の原材料にこだわり、からだに良いそうめんを選ぶよう心掛けてみませんか!
