身近な調味料「砂糖」は肥満の原因になるからとどちらかといえばからだに悪い者として扱われることが多いですね。砂糖は甘みをプラスする以外にも、お肉を柔らかくしたり、料理のコクをプラスしたりと料理を引き立ててくれるうれしい効果をもたらしてくれています。
上白糖、黒糖、きび砂糖、三温糖、てんさい糖といろいろと種類がありますが「その違い」は何なんでしょう?
種類がありすぎてどの砂糖を使用したらいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。白いのより茶色い方がなんとなくよさそうだけれど、でも理由はよくわからない、今回はその茶色い見た目に騙されがちな三温糖についてのお話です。
■ 上白糖と三温糖のちがいとは?
精製を繰り返した後にブドウ糖などの「転化糖」をまぶした上白糖は精製糖の一種でその過程ビタミンやミネラル、カルシウムが抜けてしまうため、99%が炭水化物でカロリー以外の栄養がほぼないと言われています。そのため茶色の三温糖の方がからだによさそうとつい見た目で判断される方も多いようです。精製とは砂糖を作る過程で不順物などを取り除き甘味だけを取り出すことです。上白糖は最も身近な砂糖で味にクセがない何にでも合う万能の砂糖と言えます。
一方、三温糖は上白糖を精製した後に残った糖液の結晶のみを繰り返し煮詰めた精製糖です。一説には三度煮詰めて作るから三温糖とよばれているとか、茶色い色は過熱により起こるメイラード反応とカラメルが添加された時についた色です。カリウムやナトリウムなどはごくわずかに残ってはいますが、栄養面は、上白糖とほとんど変わりません。白砂糖より甘味は強く消化が緩やかなので煮物や照り焼きなどこってりと甘辛い味付けの和食などに使うと、コクが出ておいしく仕上がると言われています。またカラメルを添加することによって香る香ばしさがコーヒーや紅茶などにもよく合います。
■ 三温糖はからだによくない?
三温糖も和食全般に用いられている身近な精製糖です。上白糖よりも甘みが強いのとカラメル色の見た目が特徴でその風味を生かして甘辛くする料理、甘味やコクを活かす料理によく合います。上白糖と作り方は同じですが上白糖より加熱する時間が長く、長く加熱することにより砂糖からカラメル成分が生成し、薄く褐色に色が付きます。しかしながら、加熱により色が付く三温糖は、仕上がりの色味がその時々で微妙に異なってしまうため別途砂糖からつくられたカラメル色素で均一な色味になるよう最終調整をして製品としています。
三温糖に含まれるほとんどの成分、糖質は血糖値を上昇させる主な原因となる成分です。例えば糖尿病を患っている方などにとっては糖質制限のための食事療法をおこなうことが不可欠のため砂糖類も対象になる可能性があります。カロリーが高いため肥満や虫歯の原因となることがあります。
あくまでもそれらを引き起こす原因の一つということだけでこれは三温糖だけが良くないというわけではありません。極端な量を一度に摂取しなければ体に悪いというわけではありません。
■ どんな砂糖がおすすめなの?
ミネラルを毎日の食事に使用する砂糖から摂取したいなどからだにいい砂糖を選びたいという健康志向の方には「含蜜糖」がおすすめです。含蜜糖とは抽出された搾り汁そのものを煮詰めて作ります。精製されていない茶色の砂糖です。黒糖やてんさい糖、きび糖、ココナッツシュガーなどが含蜜糖と呼ばれている砂糖です。未精製なのでミネラルなど栄養成分が多く残っているのが特徴です。
砂糖は製造方法で「含蜜糖」と「分蜜糖」の2つにわかれ、近代的な製法を用いて砂糖の結晶だけを取り出す製法で作られた砂糖のことを分蜜糖といいます。上白糖、三温糖はこちらに該当します。
主な含蜜糖の特徴
黒糖:ミネラル、カリウム、カルシウム、鉄分、リンなどが豊富でカロリーは控えめ、独特な風味、強いコク、濃厚な甘味が特徴。
てんさい糖:腸内環境を整えるオリゴ糖が含まれている。血糖値の上昇を示すGI値が低めで消化吸収が穏やか、糖質制限、ダイエット中の人にお勧め、ミネラルは黒糖、きび糖に比べ少なめ。
きび糖:最低限の不純物が取り除かれているためクセがなくマイルド、カリウム、カルシウム、リンなどのミネラルがてんさい糖より多い、栄養価は黒糖に劣る。
ココナッツシュガー:GI値が低く血糖値の上昇が穏やか、糖質が気になる人におすすめ。ココナッツが苦手な人でも食べやすい。
健康的な食生活のためにもミネラルがたっぷり残っている含蜜糖を日々の料理に選択し、またバランスのいい食事、規則正しい毎日を送ることが大切と言えます。さらには、砂糖を選ぶときにはその素材、原材料も確認するといいでしょう。添加物が含まれていないものであるかなども確認し、可能であれば有機JASマーク(農薬や化学肥料などの化学物質に頼らずに生産された食品につけられるマークで、登録認証機関が定める基準をクリア)がついている商品を選ぶことをおすすめします。パッケージの裏面などで詳細は確認できるので、購入前にぜひチェックしてみましょう。
毎日使う身近な調味料となるものなのでしっかりと確認して納得してから購入することが大事ですね。