以前、コメの輸出入について触れましたが、
当コラムでは野菜・果実を中心とした
農作物の輸入状況について概観してみます。
輸入野菜の内訳は?
『海外農業情報 我が国の農林水産物輸出入実績』
の中の『品目別貿易実績』(2017年)
の輸入の項をみてみると、上位の品目には、
たばこ豚肉牛肉とうもろこし……、
と続いています。
そしてその次に出てくるのが
生鮮・乾燥果実、さらにいくつか抜かして
冷凍野菜、小麦、大豆といった順番になっています。
とうもろこしや小麦、大豆などは
そのままだから分かりますが、
「生鮮・乾燥果実」と「冷凍野菜」の内容とは
一体どういったものなのでしょうか。
まずは生鮮果実と乾燥果実からです。
生鮮果実ではバナナが筆頭で
次いでパイナップルやキウイフルーツ、
そしてオレンジにぶどうやメロン。
印象的にトロピカル感の強めの
品目が多くなっています。
そして乾燥果実は、
ぶどうを乾かしたレーズンをはじめとした
ドライフルーツなどを指しています。
次に、冷凍野菜。
このカテゴリーには、馬鈴薯・枝豆
・ブロッコリーなどが含まれます。
もっとも多い馬鈴薯は
調製したものがほとんどで、
多くはフライドポテトなどの形で
輸入されています。
枝豆は冷凍枝豆として、
とうもろこしは冷凍スイートコーンとして、
その他ほうれん草、ブロッコリーなども
冷凍食品に多用される輸入冷凍野菜です。
そして気になる「生鮮野菜」は?というと
実は日本の農林水産物輸入額からみると
そこまでの輸入規模ではなく、
上記資料でのランキングには顔を出してきません。
とはいえけっして少ないというわけでもなくて、
首位のたまねぎだけでも約28万トン(2019年)
の輸入量を誇っています。
これは生鮮果実ジャンルで上位のパイナップルと
キウイフルーツを足した量とほぼ同等です。
たまねぎは生食用もありますが、
多くは加工・業務用として広く取り扱われており、
それ以降はかぼちゃ・にんじん
・ねぎ・ごぼう、と続いていきます。
これら生鮮野菜の輸入を支えている背景には、
近年発展した「コールドチェーン」(低温物流体系)
の発達による影響が大きいのは
間違いないと思われます。
特に最近はIoTの技術が取り入れられたことで、
遠距離輸送のリスクもさらに下がってきました。
その意味においては、今後、生鮮野菜の輸入量が
増える可能性はあると思われます。
また「乾燥野菜」という分類もあり、
これにはしいたけ・たけのこなどが入ります。
日本はかなりの農産物純輸入国となっています
総じて日本の農産物の輸入は
かなり多いのが実態です。
対して輸出はそれほどでもないため、
よくいわれている通りに農産物の輸入大国であり
自給率の低い国でもあります。
農林水産物全体でみると
輸入額が約9兆5,198億円(2019年)、
輸出額が約9,121億円(同)なので、
約8兆6,077億円の赤字ってことになります。
もっともこの数字にはたばこや木材等も含まれるため、
すべてが食品というわけではありませんが。
輸入には天候不順などによる不作への対応や、
入手機会を分散することによる
メリットなどがあるものの、
見た目上では、さすがに輸出入額の差が
大き過ぎといわれても仕方ないのかもしれません。
因みにEU諸国や米国では輸入額が多くても
輸出額も高水準になっているため、
このような事態にはなっていません。
これは主観でしかありませんが、
やはり自給率を上げていく更なる努力や工夫が、
国全体の取組として加速していくように、
日本人一人ひとりの意識が
高まっていくことを目指して
多くの方々に食を取り巻く環境の
実態を知っていただきたいと願っています。
以前、コメの輸出入について触れましたが、当コラムでは野菜・果実を中心とした農作物の輸入状況について概観してみます。
輸入野菜の内訳は?
『海外農業情報 我が国の農林水産物輸出入実績』の中の『品目別貿易実績』(2017年)の輸入の項をみてみると、上位の品目には、たばこ豚肉牛肉とうもろこし……と続いています。
そしてその次に出てくるのが生鮮・乾燥果実、さらにいくつか抜かして冷凍野菜、小麦、大豆といった順番になっています。とうもろこしや小麦、大豆などはそのままだから分かりますが、「生鮮・乾燥果実」と「冷凍野菜」の内容とは一体どういったものなのでしょうか。
まずは生鮮果実と乾燥果実からです。
生鮮果実ではバナナが筆頭で次いでパイナップルやキウイフルーツ、そしてオレンジにぶどうやメロン。印象的にトロピカル感の強めの品目が多くなっています。そして乾燥果実は、ぶどうを乾かしたレーズンをはじめとしたドライフルーツなどを指しています。
そして気になる「生鮮野菜」は?
というと実は日本の農林水産物輸入額からみるとそこまでの輸入規模ではなく、上記資料でのランキングには顔を出してきません。とはいえけっして少ないというわけでもなくて、首位のたまねぎだけでも約28万トン(2019年)の輸入量を誇っています。これは生鮮果実ジャンルで上位のパイナップルとキウイフルーツを足した量とほぼ同等です。たまねぎは生食用もありますが、多くは加工・業務用として広く取り扱われており、それ以降はかぼちゃ・にんじん・ねぎ・ごぼう、と続いていきます。
これら生鮮野菜の輸入を支えている背景には、近年発展した「コールドチェーン」(低温物流体系)の発達による影響が大きいのは間違いないと思われます。特に最近はIoTの技術が取り入れられたことで、遠距離輸送のリスクもさらに下がってきました。その意味においては、今後、生鮮野菜の輸入量が増える可能性はあると思われます。
また「乾燥野菜」という分類もあり、これにはしいたけ・たけのこなどが入ります。
日本はかなりの農産物純輸入国となっています
総じて日本の農産物の輸入はかなり多いのが実態です。対して輸出はそれほどでもないため、よくいわれている通りに農産物の輸入大国であり自給率の低い国でもあります。農林水産物全体でみると輸入額が約9兆5,198億円(2019年)、輸出額が約9,121億円(同)なので、約8兆6,077億円の赤字ってことになります。もっともこの数字にはたばこや木材等も含まれるため、すべてが食品というわけではありませんが。
輸入には天候不順などによる不作への対応や、入手機会を分散することによるメリットなどがあるものの、見た目上では、さすがに輸出入額の差が大き過ぎといわれても仕方ないのかもしれません。因みにEU諸国や米国では輸入額が多くても輸出額も高水準になっているため、このような事態にはなっていません。
これは主観でしかありませんが、やはり自給率を上げていく更なる努力や工夫が、国全体の取組として加速していくように、日本人一人ひとりの意識が高まっていくことを目指して多くの方々に食を取り巻く環境の実態を知っていただきたいと願っています。