野菜を選ぶとき多くの人が国産なら安全と思って手に取ることが多いかと思います。
実は、海外に比べると日本の農薬使用の規制は緩く、日本は農薬大国などともいわれています。国産だから安全と考えてもいいのでしょうか?
今回は「国産の野菜は本当に安全なのか?スーパーに並んでいるきれいで形の良い安価な野菜には農薬が残留している?」についてのお話です。
■ 国産なら安全?農薬が残留している?
残念ながら、日本の農薬使用量は世界トップクラス、海外では禁止されているにもかかわらず日本では使用しているなど農薬使用の基準が緩いのが現状で、なんと中国に続き2位、アメリカの5倍、フランスの3倍もの農薬を使用しています。
その理由として、温暖で雨が多く湿気により病害虫が発生しやすいから、また消費者は虫食いのあるものや形の悪い野菜を購入したがらないので売れないなどの理由があります。
農薬にも使用することで害虫や菌を防ぎ病原菌、虫などから消費者が細菌感染するのを防げるというメリットがあるとも考えられています。
形が整ったきれいな野菜を買って、それを調理しようと水につけて置いといたら、油のようなものが浮いてきたなんて言う経験はありませんか?
その浮遊物、実は野菜に付着していた「残留農薬」と思われます。恐ろしいのは、見た目がきれいで整った形なだけに水につけて置いておかなければ気づかなかったというところです。
残留農薬を避けるためにできることとは・・・
農薬・化学肥料不使用の有機(オーガニック)を選ぶこと
産地や生産者、栽培方法が確認できるものを選ぶこと
旬のものを選ぶこと(旬でないと栽培の時に虫がつきやすいため)
など日頃から野菜の産地や育て方などを気にして健康意識を高める必要があると考えられます。
皆さんは農薬が何から作られているか、つまり農薬の原料は何かご存知でしょうか?
農薬は石油、石炭、リンなどの鉱石、界面活性剤などが原料となっているものがほとんどです。
それを口に入れて食べてしまっていることになると思うと怖いですね。
知らず知らずのうちに口に入ってしまっていても、すぐには影響が出ないのが残留農薬の厄介なところです。遺伝子を傷つける、発がん性がある、胎児の奇形の原因になるなどじわじわと体をむしばみ、徐々に影響が出てくるのです。
農薬が残った状態の食材を食べ続けることで、ほかにも様々な影響が体に起こります。ひどいときは めまいや吐き気、皮膚のかぶれ、発熱、喉の渇きといった身体的症状などが、農薬中毒症状の可能性があります。
さらには残留農薬の影響は身体面のみならず、精神面にも及ぶことも少なくないとも言われています。
それなら野菜を食べなければいいいんだというわけにはいきません。野菜をたっぷり食べてバランスの摂れた食生活こそが健康を維持していくためには欠かせません。
となるとできることはただ一つ、私達消費者の意識を変えていくしかないのではないでしょうか?
形が整っているきれいな野菜ほど農薬を使って育てられた野菜であることを、形が悪くて見た目が悪くても農薬・化学肥料不使用で自然栽培で育てられた野菜は虫が食べるほど美味しくて安全であることを(そのため虫食いになってしまうのですが・・・)まずは今の大人たちが理解し、未来の子供たちにも伝えていく必要があると思われます。
■ 残留農薬の多い野菜と果物
野菜の種類や育て方など農薬が残る量が違うためどの野菜には農薬が残留しているからダメ、危ないなどとは言い切れないのですが、
一般的に特に多く残留しやすいと言われている野菜や果物は以下の通りです。
ほうれん草
ケール
セロリ
プチトマト
きゅうり
ジャガイモ
ピーマン
レタス
など特に葉物が多いようです。毎日普通に口にしている野菜ばかりです。
果物で言うと皮をむいたりするものよりそのまま食べるものの方が危険と言われ、苺などは病害虫の被害を受けやすく農薬使用回数が多くそのため残留農薬も多いと言われています。
これらを買うときは無農薬のものをなるべく選ぶ、野菜の洗浄剤などを使うなど安心・安全な状態にすることを意識してみてはいかがでしょうか?
逆に残留農薬が少ないと言われている野菜は、有機野菜や無農薬野菜はもちろんのこと、果物同様にあまり生で食べることがないもの、皮をむいて食べるものなどです。
キャベツ
トウモロコシ
茄子
玉ねぎ
さつま芋
果物だとパイナップル、パパイヤ、メロン、キウイ、グレープフルーツなど
ちなみに有機野菜とは「有機JAS規格」の生産方法で安全性が認められたもので一定期間以上、農薬、化学肥料、土壌改良剤などの薬剤を一切使わないで作られた野菜のことを言います。
■ 農薬の残効性散布回数
散布された農薬はその役割を果たすと自然に分解されると言われています。しかし、収穫した農作物に残ってしまう、しみこんでしまうこともあります。目に見えないため証明することが難しいのですが。
薬剤が病害虫や雑草に対する効果を示す期間のことを「残効性」と言い。残効は短いもので1週間、中くらいで約2週間程度と言われています。通常作物を育てる際、農薬は雨などに流されなければ10日~14日おきに散布すればよいと考えられています。
それでは、野菜に使う農薬の回数は何回位だと思いますか?
スーパーに並べられている野菜や果物には実際に農薬を使用した回数や何の種類の農薬を使ったのかなどはどこにも記載がないためどのような状態で育てられたかなどは不明です。そのため「知らぬが仏」状態になってしまっています。
農薬を使ってると言っても「せいぜい2,3回でしょ?」と思われる方が多いのではないでしょうか?
調べてみるとそんなことはなかったんです。使用した農薬の種類やその使用回数などは一般的に公表されていないため正確な数字を確認するのはとても難しいのが現状です。
これは一例ですが、長野県庁のサイトで「農作物について慣行的に行われている化学合成農薬の使用回数」をまとめた報告書を見つけました。データは10年ほど前のものでしたが、ほとんどの野菜や果物の収穫までに使用する農薬の回数は少なくでも10回~多いものでは20回以上と殺菌剤や殺虫剤の散布の回数は驚きの数字でした。
日本の法律では出荷してからも虫に食べられないよう収穫前日まで農薬を散布してもいいということになっています。ですから口にする際に農薬が残ってしまっていてもおかしくないのです。
昔は白くなったりといかにも農薬が付いているとわかるものがありましたが最近使用されているネオニコチノイド系(殺虫剤)の農薬は無色透明、無臭です。表面だけでなく内側にまで浸透してしまうと言われており、洗っただけでは農薬を除去することはできないとも言われています。これが残留農薬と言われるものです。
■ 農薬散布を防ぐために私たちができること
日照りや雨風に強い品種を作るための品種改良、農薬散布、化学肥料の使用が避けられなくなってしまうのは決して正しい道ではないことを買い手である消費者が理解し、厳しい目線で農薬散布の現状を阻止していかなければいけません。
そのためにまずは野菜を選ぶことから変えていきましょう。農薬散布の影響のない野菜を選ぶことから、無農薬の野菜をを選ぶことから始めてみませんか?