翔栄ファームは自家採種100%を目指しています。
栽培品種数が多くまだまだ道半ばではありますが、
固定種・在来種のみでこれが実現すれば、
それはそれで大きな価値だと思っています。
そこで今回は「種とり」の基本的な部分について、
自然栽培の先生からお聞きした話を
みなさまにシェアしたいと思います。
■ 他家受粉と自家受粉
受粉には他家受粉(たかじゅふん)と
自家受粉(じかじゅふん)とがあります。
他家受粉は同じ「科」であれば
非常に交雑しやすいという特徴があります。
たとえば、ウリ科植物にはきゅうり、かぼちゃ、
ズッキーニ、メロン、苦瓜などがありますが、
これらが同じ畑内や近隣で栽培されていれば
交雑の可能性が高いということです。
もちろん受粉の媒介者は「風」や
「虫」ということになりますので、
きゅうりの花で蜜を採取したミツバチが、
次にズッキーニの花に行けば
交雑が起こりやすいという意味です。
このことから種取りの際に農家では、
このハイブリッドを防ぐため
次のような工夫をしています。
先ず、花が咲く前のつぼみの状態で
種とり用の株の目星を付けます。
その選定基準は“元気なもの”の一言に尽きます。
その後、朝のうちに雄花を取って
雌花に人口受粉して袋を被せてしまうのです。
そうすれば交雑のない純粋な自家採種が
期待できるということになります。
■ 種取りの手順
繰り返しますが種とりは、
元気な株を選ぶことが重要です。
とにかく丈夫な株から採取した種はやはり丈夫です。
実際の種とりは科・目によって若干ことなります。
しかし基本的な流れとしてはほぼ同じで、
出荷用の株を収穫したあとも、種とり用の株は
2週間程度そのままにしておき完熟させます。
その後収穫。更に追熟させます。
以前の農場便りでもご紹介した
きゅうりを例に取りますと、
追熟させたきゅうりを、種を傷つけないように
縦方向に二つに切ります。
中の種をスプーンですくって水洗いします。
その際に水面に浮かんでくるものは
「粃(しいな)」といい中身が空のため、
それらは取り除き残ったものを乾燥させます。
その後は冷暗所で保管します。
作物が花をつけてから
ここまでに掛かる期間は約40日です。
■ なぜ種を取るのか?
恐らくピンとくると思うのですが、
人間は環境に適した生活を行っていく中で
その地域に順応していくものです。
作物もまさに同じで、同じ地域で何代にも渡り
種が受け継がれ栽培されていくと、
その作物はその地域の環境に根差し、
かつ最適化された高品質のものへと固定化します。
これを特に在来種といいますが、
その土地が持つ自然のエネルギーそのものが
そこには秘められていると思うのです。
これは種をつないでいく、
ということからしか得られない価値です。
今回のテーマからは少し逸脱しますが、
地産地消という概念もベースは
ここにあるのではないでしょうか。
というわけで最後に種取りの重要なポイントを
お伝えして閉じたいと思います。
最初のもの(初生り)をとる。早ければ早いほど良い。エネルギーが高い!





翔栄ファームは自家採種100%を目指しています。栽培品種数が多くまだまだ道半ばではありますが、固定種・在来種のみでこれが実現すれば、それはそれで大きな価値だと思っています。
そこで今回は「種とり」の基本的な部分について、自然栽培の先生からお聞きした話をみなさまにシェアしたいと思います。

■ 他家受粉と自家受粉

受粉には他家受粉(たかじゅふん)と自家受粉(じかじゅふん)とがあります。
他家受粉は同じ「科」であれば非常に交雑しやすいという特徴があります。たとえば、ウリ科植物にはきゅうり、かぼちゃ、ズッキーニ、メロン、苦瓜などがありますが、これらが同じ畑内や近隣で栽培されていれば交雑の可能性が高いということです。
もちろん受粉の媒介者は「風」や「虫」ということになりますので、きゅうりの花で蜜を採取したミツバチが、次にズッキーニの花に行けば交雑が起こりやすいという意味です。
このことから種取りの際に農家では、このハイブリッドを防ぐため次のような工夫をしています。
先ず、花が咲く前のつぼみの状態で種とり用の株の目星を付けます。その選定基準は“元気なもの”の一言に尽きます。その後、朝のうちに雄花を取って雌花に人口受粉して袋を被せてしまうのです。そうすれば交雑のない純粋な自家採種が期待できるということになります。

対して自家受粉は文字通り植物の同一の個体のなかで受粉が起きます。基本的には一つの花の中で受粉が起こりますが、複数の花が集団をなしている花序(かじょ)では隣接する花の間での受粉、その他として同じ株内で受粉する場合などがあります。
自家受粉の主なものはマメ科やナス科です。これらは自然による交雑のリスクがないため種取りを実施する上で、他家受粉作物の“袋掛け”などの特別な作業は必要ありません。

■ 種取りの手順
繰り返しますが種とりは、元気な株を選ぶことが重要です。とにかく丈夫な株から採取した種はやはり丈夫です。
実際の種とりは科・目によって若干ことなります。しかし基本的な流れとしてはほぼ同じで、出荷用の株を収穫したあとも、種とり用の株は2週間程度そのままにしておき完熟させます。
その後収穫。更に追熟させます。
以前の農場便りでもご紹介したきゅうりを例に取りますと、追熟させたきゅうりを、種を傷つけないように縦方向に二つに切ります。中の種をスプーンですくって水洗いします。その際に水面に浮かんでくるものは「粃(しいな)」といい中身が空のため、それらは取り除き残ったものを乾燥させます。その後は冷暗所で保管します。
作物が花をつけてからここまでに掛かる期間は約40日です。

■ なぜ種を取るのか?
恐らくピンとくると思うのですが、人間は環境に適した生活を行っていく中でその地域に順応していくものです。作物もまさに同じで、同じ地域で何代にも渡り種が受け継がれ栽培されていくと、その作物はその地域の環境に根差し、かつ最適化された高品質のものへと固定化します。これを特に在来種といいますが、その土地が持つ自然のエネルギーそのものがそこには秘められていると思うのです。
これは種をつないでいく、ということからしか得られない価値です。
今回のテーマからは少し逸脱しますが、地産地消という概念もベースはここにあるのではないでしょうか。
というわけで最後に種取りの重要なポイントをお伝えして閉じたいと思います。
最初のもの(初生り)をとる。早ければ早いほど良い。エネルギーが高い!
参考:
プレジデント社刊「WIRED VOL.40(マイクロオーガニズム共生基礎ガイド2021)」







