今年の稲作は、例年以上に夏野菜の準備などと重なってしまい非常に厳しいスタートとなりました。
最悪の場合、稲作を断念せざるを得ないほどの切羽詰まった状況に追い込まれていましたが、
なんとか稲作を今年もチャレンジすることができました。
そのことについて詳しく書いていますので是非最後までお読みください。
■思いがけない協力により無事田植えができました
稲作のスケジュールはとてもシビアです。
5月末の田植えを目指すには、種籾を播く、苗を育てるといった事前準備を5月上旬までに終わらせる必要があります。
もちろんこちらの種籾作業も翔栄ファームでは農薬による消毒ではなく、
昔ながらの「温湯消毒(おんとうしょうどく)」で行います。詳しくはこちらをご覧ください。
稲作作業と並行して夏野菜の作業も進めなければならず、時間と人手のやりくりに追われ、最悪稲作を断念せざるえない状況でした。
そんななか、地域の工科系専門学校から“地域に根差した貢献活動をしたい”とのお申し出をいただき、
先生と学生さんあわせて10名ほどが秋の収穫まで一通りの稲作についてご協力いただけることになりました。
このおかげで、5月中には代掻き(しろかき)と田植えまで無事に終えることができました。
この助力はほんとうに助かりました。ありがとうございました。



■雑草との闘い:無農薬で挑む田んぼの現実
昨年も田んぼになかなか作業時間を割くことが出来ず、田に水を張り、
トラクターで土をやわらかい泥にする代掻き(しろかき)という作業がおろそかになってしまいました。
この代掻きとは田んぼに水を張って苗を植えるための下準備のことを言います。
主に、水田をはじめに耕起した後、水を入れて機械でかき混ぜ泥状にする作業のことです。
代掻きを行う事で、水田からの水漏れを防ぎ、均平をとり、雑草の発生を抑え、
土を軟らかくして苗を植え付けやすくする効果などがあるため、稲作ではとても重要な作業となっています。
翔栄ファームのお米は無農薬栽培のため勿論除草剤も使いません。
その為、代掻き作業を怠ったことで稲の生長を妨げる雑草が昨年はとても多くなってしまいました。
雑草が稲よりも先に育ってしまうと、稲に十分な日光が届かず、光合成ができなくなります。
それだけではありません。「こなぎ」などの雑草は驚くほどの勢いで増え、土の中の栄養分を稲よりも先にどんどん吸い取ってしまい、
稲が本来吸収できるはずの養分を奪われて成長が著しく遅れてしまいます。
結果、お米の収穫量が減ってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
今年は学生さんの協力により全部の田に対して代掻き、田植えまで全て終えることが出来きてとりあえず一安心です。

しかし一番稲作で大変な除草作業はこれからが本番です。
草取りはすべて手作業。今年もこれから暑くなる中で、最も重要な除草シーズンに突入します。
ここをしっかり乗り越えられるかが、秋の収穫量を大きく左右します。
今回手伝ってくれた学生さんたちからは、除草作業についても楽しかったと前向きな声をいただいており、本当に心強い限りです。

■ 昨年の反省を活かし「にじのきらめき」への品種転換
2024年は「あきたこまち」という品種を育てていましたが、夏の記録的な高温の影響でお米の実りが減ってしまう「高温障害」が発生しました。
収穫量は例年の半分以下にまで落ち込んでしまいました。
さらに、無農薬ゆえの雑草の影響も重なり、努力に反して結果が出ないという悔しさが残る稲作になりました。
そこで、2025年は「にじのきらめき」へ作付けする品種を変更することにしました。
この品種は、高温障害に強く、猛暑が続いても収穫量が落ちにくいのが特徴です。
味もコシヒカリに似ていて、食味の評価も高いため、「おいしくて育てやすい」バランスのとれた品種と言えます。
新しい品種での栽培は初めてで慣れないことも多いです。また自然栽培でおこなうがゆえの過酷な除草作業もありますが、
たくさんの方に支えられながら、今年も稲作に挑戦しています。少しでも良いお米を皆様にお届けできるよう、丁寧に育てています。
雑草にも、高温にも負けず、稲が元気に育ってくれますようにと願いながら、これからも頑張って参ります。

= 最後に =
私たちは昨今のアレルギー・アトピー・花粉症などは、食べ物の影響だと思っており、口に入って身体を作る作物は安心・安全であるべきだと考えています。
翔栄ファームでは、群馬県と茨城県、広島県にある3つの農場で、一般的な慣行農法(農薬、肥料の投入量や散布回数などにおいて相当数の生産者が実施している一般的な農法のこと)でなく、『固定種・在来種』の種で、『農薬・化学肥料・除草剤を使わない自然栽培』で野菜や穀類を作っています。
それは、食卓に並ぶ全てを”安心・安全な翔栄ファーム印の食べ物”で提供したい!という目的からです。
私たちが自然栽培で収穫した野菜や作物を『茨城県龍ヶ崎』と『群馬県前橋』の各圃場と、東京都の東中野にある『ビセットプラザ』で店頭販売を行っています。
また通販サイトの『しぜんとくらそ』では、各季節の旬な野菜を詰め合わせた”【定期宅配】季節の産直野菜いろどりセット”などもインターネットで販売しています。宅配にしか入らない野菜もありますので、定期宅配のご利用もお待ちしています。