「依存症」と言えばたばこやアルコールなどの薬物の依存症を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかしながら、私たちの身近にある気づかぬうちに依存してしまっている症状、スイーツやスナックなどの食べものに対しての依存、食べたい、食べなければ、食べないといられないなどという我慢が出来なくなってしまう症状はもしかすると「食物依存症」かもしれません。
■ 食物依存症とは?
拒食症や過食症などの摂食障害、異常な食行動自体のことを言います。
全般的に自身の心的葛藤から解放されたいという気持ちの安定化が大きな目的で食べ物への依存が起こります。たばこやアルコールと違い「食べ物」が対象になるためきっぱりとやめる治療が目指せないのが怖いところです。低栄養状態、無月経、肥満傾向になるなど体への影響が心配されます。

■甘く見てはいけない!食物依存症
食べだすと止められなくなるチョコレートやポテトチップス、一口だけと思いながらも、手が止まらず、半分だけ、あとちょっと、結局は全部食べてしまった、さらにはもう一袋とついつい食べ過ぎてしまうことはありませんか?

たんぱく質、脂質、食物繊維などの自然の栄養素が多く取り除かれた加工食品、これらによる中毒に似たからだの反応(行動)は満腹を感じる信号を発することができずもっともっと食べたいという記憶が繰り返されます。
アルコールやたばこにある薬物依存症と同様に、美味しい食事やおやつにも食べだすと止められない、ついつい食べ過ぎる、これらの症状は食物依存性とよばれ、食品に含まれている脂肪分、糖分がわたしたちの体内にあるセンサーに働きかけ「もっと食べたい」と誘惑してくることが原因で起こります。
加工食品に含まれる脂肪と糖を増やす傾向は続いており、高度に加工された高カロリーの食べ物が脳を刺激してきます。その結果、食物依存症になるとこれらを食することで美味しい、気分が良いなど「快感」という感覚を脳が記憶します。その快感を得るためにまた同じ行動をくり返そうとしてしまいます。
砂糖や脂肪を多く含む加工食品が「食による快感」を得るために脳に働きかけることで過食となります。お腹いっぱいご飯を食べた後でもデザートは別腹、いくらでも食べることができてしまうのも脳がデザートを食べた時の食の快感を期待できると記憶しているからです。
嫌なことがあった時、疲れた時、甘いものでも食べて元気を出そう、この甘いもの食べるときっと元気になって気分もよくなる、これも脳が食の快感を記憶しており、それを期待しているからです。
砂糖や脂肪を多く含むジャンクフードは油断していると「もっと食べていいよ、食べ続けよう!」などと脳に働きかけ快感を得ようとします。これらはたばこやアルコール同様に私たちの命を奪うこともあるため甘く見てはいけません。
■ 食物依存症から脱出するには?
食物依存症は私たちの思い込みによるものでその思い込みを正すことで抑制し避けることができます。
中毒になりやすい食品はピザ、チョコレート、ポテトチップス、クッキー、アイスクリーム、フライドポテト、ケーキ、チーズなど、魅力的な食品は脂肪や糖など特定の栄養素がたっぷりと含まれています。例えばアイスクリーム、なめらかで口あたりよくもっと食べたくなるように食感や味の工夫がされています。
以前は自然の素材をそのままに、あまり手を加えずに作られていました。それに対して高度に加工された超加工食品は人口調味料、人工香料、乳化剤、安定剤など多くの添加物が加えられています。
食品そのものは味や食感が良くなり魅力的なものになってはいますが、長い目で見れば私たちのからだに害のあるものばかりと言えるでしょう。このような超加工食品と呼べるものが健康問題を害する原因となるのは言うまでもありません。これらを回避するにはあまり手を加えられずに作られたものとの違いを理解し、どちらを選ぶべきかを考えることが必要と思われます。
作る手間もなく、手ごろで安価、そして何より美味しいと超加工品が脳に影響を与え、加工食品が良くないと思いながらもついつい手が出てしまうのが食物依存症のこわいところです。
体に良くないから食べたくない、食べないぞと思いながらもついつい加工食品を食べてしまう、加工食品は至る所にあり、よほど身構えていない限り避けることができないのも現状です。
依存性食品を食べないでいることは簡単なことではありません。まずはいつ、どこで、自分がどんな時にその食品が欲しくなるかを自覚して、その時に誘惑されないように自身をコントロールできる別の方法を考えてみるというのも食物依存症を回避する一つの手段かもしれません。

この春、初めて一人暮らしをスタートして自炊をしようと意気込んでいる特に若い人たちが陥りやすい食の危険、「食物依存症」、自身の健康なからだを守るためにも正しい食の知識を得て、バランスの摂れた食生活を送ることを目標に新生活をはじめましょう!