皆さんこんにちは!翔栄ファーム『群馬県前橋農場』のMです。
私たちは昨今のアレルギー・アトピー・花粉症などは、食べ物の影響だと思っており、口に入って身体を作る作物は安心・安全であるべきだと考えています。
翔栄ファームでは、群馬県と茨城県にある2つの農場で、一般的な慣行農法(農薬、肥料の投入量や散布回数などにおいて相当数の生産者が実施している一般的な農法のこと)でなく、『固定種・在来種』の種で、『農薬・化学肥料・除草剤を使わない自然農法』で野菜や穀類を作っています。
それは、食卓に並ぶ全てを”安心・安全な翔栄ファーム印の食べ物”で提供したい!という目的からです。
さて、今回は翔栄ファームで自家採種している野菜たちについて書いています。
そもそも、自家採種とは何なのか。どんなメリットがあるのか。
また驚きの自家採種にまつわる失敗談など、最後まで読んで頂けると嬉しいです。
■そもそも自家採種ってなに?
みなさんは自家採種って知っていますか?
自家採種とは、自分の畑で育てた野菜たちから次の作付けのために必要な種子を自分で採ることを「自家採種」といいます。
メリットは大きく3つあり
一番大事な1つめは【畑に合った病気になりにくい強い種になる】
やはり自家採種する一番のメリットとして、
その畑に合った種へと自然と対応していくため、病気になりにくい生命力の強い種が採れます。
翔栄ファームのように“自然農”を通して栄養たっぷりの土で育った野菜。
その野菜が圃場に合わせてさらに元気に強く育ち、その野菜たちからまた種を採る、、、
そうやって繰り返していくことで圃場に合わせた微生物たちのバランスや土の病気に抵抗力をつけ
より元気な種が毎年更新されながら採れるのです。
この写真はオクラですが、オクラも毎年自家採種しています。
もちろん足りない場合は追加で種を購入するのですが、
写真左:自家採種したオクラ
写真右:購入した種から育てたオクラ
■翔栄ファームの自家採種野菜たち
そんな翔栄ファームの野菜たち。
まだまだ、全種類自家採種できていないのが現状ですが
かなり自家採種野菜たちが増えてきました~!!!
ちょうど今、自家採種した種があるのでご紹介します。
【東京かぼちゃ】
こちらはつい先日採種しました!こちらは今年で自家採種2年目!
かぼちゃの花は虫が受粉してくれますが、違う花を経由して受粉するとそのかぼちゃは雑種になってしまう可能性があります。
そのため、自家採種する場合は人工的に花粉を行っています。
まず形がいい、花がきれい、おいしい株元、などを目安にどの花を自家採種するかを決めます。
そして花が咲くであろう前日の夕方から蕾に袋をかぶせて虫が受粉させないようにします。
次の日、袋を取り開花した花へ人工的に受粉させ、また袋を被せます。
数日後かぼちゃになっていることが確認できたら受粉成功!
印をつけて、出荷せず種取り用に腐るぎりぎりまで畑に置いておきます。
腐るぎりぎりまで畑に置いておく理由は、種をしっかり太く大きく充実させるためです。
種は腐ったかぼちゃのほうが良いのです。
周りが腐っても種は腐らず、むしろ腐った部分と土が重なった所には微生物の働きにより栄養が豊富に。
腐食して残った種がその栄養を元にまた大きくなり育つのが自然界で起こる現実です。
なので、できる限りそれに近づけるため腐るギリギリまで放置し、あとは刈り取って影で追熟させていきます。
だいたい追熟させるのに2か月ぐらい置いておきます。色も緑からオレンジに変わり、触るとぶよぶよしてきます。
そうするとついに種取りの準備が完了!
(写真はズッキーニの採種中のものです)
他にも【ときわ地這きゅうり】や【ブラックビューティー(ズッキーニ)】【ズッキーニパローネ】も採種しました。
きゅうりは錦鯉のように太くて大きいものを、
ブラックビューティーは約60センチ、2~3キロほどになった大きなものを2~3本
ズッキーニパローネは販売サイズの3倍ほど大きくオレンジになるまで追熟したものを!
きゅうりやズッキーニもかぼちゃと同じ様に受粉させ、黄色になるまで追熟させます。
柔らかくなったら半分に切り、綿を出して洗うと種が出てきます。
しかし種はゼリー状の膜で覆われていて洗っても取れません。
さらに、そのまま干すとゼリーの部分から腐ってしまいます。
なので、種と綿の部分を一緒に瓶やタッパーなどに入れて発酵させます。
だいたい2~3日放置するとゼリー状部分や綿の部分を菌がエサにし発酵し、
取り出すとゼリーからするっと種が取れるようになります。
自然界ではこのようなことが土の上で勝手おこり、次の種が成長してまた収穫~と繰り返されます。
そのあとは、採れた種を水につけて沈んだ種が良い種なのでそれだけを取り
きれいに洗って日光消毒1~2時間(夏場)を行います。
最後は乾燥剤と一緒にジップロックなどに入れ、次回まで冷蔵庫に保管。
しかし、いざ種を採るぞ!と思い、その野菜の周りの実を食べてみると
おいしくない!そうなるとその種は捨てます。
おいしかったらそのまま続行し種採りを実行。などほんとうに時間と手間がかかる自家採種。
それでもやっぱり美味しい野菜を届けたい!そういう思いから
ちょっとづつですが自家採種をし、より良い種を!より良い野菜を!増やしている翔栄ファームです。
≪今現在自家採種している&今年する予定のもの≫
かぼちゃ、きゅうり、ズッキーニ 採種完了
オクラ、なす、ピーマン、トマト、ごぼう、バジル 予定
にんじん、るっこら、ごぼう、じゃがいも 既に採種済み
■失敗談?!!
冬野菜のほうれん草も毎年自家採種していますが、今年は失敗してしまいました。
ほうれん草には雄花・雌花2種類の花が咲きます。
毎年そのほうれん草同士の花で受粉させていたのですが
去年は次の畑の準備のため多めにほうれん草を刈り取ってしまいました。
順調に花が咲き受粉し種を採種したのですがどうも、刈り取りすぎたせいで上手に雄花と雌花が受粉せず
受粉に成功した種があまり多くなかったのが要因と考えています。
試しに先月種を植えてみましたが、上手に発芽しませんでした。
他にも、ブラックビューティーズッキーニも毎年自家採種していますが
去年、緑と黄色のツートーンになったズッキーニが誕生!
虫によって他のズッキーニの株から運ばれた花と受粉してしまい雑種のズッキーニが誕生したようです。
このように毎年採種していても、自然界の虫などの影響によって品種が変わってしまう場合は採種ができません。
沢山の失敗を繰り返しながらこれからもより良い種を!より良い野菜を作っていきたいと思っています。
奥が深く手間暇のかかる自家採種ですが、
試行錯誤しながら今年も沢山の種を採ることを目標に頑張っていきます!
他にも自然栽培で収穫した野菜や作物を『茨城県龍ヶ崎』と『群馬県前橋』の各圃場と、東京都の東中野にある『ビセットプラザ』で店頭販売を行っています。
また通販サイトの『しぜんとくらそ』では、各季節の旬な野菜を詰め合わせた”【定期宅配】季節の産直野菜いろどりセット”などもインターネットで販売しています。宅配にしか入らない野菜もありますので、定期宅配のご利用もお待ちしています。