■ トラブル続出の土地で、無農薬・無化学肥料の麦を作りたい!
こんにちは、翔栄ファームの木村(⇧写真左端⇧)と申します。
私たちは、昨今のアレルギー・アトピー・花粉症などは、食べ物の影響だと思っております。
子供は発達障害、高齢者はアルツハイマー、大人は糖尿病になっています。
市中には、添加物と遺伝子組換え原料の食品や、花粉をつけないF1の種から育った均一で虫も食わない野菜が並んでいます。
健康を考え、土の微生物を生かして、農薬・化学肥料を全く使わない農業で、食べればわかる、”自然の力がみなぎる野菜”、”美味しい!!と感激する野菜”をお届けしたいのです。
■ 無農薬にこだわった穀物を作りたい!
2020年の秋、私はそう思って岐阜に向かいました。
しかし、希望を胸に到着したその土地は何年間も人の手が入っていない耕作放棄地でした。
地質は粘土質で重たく水はけが悪く、小松菜やほうれん草などの葉物野菜を作ろうとすると害虫被害がひどいという、”自然の力がみなぎる野菜”、”美味しい!!と感激する野菜”作りどころか、農業を行うこと自体も不可能に思えるような土地でした。
伸び放題の雑草や、地中に深く根を張った木々と難敵が立ちはだかる荒地を前に、気持ちを奮い立たせて開墾して切り開くしかない!と心の中で叫びました。
しかし、ここで新たなトラブルが発覚したのです。
切り開くための道具がほぼないのです。奮い立った気持ちが萎えていく音が私の耳に鳴り響きました。
茫然としている私でしたが、なんとありがたいことに、知り合い経由でチェーンソーとユンボをお借りすることができ、開墾がガンガン進んだのです!!
私の胴体はあろうかという太い木も伐採して、土の中にしがみついた根っこも抜根できました。さあこれで畑の準備は整いました!
ここで何を植えて育てようか?しかし、この土地の地質は粘土質で重たく水はけが悪く害虫被害がひどいという状況は変わっていないのです。社員総出で知恵を寄せ合った結果、まずは土地の改善が急務だという結論にいたり、そこで選ばれた作物は ”麦” でした。
麦は育てると根っこが深く伸びて土地を掘り起こしてくれるので、土地改善には最適な作物です。
全員で「よし小麦をやろう!」と拳を天高く築き上げました。
準備のため色々と調べていくうちに、思いもしなかった事実が次々に発覚したのです。
私たちが苦労して切り開いた土地は約1700平米(1平米は1m×1m)の大きさでした。収穫量を120キロと見積もっていましたが、小麦は収穫したのちに製粉しないと商品にはなりません。
そして小麦はキロ単位ではなく、トン単位でなければ商売にはならず、製粉加工してくれる業者さんが見つからないのです。私の前途には暗雲がモクモクと立ち込めていました。
その暗雲を振り払うように誰かが言いました。
「六条麦なら少ない量でも製粉してくれる業者さんがいる!」
私はすぐさま六条麦について調べました。六条麦は麦茶やご飯に入れて食べる雑穀などに向いている大麦でした。
「六条麦茶」という言葉を耳にした人も多いと思います。六条麦を煎って麦茶にしてもどれくらいの需要があるのだろう?するとまた誰かが言いました。
「じゃあ、麦こがし(はったい粉)にして販売しよう!」
■ 麦こがし(はったい粉)とは??
麦こがし(はったい粉)とは、乾煎りした大麦やハダカムギを、挽いて粉にしたもので、灰褐色の見た目とほのかな甘み、大麦特有の香ばしい風味が特徴です。
そのままだとのどに詰まりやすいため、塩や砂糖を少し加えてから熱いお湯や麦茶、牛乳などで伸ばし、やさしい甘みを活かしたお団子やほろほろ食感のクッキーは、昭和50年頃までは子供の大人気デザートでした。
濃く脂っぽい味や、必要以上に甘味を加えなくても低カロリー、低脂肪の食事を楽しむことができるので、ストレスなくダイエットが進んでいくという、まさにスーパーフードでもあるのです。
無農薬で作った麦こがし(はったい粉)デザートは、世代によっては懐かしさと新しさで人気商品になるのでは?と一同納得して方針が決まり、私たちは興奮して抱き合いました。
しかし、更なるトラブルの足音は私たちには聞こえていませんでした。
第2話につづく