翔栄ファームは2018年の3月より
自然栽培による農業を開始しました。
先ずは群馬県前橋市からスタートし、
その後すぐに茨城県龍ヶ崎市、
そして岐阜県美濃加茂市と栽培地を増やしています。
現在もこの3圃場で営農をしており、
毎年各圃場の栽培面積を拡大しています。
理由は単純です。
出来る限り多くの固定種・在来種の品種を自然栽培し、
それらの自家採種100%を目指しているためです。
ゴールはまだまだ先ですが、現在、
野菜の栽培品種数は約100種類、
そして自家採種率は約20%です。
■ 今年も果樹栽培にチャレンジ
このように農薬・化学肥料不使用で
日々チャレンジをしている翔栄ファームは、
2021年の3月より果樹栽培を始めました。
先ずはイチジク、金柑、オリーブからスタート。
もちろん種が採れる品種の苗を定植しています。
そして今年2022年はあらたに
ネーブルオレンジ、キウイ、レモンの栽培も始めました。
とはいえ果樹は木が育つまで数年はかかります。
そして果実の味がしっかりのるまでは少し時間が掛かります。
よってすぐに翔栄ファームのお客様にお届けすることは出来ません。
そこで今後この農場便りの場を借りて、
不定期的に各果樹の生育の過程を
お知らせできたらと考えております。
ということで、
記念すべき果樹栽培報告の第一弾は「イチジク」です。
■ 果樹栽培の第一弾「無花果」の成果はいかに!?
ご存じの通り漢字では「無花果」と書きます。
確かに見た目にはどこにも花が見当たりません。
しかし実の中の紫の粒々の可食部分、これが花なのです。
食べるときに実を割って初めてわかるから
“花の無い果物”と書くのです。
さて、舞台を翔栄ファームの圃場に移します。
2021年3月、翔栄ファーム龍ヶ崎圃場に定植したのは
「ドーフィン」という2年生の無花果の品種の苗です。
全部で30本。
背丈は約40㎝。
基本的に果樹は野菜と違って
日々の手入れは必要ありません。
(私たちは自然栽培なので特にそうです)
何というか拍子抜けとはいいませんが、
「本当にこれでだけでいいのだろうか?」
と思ったことをよく覚えています。
そして月日はあっという間に過ぎ去り、
気が付くとすでに秋本番。
本来イチジクの収穫時期は10月くらいなのですが、
私たちが定植したイチジクが実を付けたのは
11月後半から12月に入ってから。
背丈は高いもので1mほどになりました。
しかし高さにばらつきがあり、30本全部が
その背丈まで伸びたわけではありませんでした。
ドーフィンは2年生の品種なので
昨年の収穫予定はなかったものの、
ほとんどの株に実が付いたのですべて
(とはいっても少量)を収穫しました。
実はどれも小粒で見ため的には
あまりパッとしなかったのというのが正直な感想です。
そしていよいよ実食。
しかし結果は思わしくありませんでした。
というのは瑞々しさに欠け、味ものっていなかったのです。
こうなるにはいくつかの理由があるわけですが、
一番の要因はやはり土壌の弱さだと判断しました。
ということで早速私たちは、
翔栄ファームの考える自然栽培の範疇で
土壌改良に取組むことにしたのです。
■ フロー豊かな土壌を作る
元々オリジナル腐葉土(※)は
最初から定期的に入れていましたが、
これでは不十分なので今回新たに
鶏糞を入れることにしました。
フロー豊かな土壌を作り出すには
時に動物性堆肥も必要です。
特に果樹栽培はそうです。
しかし当然何でもいいというわけではありません。
翔栄ファームが許容する動物性堆肥は
無農薬・無化学肥料、Non GMOだけを飼料とする、放牧あるいは平飼いした家畜の糞
のみです。
今回はこの条件に合致した鶏糞を
入手することができたため、
これを少量施肥することにしました。
この鶏糞をイチジクの株に入れる際には
ちょっとした工夫が必要になります。
それは株の根元ではなく
地上に伸びた枝や葉が垂れ下がっている真下付近に
“幹を中心に弧を描くよう施肥する”ということです。
なぜならばイチジクの根は横に広がって伸びていくため
根元の施肥では根の先端と距離が出てしまうためです。
当然ですが、植物は根の先端から栄養を吸収します。
※)
翔栄ファームでは3圃場すべてで、晩秋から冬の間にかけ
近隣の落ち葉をかき集めて腐葉土を作っています。
(龍ヶ崎圃場でも古民家の裏の土に大量の落ち葉をまぜて発酵させています)
■ こちらも欠かせない雑草対策
メインの土壌改良の対策を講じた後は、雑草制御対策です。
翔栄ファームが化学農薬や除草剤を使うことはあり得ません。
そこで今回は緑肥を活用することにしました。
(緑肥とは、緑色植物を刈り取って後、
枯らしてからそのまま田畑に漉き込んで肥料とすることです)
今回イチジクの畝間に漉きこんだ緑肥は「ヘアリーベッチ」。
ヘアリーベッチには「アレロパシー効果」という、
雑草や虫を抑制する効果があります。
とはいえこれはあくまでも雑草抑制です。
もちろん土壌改良のプロセスの一環で
やっていることではありますが、
緑肥と鶏糞の役割を分類すると、
緑肥は「土壌改良+雑草抑制」
鶏糞は「土壌改良+栄養補給」
ということになります。
■ 目標は「環境再生型農業」
土壌改良の試みはまだ始まったばかりですが、
先ずはしっかりと対策して
環境再生型農業を実現する必要があります。
土壌が再生した後は自然のフローのみに頼った、
ある意味で自然農法のように
何も手を入れずに(実際は必要最低限の施肥は行い、
しっかり人の手で大事に栽培管理はしていきます)、
実が付いたら収穫するような、
あたかも毎年秋に庭で実った柿を採って食べるように
自然のサイクルそのものに従いたいと思っています。
というわけでまだ道半ばではありますが、
今年の10月から11月あたりに
美味しいイチジクが収穫出来たなら、
可能な限り宅配セットにラインナップしたいと思っています。
翔栄ファームは2018年の3月より自然栽培による農業を開始しました。先ずは群馬県前橋市からスタートし、その後すぐに茨城県龍ヶ崎市、そして岐阜県美濃加茂市と栽培地を増やしています。現在もこの3圃場で営農をしており、毎年各圃場の栽培面積を拡大しています。理由は単純です。出来る限り多くの固定種・在来種の品種を自然栽培し、それらの自家採種100%を目指しているためです。
ゴールはまだまだ先ですが、現在、野菜の栽培品種数は約100種類、そして自家採種率は約20%です。
■ 今年も果樹栽培にチャレンジ
このように農薬・化学肥料不使用で日々チャレンジをしている翔栄ファームは、2021年の3月より果樹栽培を始めました。先ずはイチジク、金柑、オリーブからスタート。もちろん種が採れる品種の苗を定植しています。
そして今年2022年はあらたにネーブルオレンジ、キウイ、レモンの栽培も始めました。とはいえ果樹は木が育つまで数年はかかります。そして果実の味がしっかりのるまでは少し時間が掛かります。よってすぐに翔栄ファームのお客様にお届けすることは出来ません。
そこで今後この農場便りの場を借りて、不定期的に各果樹の生育の過程をお知らせできたらと考えております。
ということで、記念すべき果樹栽培報告の第一弾は「イチジク」です。
■ 果樹栽培の第一弾「無花果」の成果はいかに!?
ご存じの通り漢字では「無花果」と書きます。確かに見た目にはどこにも花が見当たりません。しかし実の中の紫の粒々の可食部分、これが花なのです。食べるときに実を割って初めてわかるから“花の無い果物”と書くのです。
さて、舞台を翔栄ファームの圃場に移します。
2021年3月、翔栄ファーム龍ヶ崎圃場に定植したのは「ドーフィン」という2年生の無花果の品種の苗です。
全部で30本。
背丈は約40㎝。
基本的に果樹は野菜と違って日々の手入れは必要ありません(私たちは自然栽培なので特にそうです)。何というか拍子抜けとはいいませんが、「本当にこれでだけでいいのだろうか?」と思ったことをよく覚えています。
そして月日はあっという間に過ぎ去り、気が付くとすでに秋本番。本来イチジクの収穫時期は10月くらいなのですが、私たちが定植したイチジクが実を付けたのは11月後半から12月に入ってから。背丈は高いもので1mほどになりました。しかし高さにばらつきがあり、30本全部がその背丈まで伸びたわけではありませんでした。
ドーフィンは2年生の品種なので昨年の収穫予定はなかったものの、ほとんどの株に実が付いたのですべて(とはいっても少量)を収穫しました。実はどれも小粒で見ため的にはあまりパッとしなかったのというのが正直な感想です。
そしていよいよ実食。
しかし結果は思わしくありませんでした。というのは瑞々しさに欠け、味ものっていなかったのです。こうなるにはいくつかの理由があるわけですが、一番の要因はやはり土壌の弱さだと判断しました。
ということで早速私たちは、翔栄ファームの考える自然栽培の範疇で土壌改良に取組むことにしたのです。
■ フロー豊かな土壌を作る
元々オリジナル腐葉土(※)は最初から定期的に入れていましたが、これでは不十分なので今回新たに鶏糞を入れることにしました。フロー豊かな土壌を作り出すには時に動物性堆肥も必要です。特に果樹栽培はそうです。
しかし当然何でもいいというわけではありません。翔栄ファームが許容する動物性堆肥は
無農薬・無化学肥料、Non GMOだけを飼料とする、放牧あるいは平飼いした家畜の糞
のみです。今回はこの条件に合致した鶏糞を入手することができたため、これを少量施肥することにしました。
この鶏糞をイチジクの株に入れる際にはちょっとした工夫が必要になります。それは株の根元ではなく地上に伸びた枝や葉が垂れ下がっている真下付近に“幹を中心に弧を描くよう施肥する”ということです。なぜならばイチジクの根は横に広がって伸びていくため、根元の施肥では根の先端と距離が出てしまうためです。当然ですが、植物は根の先端から栄養を吸収します。
※)翔栄ファームでは3圃場すべてで、晩秋から冬の間にかけ近隣の落ち葉をかき集めて腐葉土を作っています(龍ヶ崎圃場でも古民家の裏の土に大量の落ち葉をまぜて発酵させています)。
■ こちらも欠かせない雑草対策
メインの土壌改良の対策を講じた後は、雑草制御対策です。翔栄ファームが化学農薬や除草剤を使うことはあり得ません。そこで今回は緑肥を活用することにしました(緑肥とは、緑色植物を刈り取って後、枯らしてからそのまま田畑に漉き込んで肥料とすることです)。
今回イチジクの畝間に漉きこんだ緑肥は「ヘアリーベッチ」。ヘアリーベッチには「アレロパシー効果」という、雑草や虫を抑制する効果があります。とはいえこれはあくまでも雑草抑制です。もちろん土壌改良のプロセスの一環でやっていることではありますが、緑肥と鶏糞の役割を分類すると、
緑肥は「土壌改良+雑草抑制」
鶏糞は「土壌改良+栄養補給」
ということになります。
■ 目標は「環境再生型農業」
土壌改良の試みはまだ始まったばかりですが、先ずはしっかりと対策して環境再生型農業を実現する必要があります。土壌が再生した後は自然のフローのみに頼ったある意味で自然農法のように何も手を入れずに(実際は必要最低限の施肥は行い、しっかり人の手で大事に栽培管理はしていきます)、実が付いたら収穫するような、あたかも毎年秋に庭で実った柿を採って食べるように自然のサイクルそのものに従いたいと思っています。
というわけでまだ道半ばではありますが、今年の10月から11月あたりに美味しいイチジクが収穫出来たなら、可能な限り宅配セットにラインナップしたいと思っています。
参考:
プレジデント社刊「WIRED VOL.40(マイクロオーガニズム共生基礎ガイド2021)」