こんにちは!翔栄ファーム龍ヶ崎圃場(ほじょう)のKとMです。
翔栄ファームでは、自社農園で無農薬・無化学肥料栽培にて色々な作物を作っています。野菜以外にも、お米、大豆、麦などの穀類も栽培しています。
それは、食卓に並ぶ全てを”安心・安全な翔栄ファーム印の食べ物”で提供したい!という目的からです。
前回は、『翔栄ファームのお米作り2023年』が始まり、田んぼの面積が増えたため、技術力の向上と品種の選択の幅をお客様に喜んでいただきたいと思い、今回は違う品種を2種類作ろうということになり、お米アレルギーがあっても食べやすい『日本晴(ニッポンバレ)』と、食味ランキング最上位を示す特Aランクの『秋田小町(アキタコマチ)』を作ることに決めたところまでお話しいたしました。
【農場便り】安心で安全な自然栽培で美味しいお米を作りたい!2023年翔栄ファームの米作りは汗と涙が噴き出すような苦労の連続①
今回は、汗と涙が噴き出すような苦労の連続だった実際のお米作りについてお話しいたします。
■ 『八十八の手間』と言われるお米作り工程開始!
そもそもお米作りは、分解したその漢字が示すように『八十八の手間』と言われるほど、大小の煩雑な作業と膨大な仕事量が必要とされます。
機械化が進んだ現代の慣行農法でも、簡単な作業ではないことは想像できると思います。
※慣行農法(農薬、肥料の投入量や散布回数などにおいて相当数の生産者が実施している一般的な農法のこと)
ましてや翔栄ファームでは無農薬・無化学肥料で除草剤も使わない栽培である上に、機械は”最新式”とはあまりにもかけ離れた状態です。これこそがまさに”汗と涙を噴き出させる要因”となるものですが、これは後述いたします。
■ いきなり立ちはだかる難関『土作り』
お米作りの工程には大きく分けて「土作り、種・苗の準備、田植え、管理と除草、追肥と水抜き、収穫・乾燥」の6つがあります。
難関は最初の工程から待ち受けていました。『土作り』ではお米を植える前に田んぼを準備をするのですが、その中でもいくつかの工程があります。
・田んぼを耕す「田起こし」
・基肥という、稲に必要な栄養を土に加える「田すき」
・水を入れて田んぼを均一にし、土を柔らかくして苗の根が張りやすいようにする「代(しろ)かき」
・水田の水が外に漏れないようにする「畦(あぜ)塗り」
それぞれの工程は大変な作業ですが、そもそも翔栄ファームの田んぼでは、米作りに不可欠な水を出し入れするための水路が、泥で埋まってしまっていたのでした。
この水路はコンクリート舗装されているわけではない、素掘りの側溝なので土が入り込み、水で流れず溜まってしまい、いつしか埋まっていたのでした。
その結果、水路をあらためて掘らなければならず、重機が入れる場所も多くはなく、決して少なくない範囲をスコップで掘るという、令和の農法ではまれにみる難関が立ちはだかったのでした。
長い作業時間と体力を使ってなんとか土作りを終えました。
次の工程の『種・苗の準備』についてもなかなかの苦労があったのですが、全て挙げたらキリがなくなりますので、大きく立ちはだかった難関に絞ってお話を進めていきます。
次の難関は中盤の大きな山場となる『田植え』です。
■ どうした?田植え機!!頑張ってくれ!!!
上の画像を見ていただくと、なんとも優雅に田植えを行なっているように見えますが、画像からは読み取れないとんでもない故障が発生しているのです。
この田植え機は4本の苗を同時に植え付けていく機能を持っているのですが、なんと端っこの1本が結構な初期段階で壊れてしまったのです。
上の画像のように3列しか植えられていないのです。「1本壊れても3本植えられるんでしょ?」と思われた方もいると思います。「そんな大袈裟な!」という声も聞こえてきそうですが、実際に大袈裟でもなんでもありませんでした。
その結果上の画像のように、植えられていない1列を、みんなで手植えしていったのでした。田植え機で全部植えられると思い込んでいた私たちにとって、これがどれほど心を押しつぶしたことでしょうか。
しかし天気も作物も待ってはくれないのです。やるしかないのです。想定の倍以上の時間をかけて、なんとか田植えの工程を終えました。
手で植えていた時に、深すぎて膝下まで埋まる場所がありました。
足を取られて長靴の中にドバドバ泥が入ってしまうので、長靴を脱いで靴下で作業したところ、冷たくて気持ちよかったことが、唯一の楽しい思い出です。
でも皆さんは絶対に真似をしないでください。私も後になって知ったのですが、田んぼの周りには”ヒル”がいることもあるので、服の隙間から入り込んでくる可能性があるんです。
■ 自然農法のお決まりの難関『害虫』と『雑草』とそこに加えての『激烈猛暑』
中盤最後の工程は『管理と除草』です。
農薬も除草剤も使わない翔栄ファームの田んぼには、カエル・オタマジャクシ・イナゴ・クモ・トンボなど多くの虫が生息しています。時にはクワガタムシもあらわれました。
そんな可愛らしい虫以外に害虫があらわれるのです。
主力はカメムシです。これは田んぼの周りの林や草むらに生息していて、伸びた雑草を伝って稲に侵入してくるのです。翔栄ファームでは害虫駆除用の農薬は使わないので、雑草が稲に当たる前に刈り取ってしまうという手段が唯一の防虫対策でした。
また、田んぼの中に生える雑草は土の栄養を奪ってしますので、こちらも刈り取る必要があります。
皆さんも記憶に新しいと思いますが、世界的に最高気温を更新しまくった激烈な猛暑の中、田んぼの中を2回、田んぼの周りを6回も刈り取り作業をしたのです。
これは慣行農法ではいらない作業なのです。
2023年のお米作りはやっと折り返しに入った所ですが、もう十分すぎるほど汗と涙が噴き出してはいました。しかし当然これで終わるはずがありません。
秋の収穫で立ちはだかってきた難関については次回の農場便りでお話しいたします。