翔栄ファーム・前橋農場から、秋冬にかけて出荷予定のネギの栽培状況についてご報告します。
前橋農場で育てているネギの品種は、「下仁田ネギ」と「石倉ネギ」です。
もちろん、どちらも在来種であり、F1(一代限りの交配種)ではありません。
下仁田ネギは群馬県の下仁田町の特産品で「殿様ネギ」ともいわれているように、お歳暮などの贈答品にもされる太くて短いネギです。
石倉ネギも同じ群馬県の前橋市石倉町の地元ネギで、細長くて白い部分が多い、見た目は皆さんおなじみのネギです。
■ ネギの播種(はしゅ:種をまくこと)
ネギの種は、とても小さく、黒いゴマ粒のような概観です。
この小さな種を、3月頃に苗床などに蒔きます。
蒔いた当初は乾燥しないように散水。
やがて針のような細い芽が出てきます。
この細い芽を育ていき、鉛筆サイズより大きくなったら(これが苗ですね…)畑に定植します。
なお、翔栄ファームでは慣行栽培(一般の農家さんが行う栽培方法のこと)で通常行うような、苗床等に化学肥料や農薬の施用などは一切していません。
■ ネギの定植(畑に苗を植えること)
ネギの苗は、初夏から秋冬にかけてじっくり育てます。
まず、そのために畑を耕して、苗を植えるための溝を切っていきます。
(畑に直線の溝を掘ります)
石倉ネギは細長い苗なので、この溝の片側の盛り土に一本ずつ丁寧に立てかけて並べます。
そして、並べた苗の根元に、軽く土をかけて固定していきます。
一方、下仁田ネギは溝の中央に直立させて植えていきます。
下仁田ネギは、成長すると太くなるので、植える際、苗唱えの間隔をあける必要があります。
さらに成長すると葉っぱが扇のように広がるので、葉の広がる向きをそろえて定植します。
苗の植え方は、異なりますが、どちらにおいても一本ずつ丁寧に定植すること、これが翔栄ファームのこだわりです。
今年の石倉ネギの定植に際しては、前橋農場の職員だけでは人手が足りませんでした。
そこで、本社から3人、龍ヶ崎農場から1人応援を呼びました。
応援を合わせ、総勢9名体制でネギ苗の掘り取りから定植まで、広い農場で丸一日、一気に作業を行いました。
大きな苗だけでなく、中苗や爪楊枝ぐらいのサイズの小さな苗も無駄にすることなく植えていきます。
全てしっかり育ってほしいとの願いを込めて、大中小の大きさをそろえて丁寧に定植しました。
現在、これらの苗は小さなものも含めて、それぞれのペースでしっかりと育っています。
■ 梅雨時の大切な仕事は雑草から苗を守ること。
定植したネギは、新しい根を伸ばして活着します。
新しい根から吸収した養分を吸い上げて、青い葉の部分をぐんぐん伸ばします。
「ネギは人の陰もきらう」
と言われるほど太陽の光が好きな野菜です。
しかし、梅雨の時期は雨が降っては日が差すので、雑草にも好都合な環境なんです。
それらの雑草はちょっと目を離していると、ネギに覆いかぶさるほどになり、そのまま放っておくとネギはとろけて腐ってしまいます。
そのため梅雨時の一番大切な作業は除草なのです。
ただし、翔栄ファームは超自然栽培を掲げており、雑草を根こそぎ取り除くのではなく、逆に上手に活用するように心がけています。
例えば、刈り取った雑草の葉は、ネギ苗の畝間で乾燥させて根元を守ります。
また、雑草の根はそのままにして土壌バランスを保つようにしています。
■ いよいよ仕上げ、土寄せの開始
石倉ネギは、ネギの葉の生長点を目安に、根元に少しずつ周りの土を寄せて、白い部分を徐々に長くしていきます。
土がかかっている部分が白くなるからです。
土を寄せる部分を徐々に長くすることで、白い部分も長くなり、皆さんがイメージするよな長ネギが育ちます。
大中小の大きさに分けて定植した苗は、土寄せのときもそれぞれの大きさに合わせて丁寧に土寄せをしていきます。
生長点を土で隠してしまうとネギが腐ってしまうので注意が必要です。
ちなみに九条ネギなどの青ネギは、このような作業をほとんどしません。
また、下仁田ネギもずんぐりむっくりと育つので、少しだけ土寄せします。
■ 是非味わってほしい2つのネギの特徴
現在、前橋農場では地の利を活かして、群馬県の代表的な「下仁田ネギ」と「石倉ネギ」を大切に育てています。
ご説明したように同じネギでも栽培方法がその特性によって微妙に異なり、それは当然のことながら味にも現れます。
この猛暑を乗り切ってたくましく育ったネギは、やがて上州のからっ風に当たって甘みを増していくことでしょう。
今育てているネギの収穫時期は11月下旬を予定しています。
皆様が鍋料理を食べたくなる時期に、2種類の鍋料理にぴったりの甘みのあるおいしいネギをお届けする予定です。
さらに、翔栄ファームで栽培している「石倉ネギ」は在来種です。
通常販売されているのF1種の石倉ネギと違って「青い葉の部分も柔らかい」という特性があります。
通常は捨ててしまう青い部分も、ぜひこの機会に試していただきたいと思います。
皆さんに味わってほしい特別な2種類のネギを、しっかりとお届けできるよう、現在大切に育てています。
お楽しみに!