今年の夏も、猛暑により前橋圃場では干ばつの影響が深刻化しました。
胡瓜や茄子は減収、里芋の葉っぱは枯れかけましたが、水やりやソルゴーなど植物を活かし回復。
そのことについて詳しく書いているので是非ご覧ください。
■猛暑と干ばつの影響、異常気象との向き合い方
特に里芋の葉が枯れてしまい、胡瓜や茄子の収穫量は大幅に減少しました。
ここ数年は異常気象が続き、高温、少雨、さらにはゲリラ豪雨といった極端な天候により、従来通りの栽培方法では十分な収穫が得られにくくなっています。
昨年の夏も気温の高さと雨不足に苦しめられたため、今年は夏前から対策を積み重ねてきました。
農業は天候に大きく左右される営みですが、私たちは「自然とどう共存し、工夫していけるか」を常に考えながら取り組んでいます。
※写真の説明 上から
干ばつでしおれる大浦太牛蒡
高温で焼けたと思われる浜クロピー
高温と干ばつで葉っぱが焼けてしまった里芋「土垂」
すべて8月6日の状態です



■高温・少雨への具体的な取り組みと作物ごとの工夫
高温対策
前橋では先日41℃を記録するなど、関東の中でも特に気温が上がりやすい地域です。
春先から強い日差しが照りつけるため、地温を上げない工夫が欠かせません。
そこで、黒マルチを白黒マルチに切り替え、反射率を高めて地温を抑制しました。
さらに、枯草を厚く敷いて、マルチ内部の温度上昇を抑えたり、西側に緑肥を植えて影をつくり、直射日光を和らげるなど、工夫しながら育てています。
少雨対策
雨が少ないと土壌の乾燥が進み、作物の根が弱ってしまいます。
そのため、耕耘を控え、地下地表が遮断されないようにしました。
さらに、畝や通路に枯草を敷き詰めたり、一部の草を残したりすることで、保湿と乾燥防止を図っています。
各野菜ごとの工夫
・浜クロピー
畝の西側にソルゴーを播きました。ソルゴーは夏に2.5メートル近くまで生長し、西日を遮って強い日差しから作物を守ります。
また、根を深く張り、水分を吸い上げて蒸散することで周囲の温度を下げるといわれています。
これにより、葉が焼けるのを防ぎ、夏場の過酷な環境でも少しでも長く収穫できるよう工夫しています。

ツルムラサキ
元々暑さに強く、蒸し暑い環境ほど旺盛に育つのが特徴です。
今年は通路に草を残し、畝には刈り草を厚く敷いて草マルチで管理しました。
昨年の栽培経験からビニールマルチを使わず草の力を借りる方法で成功しており、葉も柔らかく美味しく育っています。

真黒茄子(シンクロナス)
畝には白黒マルチを使用し、隣にはライ麦を植えています。
ライ麦は春先に高く育ち、風よけとして機能します。
茄子は風に弱く、植え付け直後や開花期に強風に当たると株が弱ったり、果実に傷がついて出荷できなくなることがあります。
そのため、風から守る「生きた壁」としてライ麦を活用しました。


伏見甘長唐辛子
2月から枯草を敷き詰め、さらに葱を植えて畝を準備しました。
葱はコンパニオンプランツとして、未分解の有機物を分解しやすくしたり、根の周りの共生菌が土壌を豊かにする働きがあります。
そのおかげで病気も出ず、現在まで順調に育っています。
また、葱の植える位置(南側・北側)によって株元にできる日陰の違いを観察し、水やりや定植場所の工夫に役立てています。


里芋
里芋は水を多く必要とするため、畝の西側にソルゴーを植えて日陰をつくり、雑草を残して乾燥を防ぎました。
しかし猛暑の影響で一部の葉が枯れてしまったため、8月には毎晩1畝あたり600リットルもの水やりを行いました。
その努力に加え、お盆の頃にようやくまとまった雨が降ってくれたことで、新しい葉が芽吹き、元気を取り戻しつつあります。

■持続可能な栽培を目指して
これからも猛暑を避けることはできません。
そのため、栽培する野菜の種類を工夫し、高温でも育つ作物を取り入れることが重要です。
鷹の爪、甘長唐辛子、姫とうがん、埼玉青大丸茄子などの野菜は暑さの中でも比較的元気に育ちます。
そういった作物を育てながら、収穫が途切れる時期を減らす工夫を今後行う予定です。
ただし、これらの工夫は植物の力を活かすものであり、効果を最大限に発揮させるには播種の時期や場所を適切に選ぶ必要があります。
年間の作付け計画を緻密に立て、自然の力を借りながら育てるのがポイントです。
また、畝と畝間を広めにとることで風通しや作業のしやすさを確保しています。
その分、一定面積あたりの収穫量は減ってしまいますが、持続可能な農業を続けるためには、収獲量だけでなく作物の健全な生育や土壌環境の維持も重視しなければならないと考えています。
私たちはこれからも、異常気象という厳しい条件に向き合いながら、自然と調和した栽培方法を模索し続けてまいります。
= 最後に =
私たちは昨今のアレルギー・アトピー・花粉症などは、食べ物の影響だと思っており、口に入って身体を作る作物は安心・安全であるべきだと考えています。
翔栄ファームでは、群馬県と茨城県、広島県にある3つの農場で、一般的な慣行農法(農薬、肥料の投入量や散布回数などにおいて相当数の生産者が実施している一般的な農法のこと)でなく、『固定種・在来種』の種で、『農薬・化学肥料・除草剤を使わない自然栽培』で野菜や穀類を作っています。
それは、食卓に並ぶ全てを”安心・安全な翔栄ファーム印の食べ物”で提供したい!という目的からです。
私たちが自然栽培で収穫した野菜や作物を『茨城県龍ヶ崎』と『群馬県前橋』の各圃場と、東京都の東中野にある『ビセットプラザ』で店頭販売を行っています。
また通販サイトの『しぜんとくらそ』では、各季節の旬な野菜を詰め合わせた”【定期宅配】季節の産直野菜いろどりセット”などもインターネットで販売しています。宅配にしか入らない野菜もありますので、定期宅配のご利用もお待ちしています。